第1章のあらすじ
ある朝、りすののん太の、とっておきのさくらんぼがなくなっていました。のん太は、さるのもん吉警察署長に、犯人をさがしてくれるようたのみます。
第2章 さるの警察署長 足あと発見
「そんなわけなんですよ」
のん太は、警察署長のもん吉じいさんをひっぱってきて、せつめいしました。
「どれどれ」
さるのもん吉署長は、老眼鏡をずらして、さくらの木をながめます。
「これはさくらの木じゃな」
「そうですよ。なくなったのは、さくらんぼなんだもの、ほかの木になったりするはずがないや」
「だれがやったんだい」
「だれがやったって、それを見つけてもらいたくて、ここまできてもらったんですよ」
「いやいや、あわてるんじゃない。わしがいっとるのは、だれがとったのか、心あたりがあるかと聞いとるんじゃ」
「そんなものがあれば、とっくに、ぼくがとっちめてますよ」
「そりゃあだめだ。そんなことをしちゃいかん。わしにまかせなさい」
「だけど、ほんとうにだいじょうぶ?すこしたよりないな。めがねをふいてあげようか」
のん太がなまいきなことをいっています。
かまわずに、もん吉署長は虫めがねをとりだすと、さくらの木をねんいりにしらべました。それから、はなをぴくぴくさせて、木の皮をかいでまわります。
「この木には、りすしかのぼっとらんようじゃな」
「ふーん」と、のん太は、まだ少し不安そうなへんじをします。
「ほかの動物のにおいはのこっとらん。これは、ひょっとすると、きみたちのなかまのだれかがやったのかもしれんぞ。のん太、きみの、なくなった大きなさくらんぼは、どの枝になっていたのだ。そこまでのぼっておしえてくれ。わしは、もう年をとって、木にのぼるのがきつくなった」
のん太は、するするっとのぼって、上から三番目のほそい枝までくると、
「ここんとこになっていたのさ」
「ほそい枝じゃな。まあ、ちいさなさるか、きみとおんなじりすか、そうでもないと、折れてしまうだろう。それとも、もしかしたら、木の実のすきな小鳥かもしれんな」
もん吉じいさんは、年はとっても、まだまだたよりになりそうです。
「よしよし、のん太、もうおりてきなさい。上ばかり見ていると、首がいたい。それに、ちょっと聞きたいこともある」
のん太は、もん吉じいさんが、なにをいいだすのかと、首をひねりながらおりてきました。