前号からのつづき
きつねのこん太は、やはり、ひよこのぴー子さわぎの犯人だったのです。
あの夜、ぴー子をさらおうとしたこん太は、にわとりのけっこうさんにさわがれて、なにもとらずににげたのですが、あとにのこった足あとで、犯人だとわかったのです。
りんじの裁判があって、こん太も罪をみとめました。
その場で、判決もおりました。
罰は、一年のあいだ、森のさくらの木に、毎日水をやることでした。だから、おどりにもはいらず、川から水をはこんでいます。
さくらの花がさきました。まんかいです。
ふくろう裁判長は、森の動物たちを、のん太のさくらの木のそばにあつめました。なにか、みんなに知らせることがあるというのです。
ふくろう裁判長が、両手で、なにかだいじそうにかかえている。羽でうまくかくしているので、なにをもっているのかわかりません。
「どうしたんだろう」
さくらの木の下で、みんな、がやがやいっている。
「みんなをよびあつめたりして、ふくろう裁判長は、いったいなにを考えているんだ」
と、のら犬のわん公が、おおかみに話しかけている。
「たぶん、例のさくらんぼ事件のことだろう」
「うん、ぼくもそう思う」
「だけど、お月さまから、返事がくるはずはないぞ」
「そんなことがあったら、ぼくはのら犬をやめるよ」
「のら犬をやめて、なにをはじめるんだい」
「きまってるじゃないか、ふつうの犬のくらしだよ」
「たぶん、のら犬のままでいいと思うよ。春になって、ふくろうさん、すこし頭がおかしくなったんじゃないかな」
「そんなことはない」
りすのむうむうじいさんが、口をはさみます。
「わたしにもわからないけどね、頭がおかしくなったんじゃないと思うな。きっと、なにか、いいことをおしえてくれるんだ」
「それにしても、あの両手でかかえているのはなんだろう。さくらんぼ事件の犯人じゃないかな」
のら犬のわん公がいいました。
「だれだろう。まり子かな」
おおかみも、ふしぎそうです。
「いや、そうじゃない。まり子だったら、ほら、あそこにいるよ。のん太となかよくならんですわっているじゃないか」
りすのむうむうじいさんがそういったとき、
「さて、みなさん」
と、ふくろう裁判長が話しはじめました。