寂然法門百首 94
2025.6.3
常啼菩薩
あはれにもむなしき法(のり)をこひ侘びて涙は色に出でにけるかな
半紙
【題出典】一般に通行した固有名詞であり、出典を特定せず。
【題意】 常啼菩薩
【歌の通釈】
悲しいことに、空しい法(空の教え)を恋い焦がれて、涙が表に出てしまうことだよ。
【考】
般若時。空を説く段階。般若を求めて七日七夜泣き暮れたという常啼菩薩の姿を、涙を包み隠せない恋する男の姿のように表現した。
(以上、『寂然法門百首全釈』山本章博著 による。)
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信仰の篤さを、恋心に重ねるという発想は、旧約聖書の時代からすでにあったようですね。今でも「雅歌」は、キリスト教では大切な信仰表明として愛されています。