綱の瀬川の特徴

上鹿川キャンプ場・流れ

綱の瀬川は、五ヶ瀬川の大きな支流であるがその流域の花崗岩を主体とした地質とそれに起因する急峻な地形からか支流が少ない。特に上鹿川集落から上流域ではその傾向が強くかなり広大な源流域を有するが支流特に渓魚が生息できそうなものは数える程度しかない。そんな上鹿川で渓魚を釣ってきて思うこと。


上鹿川の川や渓魚

上鹿川キャンプ場・おさかな

綱の瀬川特に鹿川の「ヤマメ」は、腹部の黒点が少ない非常に美しい魚で色白の割には秋口になると鰭、測線付近の朱色が鮮やかになる。婚姻色は、いわゆるさび色が多いが全身ピンクに染まった渓魚もいる。

「ニジマス」「タカハヤ」「ウグイ」「ウナギ」も生息している。「タカハヤ」「ウグイ」は鹿川を訪れる釣り人にあまり好まれていないが、「ウグイ」は近年その数が減少したと思われる。地元では素焼きにした物を陰干しし食していたそうで残念がる方もいらっしゃる。

綱の瀬川

「ヤマメ」「アマゴ」が混在している。中には銀毛したものもいる。

やはり、川が大きいためか大きく育ち近年でも40センチを超える渓魚がウナギ漁のツケ鉤にかかっていたことがあるそうだ。禁止期間になり産卵が近づくと釣鐘橋の上からでも大きな魚が泳いでいるのを確認できる。

釣鐘橋から上流は、漁協が「C&R区間」に設定している。

綱の瀬川・大淵

西畑ダムから釣鐘橋の間は、岩壁が両岸にせまり滝や大きな淵が連続する区間で「へつり」・「徒渉」・「墜落」・「水泳」を強いられる。初心者にはあまりお勧めできない区間である。中でも「大淵」にかかる滝の落ち口はスラブとなり転落すると大淵まで一気にたたき落とされてしまう。大淵はオリンピックプールよりも大きく又水深もかなりあるため命の保証はできない。逃げ道は左岸(下流に向かい左)の県道に登りあがるしかない。

大きな淵や豪快な瀬には大きな魚もいるが県道からかなりの高度差があり緊急時に助けを求めることも不可能で決して一人で入渓すべきではない。

「C&R区間」でないため魚のキープも可能であるが、必要以上の魚をキープしないよう心がけたいものだ。

西の内川

綱の瀬川が、鹿川中学校下で西の内川と鹿川に別れる。川幅もあり巨石が多く豪快な流れで、そこに育つ渓魚は大きく力強い。近年漁協が厳選し放流しているためか「ヤマメ」が多く「アマゴ」はあまり釣れない。

漁協による放流もさかんに行われ、現在「C&R区間」になっている。「づめの滝」から上流は漁協が禁止区域に指定している。

宇土の内谷(地理院:宇土内谷)

西の内川が、づめの滝の上流で鹿納谷と別れ、宇土の内谷となるここも、巨石、滝が多く豪快な流れである。「づめの滝」の上には、2段の滝(10メートル、20メートル)があり渓魚の自力遡上は不可能であろうと思われるが中段のプールにも魚影はある。

当然釣れる渓魚は「ヤマメ」、腹部に黒点が多数ある「マダラ」もつれた。

宇土の内谷右俣

二股から3段程度遡上すれと10メートルに満たない滝がある、その上部には落ち口がオーバーハングした60メートルを超える大滝があり。魚の遡上は不可能である。大滝の上部は小さな滝が連続した後平坦な流れとなり源流部となる。源流部まで渓魚が生息し、大きく育った魚もいる。

宇土の内谷左俣

右股と別れゴローをすぎると明るく開けてくる。しかし、それもつかの間20メートルを優に超す大滝があり高巻きを強いられる。その後は、河畔林に囲まれたゴローで各段ごとに渓魚が生息している。少し色が濃いがきれいな渓魚である。

鹿納谷

西の内川から宇土の内谷と分かれる。分岐点はこの川の上流を知っている者からすればあまりに狭く、一番狭いところでは平水時幅1メートルに満たない、まるで岩盤を削る雨樋のようだ。

上鹿川キャンプ場・三里河原

この川は、下部にゴルジュや滝が連続し遡行は不可能に近い。下部・上部に大きな魚体の渓魚が多く、体長と同じ程度のところに30センチを超す渓魚が定位しているところを見ることができる。上部は、原生林に囲まれた平坦な流れであるが渓魚にとって「三里河原の惨劇」の舞台でもある。

鹿川

北方町の観光名所鹿川渓谷を有する。下部はこの地域にしては平坦な流れであるが、上鹿川小学校付近から様相は一変し巨石で構成される豪快な流れとなる。中間部に鹿川渓谷がありその上流のキャンプ場下で鉾谷と分かれる。途中いくつかの支流と合流するが、最上流は3本に分かれ中央の流れは国土地理院の地形図にも表記された「オタキ」がある。

キャンプ場から上流は漁協が禁止区域に指定している。

キャンプ場から上流は、平坦な流れが続き鹿川では唯一初心者にも釣りやすいところであった。毎年、キャンプ場開きの日に子どもたちが放流していたそうだ。その渓魚が「ヤマメ」か「アマゴ」かは不明であるがかなり上流まで朱色の斑点がある渓魚が釣れていた。

下部では放流がさかんに行われ、「ヤマメ」「アマゴ」が釣れるが「ニジマス」も混ざっている。今年(2003)にも夏休みで帰省していたお子さんが、奈須商店下の橋(前川橋)付近で大きな「ニジマス」を見事つり上げ大変驚いていたそうだ。この渓魚は、以前から奈須商店の大将がおっしゃっていた「雨の日」に悠然と泳いでいたものだろうか。

ニジマスは、過去に漁協が地元に無断で大量に放流したことがあったそうで、その末裔かどうかは不明である。地元の人は「マス」を「エノハ」を食べ尽くすと大変嫌われていて、網を入れた事もあったそうだ。