前号からのつづき


「ブルドッグ検事ともん吉署長、あなたがたは、りべる弁護士のいったことをききましたね。ひよこのぴー子が、だれかにさらわれかけたということです。そこには、きつねの足あとものこっていたそうです。五月におきたことですが、いまからでもおそくありません。ぜひ犯人を見つけてください。それから、こん太君、あなたは夢で見たことを、ほんとうにあったことだと思いちがいをしたようですね。そんなあやふやなことを、どうしてこんなところでいうのですか」
「すみません」
 こん太は、おそるおそる頭をさげます。
・・・ほかの動物たちを、こまらせるのがすきなこん太のことだから、どこからどこまで、ほんとうのことをいったのかわからない。だが、思いちがいだといっているし、このことだけでは、こん太を罰することはできないな…。
と、ふくろう裁判長は考えました。
「ほんとうに、すまなかったと思っているのだね」
「ほんとうにすみません」
 きつねのこん太は、すっかりしょげこんでいる。
・・・これはいい気持ちだ。
 りべる弁護士は、うれしくてたまらない。
 ブルドッグ検事は、さいごの証人のこうもりをよびだしました。
「あなたは、五月四日の夜、まり子を見ましたか」
「のん太のさくらの木にのぼっているのを見ました」
「その夜はくもっていたそうですが、たしかにまり子だったのですね」
「わたしが見たのは、ちょうど雲がきれて、お月さまがのぞいたときでした。だから、まちがいありません」
「そのさくらの木が、のん太のものであることも、まちがいないですね」
「小川のすぐそばにあるから、見まちがえるはずはありません」
 ブルドッグ検事は、やっと安心して、
「裁判長、質問を終わります」
といいました。
 りべる弁護士は、考え込みました。
・・・こうもりさんをあいてに、鳥目だなんていったら、わらわれてしまう。まり子は、あの夜、外に出ていないはずなのに…。
「さて、えーと、あなたの見たりすは、まり子にまちがいありませんか」
 なにをきいたらいいのかわからないので、ついくるしまぎれに、つまらないことをたずねています。
「まちがいありません」


つづく