第6話 ロマリア到着、そして


 さてさて、前回で旅の扉に飛び込んだ一行でしたが、その後どうなったのでしょうか?


ほだか(以下、ほだ)「いててて……思いきり腰打ったぞ」
ひでかず(以下、ひで)「ちょっと、僕の盾いつまでも踏まないでよ」
まさはる(以下、まさ)「だーっ、お前ら人の上でなに勝手なこと言ってんだ!早くどけ!」

 一同は、ちいさな部屋に放り出されました。ちなみに旅の扉通過中はえも言われない吐き気に襲われて大変だったのですが、食事中の方もいるかと思いますので(いるのか?)、割愛させていただきました。

ともき(以下、とも)「お、ようやく来たか」

 扉を開けて、魔法使いともきが姿をあらわしました。一同苦笑いで、服の埃を払い落としたり装備を整えたり。

とも「さっき外見てきたけど、どうやら全然知らない場所に移動しちまったみたいだぜ?」
ほだ「いいんじゃないの?アリアハンにいても進展なさそうだし」
ひで「へー、新大陸かぁ。いよいよ冒険っていう感じがしてきたねぇ」
まさ「ふっ、この俺の武勇伝がこれからさらなる発展をとげるわけだ!」

 まったく調子がいい連中ですね(笑)。でも、ともきはちょっと現実的なようですよ。


とも「でもさ、敵がいきなり強かったらどうするんだ?」
まさ「……さ、観光も済んだことだし、帰る?」
ほだ「……そういうわけにも行かないだろう、判ってんだろ?」

 そうなんですよね。こうやって足踏みしているわけにもいかないのが、主人公パーティーのつらいところなんです。一同はおっかなびっくり、ほこらの外に出ました。

ひで「どうか、強い敵が出ませんように……」


まさ「おうっ、城だ城!早く行こうぜ!」


 彼らの目の前にそびえ立つ謎の城!はたして彼らを待っているものは何なのでしょうか!?……って、もう知っている人の方が多いですけどね。それは言わない約束ってことでね。

とも「うーむ、まさか罠?」
ほだ「確かに、半島のまんなかに城があるなんて不自然だ。自然を利用して防御を固めるなら、城を海に面するように造るはずだからな……」
まさ「もしや、バラモスの罠なんてことは……」
ひで「いいから行くよ。失敗してから後悔すればいいんだし」

 すたすたと歩いていくひでかず。慌てて後を追うほだかたちです。

ほだ「ちょっと待てよ、まだ味方と決まったわけじゃない!」
まさ「もし魔物がたくさんいたら、ほだかの乏しいMPだけじゃ回復しきれないぞ!」
とも「俺は攻撃魔法専門だし……」

 ひでかずはため息をつき、地図を広げました。

ひで「地図に書いてあるよ。あのお城はロマリア城、敵でもなんでもないよ」

 そういえば、「いざないの洞窟」で世界地図を手に入れていたのでした。一同地図を覗き込むと、すぐそばに光る点がありました。しかし、GPS機能のある地図っていうのも、ものすごいハイテクですよね。


ひで「早く行こうよ。もうお腹減っちゃった」
とも「そうだね」
ほだ「俺もMPないしな、早く寝たいよ」
まさ「新しい防具が欲しいな」

 一行、ほっとして城下町に足を踏み入れました。

まさ「親父、武闘家の俺にも装備できる武器か防具、ないか?」
とも「聖なるナイフに鉄の槍、くさり鎌が装備できるってよ」
ほだ「全部攻撃力下がるじゃん。やーい、不器用!」
まさ「ううっ、いつか見てろよ〜(怒)」

 あれっ、ひでかずがいませんね……と思ったら、宿屋でもう寝ていました。

ほだ「俺ももう寝る。城に顔出すのは明日でいいだろ?」
とも「ま、王様は逃げないだろうし」
ほだ「しっかし、いよいよ新大陸かぁ……」
まさ「どこかに可愛い子、いないかなぁ」
ほだ「お前、そればっかりな……」

 なんだかんだいいつつ、いつしかみんな寝てしまいました。いざないの洞窟での戦いは、やはり彼らにはちょっと厳しかったんですね。特に、爆風を至近距離で受けた上に大ダメージを受けたひでかずは無駄口をまるで叩かずに睡眠状態に入りました。



 さて、一泊して落ち着いた一行は改めて情報収集を始めることにしました。初めて来た街では、なるべくきっちり話を聞くのがセオリーですからねぇ。


ほだ「しかし……漠然とした情報ばかりだねぇ」
まさ「うん、ここにはイベント何もないみたいだな」

 そういう言い方は良くないですね(笑)。

ひで「地下に闘技場があったよ!行ってみようよ」
とも「お前の新しい盾買ったから、金なんか残ってないよ」


 街で情報が得られなかった一行は、お城に向かいました。アリアハンの城と同規模のお城、歩き回るのにさほど苦はありません。うろうろしているうちに、王様の前に出てしまいました。





ほだ「ありゃ、父ちゃん案外有名だったんだなぁ」
まさ「俺たちもこれくらい有名になりたいもんだぜ」
ひで「別の意味で有名にならないように気をつけなよ」
まさ「なんだいそりゃ、どういう意味だ?」
とも「いいから王さまの話聞けよ、落ち着きがないなぁ」


 王さまはひととおり次のレベルへの経験値を告げた後、突然こう切り出しました。

王「では たのみが ある!

