第3章までのあらすじ

 りすののん太のさくらんぼがなくなりました。さるのもん吉署長は、のん太の依頼をうけて、捜査にのりだします。のん太のさくらの木には、ほかの動物のにおいは残っていないようです。 りすと思われる足あとがみつかりました。のん太のものより、小さい足あとです。きつねのこん太もなにか知っているようですが、かんじんなことはいいません。
 もん吉署長とブルドッグ検事は、その夜、現場に行って捜査をつづけます。もぐらが、問題のさくらの木のそばを歩いていた、しっぽのさきの白い女のりすを見ていました。


第4章 捜査はすすむ

 もん吉じいさんは早おき。
 森の中は、まだうすぐらい。朝風も、まだやすんでいる。
 もん吉じいさんは、考えながら歩いている。
 空がだんだんあかるくなってくる。たちこめていたもやが、しずかにゆれる。やすんでいた朝風が、目をさます。
 小鳥たちがうたいはじめる。
「おはよう、おはよう、おはよう」
 さわやかな風が、お日さまの光をはこんでいく。あちこちで、大きくのびをする動物たち。
 森のあさが、しずかにあけていきます。
 歩いているうちに、もん吉じいさんは、りすのむんくにあいました。
「おはよう、むんくさん」
「早おきですね、もん吉署長。こんなに早くから、どこに行くんです」
「ちょっとさがしものをしてるんだ」
「それはそれは、ごくろうさん。それで、それは大きいの、小さいの」
「小さいだろうな。じつをいうと、しっぽのさきの白い、かわいい女のりすをさがしているんだ」
「しっぽのさきの白いりすですって」
「むんくさん、そんなりすを知っているのかい」
「知ってますとも、もん吉署長。あなただって知っているはずですよ」
「わたしも知っているって!」
「まだ、すこしねぼけているんですね。まり子じゃないですか」
「えっ、まり子だって!」
 もん吉じいさんは、腰をぬかすほど、びっくりしました。
「まり子だって。そうか、あの子は、しっぽのさきが白かったな.…」
 急に、もん吉じいさんは、不安になりました。いやな予感がします。
「そのほかに、しっぽのさきの白いりすはいないかい」
「わたしもね、たいていのりすは知っていますがね、おんなじ仲間だから。でもね、たぶんまり子のほかにはいないでしょうね」
「そうかい、そりゃ、どうもありがとう」
 あわててむんくとわかれると、もん吉じいさんは、すっかり考えこんでしまいました。
・・・信じられない。そんなはずがない。まり子のはずがない。でも、もし、そうだったら。いやいや、まり子は、まちがったことをするようなりすじゃない。あの子がとったりするはずがない。病気のかあさんをたすけて、かんしんな子なんだ。それに、かあさんがよくなったら、のん太のおよめさんになることになっている。なにかのまちがいだ。きっと、まちがいだ…。


つづく