第5章までのあらすじ

 りすののん太のさくらんぼがなくなって、さるのもん吉署長と、ブルドッグ検事が捜査にのりだしました。意外にも、のん太のなかよしのまり子があやしいようです。
 ふくろう裁判長のもと、第一回めの裁判がひらかれました。まり子には、はとのりべる弁護士がついています。
 まり子は無罪を主張しますが、もぐらの証言は、まり子に不利なものでした。


第6章 二回めの裁判

 お日さまが、かんかんてりつけている。
 それでも、どことなく秋のにおいがする。赤とんぼが、せなかにすずしい風をのせてきたのかもしれない。
 あつかった夏とも、そろそろおわかれだな、そんな日に、第二回めの裁判がひらかれました。
 ブルドッグ検事は、野ねずみと、りすのむんくを、いっしょによびだしました。
「裁判長、証人には、おなじことをたずねるのでいっしょにきてもらいました。さて…」
 ブルドッグ検事は、もう自分の勝ちだと思ってとくいそうです。
「しっぽのさきの白い、りすの名まえを知っていますか」
「まり子だけしか知りません」
 りょうほうとも、いっしょに答えます。
「そのほかにいませんか」
「さあ、ほかには知らないな」
と、野ねずみが答えます。
「わしも知らん。おなじりすなかまなのだから、たいてい知っているつもりだが」
と、むんくがいいました。
「質問終わり」
 こんどは、はとのりべるがたずねます。
「むんくさんも、野ねずみさんも、森にすむりすの名まえを、ぜんぶ知っているわけではないのでしょう?これは、大切なことですから、よく考えて答えてください。野ねずみさんはどうですか」
「はい、たぶん、いないと思うけど」
「たぶんということでは、こまるのです」
 りべる弁護士は、きびしく問いかけます。
「むんくさんは、どう思いますか。ほかに、しっぽのさきの白いりすがいるとは思いませんか」
「いないとは思いますが」
「これは大切なことですよ。もし、あなたがいないといえば、もぐらさんの見たりすは、まり子だということになるのですよ」
「いないとは思います。だけど、みんな知っているわけではないから、ほかにいるかもしれない」
と、むんくが答えました。
 質問が終わって、からすがよびだされました。


つづく