1999年11月23日(火)勤労感謝の日 雨

雨です。天気予報では九州・四国は崩れるものの、中国地方は曇りだったはずです。え? どうしてくれる! などと言っても仕方ないことなので、読書の続き。

「六の宮の姫君」は、私には手の届かないテーマのお話でした。 このシリーズの主人公は文学部の学生です。 今回のお話は、4年生の5月から秋口辺りのお話です。 そして話の主軸は、卒論準備とも絡み文学のお話なのです。 「六の宮の姫君」というのは、 今昔物語を原典とした芥川龍之介による小説をさしています。 さまざまな古典や昭和初期辺りまでの日本文学の事情が分かる人には 大変楽しめる話なのでしょうが、私などはちんぷんかんぷんです。 こういう素養がある人は尊敬に値すると思いますし、 自分がなれるものならなってみたいとは思います。 しかし、そのために努力するのはとてもできないなぁと思います。 もちろん文学を目指す人は好きでやっているのでしょうけど。

ストーリーの中の文学関連の話題で私にとって思い当たるところと言えば、 菊池寛が興した芥川賞と直木賞の由来程度で、 それも最近やっていたTV番組のさわり辺りを、 うろ覚えながら頭の隅に残していただけです。 ま、理系を進んできた人間なので言い訳することも出来るのかもしれませんが、 この辺りの文学的知識を徹底的に持ち合わせていないということは、 実は私にとってかなりコンプレックスに感じている点です。 一度でいいから、「ああ、そのことなら志賀直哉が彼の随筆の中で、 ○○と書いていたね」などと言ってみたいものです。 でも状況をよく見極めないと、単に友達を無くすだけかも(笑) ま、どんなに気に入った本でも、その中の一文すら覚えていない私には、 生まれ変わっても無理な技とは思います。

私にとっての読書とは、「ことのは」を楽しみ愛しむというより、 ストーリーを貪り自己満足するという行為に果てしなく近いのですから。

さて昼過ぎに読み終わりましたが、 窓の外からは相変わらず濡れた道路を車が疾走する音が続いています。 実は昨日も「ちょっとその辺まで…」と思って出かけたのですが、 つい「もちょっと奥の道へも入ってみるかな」などとしているうちに、 マイナー国道&県道ツーリングとなってしまい、200kmくらい走りました。 しかし、あまり「当たり」の道がなく、不満の残るドライブでした。 今日は晴れていれば… などとも思ったのですが、雨は上がりそうもありません。 読書の欲求不満もあるので本屋へ出かけました。

紀伊国屋の文庫コーナーで、シリーズ5作目を探します。 4冊目を読み終わる頃、 カバーの裏に明らかに5作目と思われる表紙デザインとともに 「朝霧」が載っているのに気付いたのです。 お目当ての品はすぐにないことが分かります。 「えい、この際ハードカバーでもいいや」と、 そちらのコーナーに移りましたが、やはりありません。 仕方無しに同じ作者の「月の砂漠をさばさばと」、 「盤上の敵」をハードカバーで買い求めました。

その後、未練たらしく本通の丸善を覗きます。 ここの丸善は文庫はからっきし品揃えが悪いので期待はしていません。 再度文庫版の4作目のカバーを手にとって眺めました。 「あ、まだ文庫化されていないのかも?!」 これまでの4冊は括弧付きで「…文庫版」と書いてありますが、 「朝霧」にはその文字はありません。 その棚裏手のミステリーのハードカバーのコナーに回りました。ありました! いそいそと買い求めます。

その後Volksで食事のあと、コーヒーを頼んで読み始めます。 今度はそれほど敷居が高くなさそうに思えます。 あまりのんびりしても駐車料金がかさむので、 続きは帰宅して読むことにしましょう。