前号からのつづき・・・
気をとりなおして、もん吉じいさんは、また歩きはじめました。野ねずみがやってきました。
「野ねずみさん、あんたは、しっぽのさきの白いりすを知らないかい」
「まり子のことですか」
「やっぱり、まり子か…」
「どうしたんです。いよいよ、のん太のおよめさんになるんですか。それじゃ、いまからおいわいに行かなくっちゃ」
野ねずみは、どうもそそっかしくていけない。
「そうだとうれしいんだがね」
もん吉じいさんは、がっかりしながらつぶやきました。
それから、通りかかるりすに、かたっぱしからたずねました。
「まり子のほかに、しっぽのさきの白いりすを知らないかい」
「知りませんね」
「ぼくは知ってますよ」
「だれだい」
「もすけって名のりすだよ」
「なんだ、男のりすじゃないか。わたしが聞いているのは、女のりすだよ」
「それじゃ、はじっめっからそういえばいいじゃないか。だけど、女のりすで、しっぽのさきの白いりすなんかいたかな」
「たのむから、思いだしてくれよ」
「そうだ!あれは女のりすだよ。名まえはなんていったけな」
「名まえは?」
「そうだ。まだ名まえはついていなかった。きのう、まる吉のとこで生まれたばかりだ」
もん吉じいさんは、がっかりしてしまいました。まだお昼にもならないのに、すっかりくたびれてしまいました。
・・・ちょっとひと休みしよう。なんだか、この事件は、はじめっからいやな気がしたんだ。どこで、まちがえたのかわからないけれど、やっぱり、どこかおかしいんだ…。
「どうしたの、もん吉じいさん」
そばで、あかるい声がしました。
顔をあげたもん吉じいさんは、思わず
「あっ!」とさけびました。