モノリス、1:4:9の比率 (整数(自然数)はじめから順に自乗.の比率) の直方体の折り紙
「2001年宇宙の旅」或いは "2001: A Space Odyssey" に現れた (そしてその続編たちに現れた)「モノリス」は、3次元時空的には、3方向の各辺比率が 1:4:9 (最初の3つの整数の二乗の比率) な黒い直方体であった。(比率の記述は小説版に拠る)
はじめ月面 Tycho(ティコ)クレーター付近で磁気異常のもとに発見されたので TMA-1 則ち Tycho Magnetic Anomaly - One (ティコ磁気異常1号)と呼ばれた。 ここでは、かの各辺比率 1:4:9 の直方体の折り紙を解説する。
四方は折紙の1辺の長さの1/11のところに折目、中央の横の折目は5/11、6/11のところ。 あと、展開図のように斜めの折目をつける。
折目は全て強くはっきりと折る。斜めの折目はみな山(折り)谷(折り)両向けに折り癖がついていると後段便利である。 四周と中央の縦横の折目は、必ずしも山(やま)谷(たに)両向けである必要はない、その際は、紙の表(おもて)面(色のついてる方、仕上り外側になる方)を上にして山(折り)の折癖にするように。
折り紙による1/11の折り方については後述する。 おおむね3つの方法である。
紙の表(おもて)面(色のついてる方、仕上り外側になる方)を上にして、折る(組み立てる)際の山折り谷折りを記す。
実線 ─ (—)
点線 …… (……)
図のように、内側から折り目にそって立体になるように組み立てる。左右両側とも。
四方の角は、まず四隅を斜めに折っておいた後、折り目の山(折り)谷(折り)のようにしながら近づけていって、互い違いに組み合わせる。
こんなかんじで互い違いに組む。折り目にそって四方の角のところを折っておくと、上下で互いに噛み込むように組むことができる。 すみの角を折る(組む)のは、左右ふたつ同時に(交互に少しずつ)折り進めた方がいいだろう。
1/11の折り出しの誤差によってはここで互い違いに組み合わせるのが難しいこともある。 そういう時は、無理せず(互い違いでなく)組み(噛み)あわせると折れる。
出来上がりで側面にあたる細い面(1:4, 1:9)が、広い上の面(4:9)につながってるのか、 下の広い面(4:9)につながってるか。 が、互い違いとか無理せずそうでないとかである。
折り紙を紙の目に沿ってS字にかたちづくりながら調整し、辺の3等分をする。
折り目は、1/3の印を付けるように少しだけ折る。少しだけ折り目をつける。
その1/3めがけて等分し、1/6 (= 2/12)の折り目をつける。これ(から)は端の印だけでなく紙の長さすべて折る。
その1/6めがけて折ると(紙の反対側からはかって) 5/12の折り目になる。
こっち側の1/12の折り目をおる。
そして全体の1/2の折り目をつける、6/12 の折り目。
そして図のような斜めの折り目。
この折り目の交点を目安に横の折り目をつける。上下で折るところが違うことに注意。(上からで 2/12, 下からで 1/12) (左上の折り目は、この折り目づけ折りに使うが、最後にはどこかに消えてしまう折り目 儚)
直前 注意して折った折り目(上から2/12)をめがけて2等分(横折り目、1/12)。
そうしてまた右のほうで図のように斜めに折り目。
今折った右の斜めの折り目を物指しに右から1/12の縦の折り目をつける。
そして斜めの折り目沢山。図の様に、中のほうに伸びる折り目は、モノリス広い面(4:9)には折り目を伸ばさぬように注意深く折る。(しかも山(折り)谷(折り)両向けに)
そして太線で切り落とす。はじめにあった 1/3の印を付けたところ(補助折り目)も切り落とされるパートにある。
切り落として、ひとくぎり。
紙は一まわり小さくなるが、はじめに1/3の印を付けたような邪魔な折り目もなくなり、1/11, 4/11, 5/11, 6/11, 9/11 の折り目のある奇麗な正方形の折り紙が出来た。
前述の1/11の折り出し方で、最後に切り取るところ、切り取らずに折り畳んでしまえば、“ハサミを使わない”折り方になる(折紙キングギドラ普及教室 森太郎)。
前述の折り方で折り目はみな折ったというあたりから、取り敢えず点線で指示した斜めの折り目を折り、
