第2章までのあらすじ

 りすののん太のさくらんぼがなくなりました。さるのもん吉警察署長は、のん太の依頼をうけて、捜査にのりだします。のん太のさくらの木には、ほかの動物のにおいは残っていないようです。りすと思われる足あとがみつかりました。のん太のものより、小さい足あとです。


第3章 ブルドッグ検事登場

 もん吉署長はこれまでのことを、検事のブルドッグに報告しました。
「そうか、よくやった。上できだ。それはそれとして、犯人は、あんたもそう考えとるだろうが、りすだよ。のん太より足の小さいりすは、そんなにいない。子りすか、女のりすしかおらん。きつねのこん太が、ほんとうのことをいっているのかもしれんぞ。のん太よりも小さいりすがのぼっとったとすると、もん吉さん、子りすが、夜、そとにでるかい。どうだね。そう考えてみると、すこしわかってきたのじゃないかな」
「まあ、おとなの、それも、女のりすだろうとは考えられますがね」
「うん、なかなか頭がいいぞ」
「そりゃあそうですとも。わたしより頭のいい動物は、森にはいないはずですから」
「なんということをいうか。わしより頭のいいものがいるか」
 ブルドッグ検事は、ちょっときげんをそこねました。
「それはそれとして」
 これが、ブルドッグ検事の口ぐせです。
「足の小さいりすのことは、あしたにでもしらべてもらうとして、今夜いっしょに、そのさくらの木のところへ行ってみよう。夜行けば、またなにか、かわったことが見つかるかもしれない」
「だけど、ほんとうに、この森の中に、さくらんぼをとったりするようなりすが、いるんでしょうかね」
 もん吉署長はひとりごとのように、つぶやきました。
「なんとなく、わたしにゃ、そうじゃないような気がするんですよ」


つづく