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「ロマーノ、あのさ」
スペインに呼ばれて、何だよ?と顔を上げる。眠い。飯食ったし風呂も入ったし眠いし。

「今うちベッドひとつしかないんだけど一緒に寝るのでいい?」
「!!まっ」
「ま?」
「…別にいいけど…」
ぼそりと、ごまかすように呟く。
ちなみにま、の続きはまたかおまえ!だ。貧乏すぎて家具を売り払ってしまうのはたまにスペインがやってたこと。…こっちのスペインは、何回目か知らないけど。
ごめんなーと言う声を聞きながら、ったくこいつは…とか考えていると意識がふわふわ漂う。勝手に目が閉じてしまう。…眠い…。
「ん?ロマーノ?…あーあー…ここで寝たら風邪引くぞー」
「んー…」
だって眠い…。
「聞いてないやろ…。」
「ん…」

起こされて半ば引きずられるように歩く。めんどうくさくなったのか、終いには抱き上げられて。
腕を回して頬を寄せる。体を近づけた方が運びやすいのは知ってるから。
「ん…」
「……うーん…そんな風に甘えられると悪い気はせえへんなー…」

ゆっくり、とベッドに下ろされる。離れる体温を追って手を伸ばすと、さっきまでかわいくなかったのになあ、と言われた。うるせーよ馬鹿。ああ、だめだ。眠い。隣にいるのがスペイン、だからどうしても、気が抜けてしまう。服を脱ぐのも面倒くさい。眠い。

「…何か子分、っていうより手のかかる弟みたいやなあ…」
「うるせ……もう寝る…」
「ん。おやすみ。」
その声を遠くで聞いて、意識が沈んだ。


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