まさ「人に物を頼むにしては、横柄な物言いだねぇ」
とも「ほんと、ほんと。王さまって、みんなこうなのかね」

 小声では言っているものの、しっかり聞こえるくらいの音量で喋るところがいやらしいですね(笑)。王さま、軽く咳払いをしましたよ。

王「カンダタという者が
  この城から 金のかんむりを
  うばって 逃げたのじゃ。


まさ「警備体制、甘そうだもんね」
ほだ「金のかんむり!頭の上にあるものを奪われるなんて、なんだか情けない王さまだなぁ」

 ああっ、王さまのこめかみがピクピクし始めましたよ?これ以上は危険ですってば(笑)。

王「もし それを 取り戻せたなら
  そなたを 勇者と 認めよう!
  さあ ゆけ! ほだかよ!


ほだ「おいおい、俺は正真正銘、本物の勇者だってば。なにその『勇者と認めよう』って」
ひで「格下げだね。遊び人扱いくらいかな」


 王さまはぷりぷり怒ってしまって、とにかく金の冠を持ってこないとこれ以上のことは教えて貰えそうにありません。そのカンダタとかいう盗賊から奪い返すしかないみたいですねぇ。
 とりあえず、そこにいた吟遊詩人に聞いてみることにしました。

まさ「カンダタってどこにいるか、知ってますか?」

*「私は 風のささやきを聞きました。
  あなたも 聞きますか?


ひで「うわっ、ちよっとヤバい人かも……」
まさ「き、聞きましょう。教えてくださいな」


*「カザーブの村の はるかな西に
  シャンパーニの塔が
  そびえているよ そびえているよ…


とも「……風がそんなこと歌うの?」


 吟遊詩人は気分を害したらしく、それ以上は教えてくれません。なんだか、最近は会う人会う人不機嫌にさせている一行ですね(笑)。


まさ「……とにかく、そのシャンペンの塔とやらを目指すのが正解ルートのようだね」
ひで「シャンパーニの塔でしょ?その前に、カナブンの村とやらを……」
とも「カザーブの村だってば」
ほだ「なんだっていいよ、とにかく!この王さんに、俺が真の勇者だって教えてやるぜ!」



ほだ「そりゃ、俺だっちゅーに!気づけよいい加減!」





 さて、余計な敵を増やしつつ突き進んでいく勇者たち。もう少し穏便にやってくれないと、いつかは世界の目のカタキ!とにかく、しらけずにお付き合いくださいませませ。さてさて、これからどうなりますやら。


 では、次のお話でお会いしましょう。
 世界がこのまま平和でありますように……









次回予告


 北の大地に向かった勇者一行は、ひっそりとした山間の村カザーブ近くで荒らされた神殿を見つける。そのそばで盗賊に襲われていた少年を救い出した勇者たちは村へと向かうが、そこで待っていたのは甦った古代の帝王とモンスターへと変身させられる村人たちの姿だった。
 事件の背後に強力な魔力を感じた勇者たちは、帝王を再び神殿に封じるため村の周囲に散るが、その一部始終は既に敵の知るところであった……


少年「と、父ちゃ……」
ひで「シッ!声を立てちゃ駄目だ!」
少年「父ちゃん……きっと助けるからね……」


ほだ「この感覚は……このザラッとした感覚は、なんだ?」
とも「誰かに……見られている?」


??「そこまで知っていたとは……悪いが、死んで貰う」
まさ「残念だが、そう簡単に死ぬわけにはいかないね。もうすぐ仲間たちが俺を助けに来る」
ひで「待たせたね!真打ちはこうやって後から登場するもんなのさ!」


 夢だけ食べては生きていけない。しかし、その夢こそが現実を消化する最良の触媒だと気づいたとき、夢を破壊して人々から生きる活力を奪おうとした魔王に対抗しうるものは「夢」そのものなのだ。
 はたして勇者たちは人々の「夢」を守りきれるのか?

 次回、ドラゴンクエストIII「灯火を掲げて」、ご期待ください!
 (内容及びサブタイトルは変更になる場合があります。ご了承ください)







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