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「うれしいよ!」


そう答えた。ぎゅう、とそれを握り締めて、ありがとう、とそう呟く。…これって、だって、そういうことだよね、俺、ドイツに認められたって、ことだよね!
なんだかうれしくて、少し泣きそうにまでなってしまった。…だって、だって!
一緒に暮らせなくなるのは寂しいけど、でも、ドイツに褒められることだってあんまりない(怒られたおぼえならいっぱいあるけど)のに、こんな風に、独立って、対等だからって、同盟って、これからも仲良くしようって、そんな風に言われて、うれしくないわけない!
えへへへと笑ったら、ぐしゃ、と頭を撫でられた。
「それから、これもだ。」
置いていた箱を渡されて、開けていいの?と聞いたらうなずいたから、ぱか、と開けてみる。


思わず、息を飲んだ。


「…あー。本当は、新しいのをやるつもりだったんだが…間に合わなくてな。とりあえず、俺がつけているものだが…。」
するり、表面をなでる。少し傷のついた、それは。
「出来上がり次第交換するから。…それがあれば、おまえがいくら弱くても少しは、周りのやつらも侵略してこないだろうから…。」
お守りだと思って持っておけ。そう言われて、首を横に振る。
「…いらない、か。」
「そうじゃなくて!…そうじゃ、なくて…交換なんて、しなくていいよ。…俺はこれで、十分だよ。」
落ち込んだ声に、慌ててそう言って、ぎゅ、と抱きしめた。もう二度となくさないように。

こっちに来て目覚めたときにはもうなくなっていた、大事な大事なクロスのペンダント。
ドイツが初めて俺にくれた、大事なもの。
また、戻ってきた。
ドイツが、もう一度これをくれた。
それだけでもう、涙がこぼれそうだった。


「…ありがと、ドイツ…。」
泣きそうになりながらそう言ったら、いや、とそう微笑んだ。
「…俺、俺、がんばる!ドイツにすごいなって言ってもらえるようがんばる!だから、だからね、」
「わかったわかった。…楽しみにしてる。」
そう優しく言われて、うん、とうなずいた。

部屋を出て握りしめていた手の中を確かめると、そこにはペンダントと。
「…鍵の欠片…」
いつのまに、と思って、でもこれも大事なものだ、ともう一度なくさないよう握り締めた。



鍵のかけらを手に入れた!


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