そして前述切り落とすべきところを内側に折り畳むという方針である。
具体的にはまず、
ここでは図に指示した斜めの点線部で内側に折る。
そしてこの11/12の縦と横も内側に折り畳む。
11/12の縦と横も内側に折り畳む。
すでに点線のように組立てに使われる折り目はある筈だが、 2枚に重なっている分も含めて改めて折り目を付けておこう。
図の右下の斜めの部分も斜めに折り上げておこうか。 (さきの1/11からの折り方(組み立て方)でも四隅を同様に折っていた)
これで、1/11, 4/11, 5/11, 6/11, 9/11 の折り目のある折り紙が出来た。
S字に調整しながら辺の3等分をするのを、“ずるい”折り方とする意見もある(野尻抱介 <URL:http://www.asahi-net.or.jp/~xb2n-aok/index.htm>等)。 そのような立場を考慮して、“幾何学の範疇”の折り方で1/11の折り出しをする手法を立案した。 (折り紙の辺を等分する法 <URL:http://origami.gr.jp/People/CAGE_/divide/index.html>参照)
野尻抱介 2000年11月17日(金)00時42分25秒 <URL:http://njb.virtualave.net/nmain0033.html#nmain20001117004225>
>京フェスそのほか
・折り紙の部屋で志村さんがソウヤーにモノリスの折り紙を見せて、各辺が1:4:9になることを証明していた。途中、紙をS字に畳んで1/3を作るのを見て反射的に「それはずるい!」と言ったら志村さんと菊池さんに「ずるくないんだ。これは折り紙としてずるくないんだ」と説得されてしまった。
以下折り目は強くはっきりと折る。あとで次の折り目を付ける時の対照にされるからであ る。そのためには、山(折り)谷(折り)両向けに折り癖を付けるのもひとつの方法である。
主対角線に折り目。
(縦に)紙幅の1/2の折り目を折る。
1/2の折り目に合わせて、斜めに1:2の折り目を折る。
はじめの主対角線とこの1:2の斜め線の交点が紙幅の1/3(2/3 : 1/3)を指し示す。
先の交点をめがけて(図では左から)1/3の折り目を折る。
今の1/3の折り目を使って(図では右から見て)3:2の斜めの折り目を折る。
先の1:2の折り目とこの3:2の折り目の交点は、4/7 : 3/7 (図の右からは2/7)を指し示す。そこで(縦に)2/7の折り目を折る。
2/7の折り目に合わせて、斜めに7:2の折り目を折る。
先の1:2の折り目とこの7:2の折り目の交点は、4/11 : 7/11 (図の右からは2/11)を指し示す。
直前記の(1:2のと7:2の折り目の)交点をめがけて(図では右から)1/11の折り目を折る。
これで1/11の折り目が付いたので、ここまでの補助折り目は忘れて、この1/11の折り目を基準にモノリスの1/11, 4/11, 5/11, 6/11, 9/11の折り目を付ける。
(右から)1/11の折り目。
1/11にあわせ斜めの折り目を付ける(上下とも)。紙の(1/11の)内側までは(あまり)はみ出 さないように折り目を付ける。
それでわかった上下の1/11の折り目をつける。
今折った折り目にあわせて反対側にも1/11の斜めの折り目と縦の折り目。
上辺1/11を目指して(図では横の)折り目これが(下から)5/11の折り目になる。
下辺10/11を目指して(図では横の)折り目これが(上から)5/11の折り目になる(下からは6/11)。
さあ、1/11, 4/11, 5/11, 6/11, 9/11 の折り目は折れた。
四隅と中段両脇の斜めの折り目をつける。
紙の(1/11の)内側までは(あまり)はみ出さないように折り目を付ける。
これで、多少補助折り目のこん跡は目立つものの、1/11, 4/11, 5/11, 6/11, 9/11 の折り目のある折り紙が出来た。
2001年8月12日 発行
2001年9月31日 発行
折紙キングギドラ普及教室 志村弘之 <URL:http://www.geocities.co.jp/Technopolis/9587/geodiary.html>