7.ストロボについて


 水中ストロボの性能は、要素として3つの要素があります。

  1.ガイドナンバー(GN)
  2.照射角度
  3.リサイクルタイム


1.ガイドナンバー(GN)

 ガイドナンバーとは、ISO100のフィルムにて1メートル先の被写体に向けてストロボを発光したときの、絞りの適正値です。

 つまり、GN 20のストロボで1メートル先の被写体を撮影するときには、絞りは20に設定すれば良いのです。

 逆に言えば、このGNの大小がストロボの光源としての強さを表すことになります。

 そしてこれを距離(メートル)で割った値が距離に対する絞り値になります。(ただしこれは陸上での設定値。)

 水中では光の拡散、透過具合が陸上と異なる為、計算はもっと複雑です。光はストロボから被写体へ、そしてカメラへと往復すのですから、距離が長いほど陸上よりも大幅に減少します。およそ陸上の値の1/2〜1/3を目安にすれば良いでしょう。

 ストロボによっては発光量を切り替えたり、減光フィルターで調節できる物、また最近ではTTLにより自動調光を行うシステムなどがあり、GNは小さいよりも大きい方がどんな場合にでも対応できますし、フル発光をせずに済むため、後で述べるリサイクルタイムを短縮出来ます。



2.照射角度

 照射角度は、使用レンズの画角をカバーしなければなりません。もしも使用レンズよりも狭い照射角度で撮影すると、画面の一部だけ明るく、回りが真っ暗な異様な写真が出来上がります。

 照射角度の表記の仕方には単に「20mmレンズカバー」と表記する場合と、「100度円形」あるいは「105度X95度」など、画角を表記する場合がありますが、照射角度は出来るだけ広い物を選んだ方が対応が効きます。

 ストロボの向きが多少ずれていても、照射角度の広いストロボであれば十分カバーしてくれるし、広角レンズに切り替えたときでも安心です。

 また、拡散フィルターによって照射角度を広げる方式のストロボがありますが、フィルターを使用することによりガイドナンバーが下がりますので、どれくらいガイドナンバーが下がるか、値に注意してください。



3.リサイクルタイム

 ストロボのリサイクルタイム(発光後、次のチャージが完了するまでの時間)も重要な要素です。

 リサイクルタイムが長い場合、いざ撮影しようとしてもストロボが発光せず、せっかくのシャッターチャンスを逃す事になってしまいます。

 これは使用するバッテリーの違いによります。現在水中ストロボで使用されているバッテリーは、一次バッテリーのアルカリ電池、そして二次バッテリのニッカド電池が主流です。

 アルカリ電池は、発光回数は多くなりますが、リサイクルタイムは長くなります。
また、ニッカド電池は発光回数は少ないが、リサイクルタイムは短くなります。そして充電すれば再度利用できます。

 これはバッテリーの内部抵抗の違いに原因があるのですが、ニッカド電池の方が内部抵抗が少なく、瞬時に大きなアンペア(電流)を供給出来るからなのです。

 アルカリ電池の使用を勧めるストロボでも、市販のニッカド電池を購入して使用するだけで、リサイクルタイムはかなり短縮出来ます。興味のある方はお試し下さい。

 また、ニッカド電池の性能をフルに発揮させる為には、結構取り扱いが難しい部分もありますので研究してみる価値はあります。
 ニッカド電池を使った模型自動車の専門誌がかなり参考になりますし、模型専門店にはいろいろなグッズが売っています。


 以上、ストロボの性能を調べる要素について説明しましたが、予算の許す限り大光量で照射角度の大きなストロボをお勧めします。

 ストロボの選択が決まったら、次にいったい実際に水中でストロボを使用するのにはどうしたらうまく行くのか。方法についてですが、前に述べましたガイドナンバーから絞り値を割り出す方法を参考にするのも一つです。

 しかし、一番確実な方法は自分でテスト撮影を行い、データを集めることです。そして自分で自分のガイドナンバー表を作る事が一番です。

 水中では、透明度の具合によってもガイドナンバーは変化しますので、あくまでも表は参考とし、あとは透明度により自分の判断で増減してください。

 TTL撮影は便利で、それなりに露出を合わせてくれますが、基本を知ることも大事です。一度マニュアルで自分のガイドナンバー表を作ってみることをお勧めします。  経験とデータの蓄積が上達の秘訣です。常にデータを集めるつもりで、試行錯誤を繰り返すことによって自分の思うとおりに撮影できるようになって来ます。


 参考までに私の作ったYS-200のガイドナンバー表を載せておきます。(あくまでも私個人の参考データです。このとおり撮影して失敗しても責任は負いませんので、アシカラズ!)

YS-200(GN32)

ISO 100

FULL

1/2

1/4

- -

ISO 50

- -

FULL

1/2

1/4

0.3m

   

22

11

0.4m

 

32

16

8

0.5m

 

22

11

5.6

0.7m

32

16

8

4

1.0m

16

8

4

 

1.2m

11

5.6

2.8

 

2.0m

5.6

2.8

   
(by Tomokazu_Nakazawa)



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