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お兄様がどさり、と袋をおろすと、お父様は額を押さえた。
「まったくあのお馬鹿さんは…」
「すご…」
「ああ重かった!」
どさ、とソファに座り込んだお兄様に水を出す。
「さんきゅ」
「だから私も持ちますって言いましたのに…」
「いいんだよ。」
頭を撫でられ、はい…と納得しないながらも答えた。

「ああ、そういえば、スペインさんが、母さんはもうちょい太ってた方が好みだって。ロマーノさんも。」
「あらそう、ありがと」
苦笑したお母様の顔を見上げていると、何ですか、それ。とお父様の不機嫌そうな声。
「だから、スペインさんが。」
「…ハンガリーは今のままがいいに決まっているじゃないですか。今のハンガリーが一番美しいんで…」

ぴたり、と動きを止めたお父様に、しん、と静まりかえった部屋。
まずいことを言った、という顔をして、固まったお父様と、真っ赤になったお母様。
「…ああもうこんな時間ですね、私は部屋に…」
「ちょ!ちょっと待ってください!今のどういうことですか!オーストリアさん、オーストリアさん!?」
すたすたと歩いていってしまうお父様の後を追いかけて、お母様まで行ってしまった。
しばらく見送って、困ってお兄様を見上げる。
「…まぁ、仲がよくていいんじゃないか?」
ほら、もらったの食べようぜ。そう袋をがさがさ開けてくれるから。
「…ですね。」
お兄様の隣に座って、どれにしようかな、と悩んだ。


-end.-

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