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「助けてドイツ…っ!」

思わずそう呼んできつく目を閉じる。
しん、と静まり返って。

「…おめのか。」
スウェーデンの声に、何?とおそるおそる目を開けて。
「ああ。」
はっきり答えたもう一人の声にはっとして顔を上げた。
そこには、何度も見てきた一人の背中!

「ドイツ!」
呼ぶと、手が頭に触れた。ぐしゃぐしゃと、撫でられる。あ、やばい。また泣きそう…。
「そが。迷子んなって泣いどっだぞ。」
「ああ。…心配をかけてすまない。」
見上げた先で交わされる会話を、顔も上げれなくてただ聞く。
じゃ、と去っていく足音が聞こえたから、顔を上げたら、スウェーデンは立ち止まって、こっちを見てきた。
「…大事なら、ちゃんと見でろ。なくしてからじゃ、遅い」
「…肝に銘じておこう。」
それだけ言って歩いていくスウェーデンを見送っていたら、ドイツにしっかりと頭を両手で掴まれた。

「ヴェっ」
「おまえは…っ!」
「痛い痛い痛いぐりぐりするのやめてー!!」
こめかみをぐーでぐりぐりされた。痛い。
涙目になっていると、深いため息。
「いい年して迷子になるな…」
「だってー…」
見上げると、ぐしゃぐしゃと頭を撫でられた。
「…心配したぞ」
吐息に紛れる小さな声。それにごめんなさい、と謝る。

「まあ、無事ならいい。ほら、いくぞ。」
立てるか、と手を伸ばされて、その手を取る。
立ち上がって、その手を離すと、手首を握られた。
「?」
「行くぞ。」
ぐい、と引かれる手。ずかずかと大股出歩かれたら、引きずられるようについていくしかなくて。
「ど、ドイツ、」
速いよ、と言い掛けて、その耳が真っ赤なのに気がついて、ちいさく笑ってその速度についていくことにした。

ふと、繋いだ手の中にいつのまにか、何か握っているのに気がつく。触り心地、から小さな金属だと気づいた。
なんだろ。思ってすぐにこの形知ってる、と思い当たった。…もしかしてこれ。


『鍵のかけら』を手にいれた!



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