.


咄嗟に、体が逃げ出していた。怖いと思ったら逃げる。もうこれは本能だから、仕方がない!

「ロマーノ!」
後ろの方からスペインの呼ぶ声。呼ばれたって、振り返れるわけもない!
リビングを通り抜けて、廊下へ、それからまたリビングへ、とぐるぐる回りながら、考える。ちょっと待て!とか声聞こえるけど無視!
どこへ逃げる?階段で二階…いやそれじゃあ袋のねずみだ。庭、か玄関。とりあえず外だ外。そう思って方向転換して、玄関へと向かって。

「ロマーノって!」
いきなり目の前に現れたスペインにぎょっとして、体を引く。先回りされてた!
体を翻して庭へと向かおうとするけれど、その前に腕を掴まれる。
「もう逃がさへんで!」
がっちり、と掴まれた腕は、離れられそうにない。
…ここは、素直に謝った方がいいん、だろうか?でも…
「このアホ!何で逃げたりしたんや!」
降ってくる怒鳴り声に、びく、と体を竦めて。


「ごめん、なさい…。」
「………。」