寂然法門百首 89

2024.5.31

 


 

 


日出須臾入

いかにせん隙(ひま)行く駒の足はやみ引きかへすべきかたもなき世を

半紙

【題出典】『往生要集』87番歌題に同じ。

【題意】 日は出ると一瞬にして沈む。

【歌の通釈】

どうしよう、隙間から見る馬が早く見えるように、あっという間に時は過ぎていき、引き返せる方法もない世の中を。

【考】

時の流れの早さによる無常の歌。日の出入りは世のはかなさを示すようだが、観音により照らされるその日の光の恵みを左注では説く。その恵みの恩を胸に寸暇を惜しんで解脱を求めよというのである。

(以上、『寂然法門百首全釈』山本章博著 による。)

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★「隙間から見る馬」は、映画の発明に関するスリットから見える馬の画像を思い起こさせますね。あまたある「時の早さ」の比喩としては、ものすごく新鮮なものに思えます。

 

 

 

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