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黒猫の仮装。
いろんな人がかわいい、って言ってくれたけれど。
「かわえええ!むっちゃかわええ!」
ここまでの反応を示した人は初めてだった。
「うわー!うわー!めっちゃかわええなぁなあほんまうちおいで〜」
抱きしめられて、顔を擦り寄せられて困惑してお兄様を見上げる。
「このっ!」
「いだっ」
痛い〜と言いながらスペインさんが離れていく。ロマーノさんが肘鉄をくらわせたようだ。解放されてすぐ、ぱたぱたとお兄様の後ろに隠れる。
「ごめんな、ベアトリクス。この馬鹿!が、迷惑かけて」
「やって〜…」
しゅん、となったスペインさんが、こっちを見てん?と呟いた。

「…ルキーノ達に会ったん?」
「え、」
「そのリボン。」
イザベルが持ってたお菓子のやろ、と指され、うなずく。
「…ああ。あれか。」
「可愛かったやろ〜イザベル。」
にこにこ笑って言われて、うなずいた。
「すごく可愛かったです。」
「やんな〜!ベアトリクス話わかる!よっしゃ、そんな子にはいっぱいお菓子あげよ!」
はい!と渡された量は、まだまだある配る用のお菓子全部で。

「え、ええ!?」
「でもこれ、みんなの分、」
「あー、大丈夫大丈夫。まだまだ作るから。スペインが。」
「作ったのの半分くらいロマーノが食べてるやんか〜」
「うまいんだからいいだろがちくしょー。」
「…もー、そんなこと言われたら作るしかないやんずるいわ〜。」
「…あの。」
どうしましょう、とお兄様と顔を見合わせていると、いいからもってけ、と言われた。

「オーストリアもハンガリーちゃんも甘いもの好きやからこれくらいすぐなくなるで?」
「母さんは食べないと思うけど、ダイエット中だし」
そんなこと関係ない、と言おうとしたら、ダイエットぉ!?とスペインさんが食いついてきた。
「そんなことせんでもハンガリーちゃんは美人!いやむしろもうちょっとふくよかな方が俺の好み!」
「俺もそう思う。」
二人が顔を見合わせてうなずき合ってるのを見て、それからそのままじゃ持って帰りづらいな袋袋、とか言い始めたから、これは持って帰らないとだめそうだな、とお兄様が困ったように呟いた。

袋に入れてもらっても荷物になるそれに、とりあえず帰ることにした。

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