「ん…んん…?」 ゆっくり、と目を開けると、あ、起きた。とのんびりした声。すぐ近くに浅黒い色の顔。 …スペインだ。まったく何人の寝顔見てやがるんだか… 「…なんだよ、おまえ…」 ゆっくり上体を起こすと、スペイン。と言われた。んなことは知ってるよこのやろー… 「はじめまして。」 「………は?」 見上げた、顔は…冗談を言っているようには見えなくて。 …いつもの笑顔、じゃない。俺が知ってるいつもの、じゃない。外向き、の笑顔。 まるで、赤の他人みたいに。 赤の他人?さっきもどこかでそう思った。どこで? …さっきの夢の、中で、だ。 『一番好きな人と、出会わなかった世界』 ギリシャ(?)の声が、蘇る。 まさか。さ、と冷や汗が流れた。 「はじめまして、だろ?」 俺は覚えないけど。はっきり言われて、くら、とした。 …この目の前にいる、『スペイン』は。 俺のことを、知らない。 「……気のせい、か。見かけたことある、気がする、んだけど…」 なんとか返すと、そっか。と笑った。 「ま、これからよろしくな。俺がおまえの親分になったんだから!」 ………!?? 「親分って呼んでな!」 どういうことだ、とか何言ってんだ、とか頭が結論を出す前に、口が勝手に動いていた。 「嫌だ。」 「……かっわいくないなーおまえ…」 呆れた声で言われて、何も言えなくなった。 次へ |