伊丹と鳴く虫
 話は2008年にまでさかのぼるのであるが、伊丹市で「鳴く虫と郷町

(ごうちょう)」の催しが開かれた。鳴く虫研究会「きんひばり」に入って

いた私はその展示にたいへん満足することができた。また5年ほど暮らし

たことがあるのがほこらしくもあった。

 その時に配布されていた郷長の地図をぼんやりとながめていた私の

目一点にくぎ付けになった。

 そこにはこう書いてあるではないか、「飛騨の名工 谷口与鹿の墓」と。

 暮れゆく伊丹の町を照らす夕日が、なんだかぐらっと傾くような感じが

した。