『コインブラ物語』を訪ねて


Quinta Das Lagrimas
(「涙の館」ホテル)


リスボンのサンタボローニァ駅からコインブラB駅までの特急は
以前、轟さまが 
日本のようなアナウンスが無いので緊張して乗っていなくては、と言われたのを思い出し
いつもドジな我ら夫婦は 超ド緊張の中にも
なんとか無事に B駅に到着することが出来ました。

さすが情熱的な国、タクシーは ものすごいスピードで市内を疾走した後、
7分ほどすると、とある趣のある古い塀が続くあたりでスピードをゆるめました。







ゲート右に貼ってあるタイル


このゲートをくぐり、ゆるやかにアプローチを走ると
その先に 憧れのホテルがありました。



数百年前に
ペドロ王子さまも このゲートをくぐってイネスのもとに通われたのでしょうか。
長い木々のトンネルを抜けながら ロマンティックなタイムトンネルを行く気分です。



階段を上がって中央が入り口です。



玄関を入ってすぐのロビーのような部屋
この奥の右手にフロントデスクがあります。

一番奥の白い像がご覧になれるでしょうか。
ミイラのように布に巻かれた女性が座っている石膏のような像です。
現代的にデフォルメされたイネス像かもしれません。

さて!
チェックインしたら、早速、泉を探しに参りましょう。



館の中からも行けますが
ペドロ殿下が通われた(かもしれない)道から入ります。

建物の右に見えるゲートを抜けると 泉のある庭に続くのです。

とはいえ、
広い庭には、いくつか泉があり
どれがそうかしら?とさまよいながら歩きました。



ほら、
「コインブラ物語」舞台の泉に似ているような・・・



竹に囲まれた泉もありました。


ちなみに、建物の中庭には、こんな「日本庭園」もあります。


「庭」と言っても、ゴルフ場もある広大な敷地です。
「轟さまは、ご案内の方が付いていらしたんだわ」
なんて羨ましく(そのご案内の方が、です)思ったり・・・

散歩道を 行きつ戻りつ15分ほどしたところで、
ものすご〜く大きな木(特に根の張り方が!)の向こうに
ロマンティックな門が見えてきました。



この大きな木は、きっと全てを見てきたのでしょう。
神秘的な雰囲気さえ感じる その巨木に守られるように
FONTE DO AMORES(愛の泉)がありました。



とはいえ、想像していたような泉は見当たりません。

ゲートをくぐってみると、
小さな祠(ほこら)のようなものがあり、
その横の道は、丘と、ゴルフ場に続く上り坂になっています。



この祠は何かしら。


柵があり、暗くて 中が見えません。

二人が入るには 狭いような気もするけれど・・・
ちょっとドキドキ妄想もふくらんだりして^^。

後で ホテルの方にお聞きしましたが
会話力不足ゆえ、
残念ながら分かりませんでした。
とにかく、
今は 乾季で水が少ないので泉が分かりにくい(らしい)



でも、よく見ると、
愛の泉と書かれた下のあたりから
水が湧き出て、水路を通って流れていました。

この水路に ラブレターを流して 密かな愛を育んだ、らしいです。




お目汚しですが、ゲートの大きさが分かるように
手を振る”おイネ”させて頂きました。
(註:おイネ=kazukoさま命名)




この門を左に行くと
すぐに 古い木のベンチが・・・。
ペトロとイネスが 初めて会話を交わした
あのベンチのような気がします。



けれど、このベンチの向こうには・・・

FONTE DA LAGRIMAS 涙の泉
が見えているのです。



涙の泉です







泉の底は、赤い石が。
(今は 夏で 水が少し淀んで 見えにくいです)






「哀れな死をとげたモンテゴ川の娘、
流れ出た涙は愛の名をもって水となり、
清らかな泉となって生き、花々を育てる」

涙の泉は、大きな池に注いでいて、その向こうに街が見渡せます。




館に近い庭から、
街の向こうの丘に、宮殿が見えるのです。




丘の上の大きな建物が かつての宮殿です。
現在はコインブラ大学になっていて、
かつての絢爛とした王朝を物語る立派な図書館などが公開されています。

翌日、そのコインブラ大学を見学し
街を見下ろしてみました。
(上の写真では、左端の屋根の下です)



河の向こう、小高い丘の中央左が緑になっています。
そのふもとあたりの森がイネスの館です。



館の庭で
あちらこちらに設置されたスプリンクラーから
七色の虹が!
思わず「なないろのにじは 二人の架け橋〜♪」
なんて口ずさんでしまいました。

たとえ遠く離れていても いつかきっと巡り合えますとも♪
ね、皆さま。






さてさて、
館の中に入ってみましょう。



イネスの館の展示室から 廊下にかけて 
数多くの歴史的な写真や絵が飾られていました。












と!

きゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!


な、なんと!!!!!






(フラッシュの反射を避けたり、著作権やら考えまして
この画像でご免ください)


ポスターの右下に付いているキャプション


数々の写真を見ていると、
この歴史的なロマンスが
現実として実感されてきて、
宝塚「コインブラ物語」の 美しい夢物語さえも
あたかも すぐ近くでの出来事のように、
あのペドロ殿下の悲しい瞳や歌声とともに
心によみがえり
また はてしなき妄想の世界に入り込んでしまうのです。


(番外編)

ディナーは、館のテラスに灯りをともして、優雅にいただきました。

3つのコースの中、
もちろん「ペドロとイネス」のメニューに!



エレガントで 味の変化もある美味しいお料理、
それぞれの料理に合うお酒も 6、7種類、
すべてが吟味されていました。



で、何がペドロとイネスかというと、
デザートが 二人で別のものになっていて
大雑把に言えば 私がフルーツ味、夫がチョコレート味
って、ちょっと大雑把過ぎですが・・・。

満腹で、こんなお食事を毎日していたら
とてもロマンスは語り合えなくなりそうでした。

翌日の晩は、庶民のお店で簡単に済ませて
ファドを聴きに行きました。
ファドは本来、女性が主に歌うそうですが、
コインブラのファドは男性です。
始まりが10時からと遅く、
旅の疲れもあって・・・
やっぱり アノ方の歌声でないと。

更に翌日、リスボンでもファドを聴きに行きました。



リスボンのファドのお店は、
男女たくさんの方が歌い、踊り、
言葉が分からないせいもあり
旅の疲れも出がちで。。。

やっぱり、あのディナーショーでお聞きした轟さまのファドが最高です。



英国からポルガル、そしてフランスやイタリア各地を
約1ヶ月近くかけて回る今回の旅は
荷物も重く、体重も日々重さを増して
現在も進行中です。

例によって
笑って済まされるかどうかギリギリの
数々の失敗や困難を
轟さまの歌声や、
WITH YUでの皆さまのお声を励みに
なんとか乗り越えてきています。

これから、個展も始まり、
秋には『オネーギン』、待望の舞台が待っています。
また 素敵な笑顔に たくさんお会いできますよう、
元気に帰国したいと願っています。

(電車の移動が多い今回、車中でこれを書いています)







皆さま、どうぞお元気で!

                     愛と感謝をこめて
                         やうこ

                                                         2010年8月末

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