旦那から見た出産記録(後編)
この記録は,山本夫婦が迎えた初出産の模様を私(旦那)の目で捕らえたドキュメントです。
それは、平成7年6月初旬のこと・・・

●2日目

私は、妻の出産休暇という名目で有給休暇である。
グッスリ寝て、風呂に入って疲れをとる。ゆったりと過ごしてから病院に向かう。

だいぶ楽になったみたいで妻は起き上がっていた。初めて授乳をしたと興奮している。(でも、ほとんど乳は出なかったようである。)
「もう、かわいいー」を連発していた。
妻は授乳のために子どもに会うことができるが、私は乳が出ないので会わせてもらえない。
面会時間に新生児室のカーテンが開かれるまでガマンしなければならない。面会時間は午後3時からの1時間と午後6時からの30分だけである。(だったかな?記憶が定かでない)しかも、新生児室のガラス越しでなければ見ることはできない。つまり、分娩時に触わるのを躊躇した私は退院時まで子どもに触わる事はできないのである。

ところで、妻のベッド脇にドーナツの形をした空気マクラのような浮き輪のようなものが置いてある。これは何だろう?と、妻に聞いてみる。なるほど、授乳の時に普通に座ると股間が痛いので、股間に当たる部分がくり貫いてある座布団だそうだ。とりあえず,自分の顔をくり貫いてある部分にはめ込んで写真を撮る。
子どもの顔を見て帰る。

●面会

新生児室のガラス越し面会の時間の陣地取りは実にし烈だ。我が子はガラスに近い一番手前にいるのだが,その真後ろの列の赤ちゃんの関係者が、ガラスにへばりついたらもう最後だ。我が子の顔は横目で見なければならない。まあ横目で見られれば良い方である。横は横でその前にいる赤ちゃんの関係者で埋められているので,結局は後方から背伸びをしながら,ひたすらガラス前の方々が飽きるのを待つ。当たり前のことだが,なかなか飽きない。たいていの場合,一定の時間で譲ってくれるが,かなり粘る方もいる。
我が子は実によく動かない。面会時間内に動くかどうかが勝負だ。なかなか動かないと前述の粘る方々への仲間入りを果たす。動いたのを見て安心して引き返す。
妻の出産休暇が終わって出勤するようになってからは,夕刻の面会時間だけが勝負の場になる。

●買い物

さて,前編で述べたように買い物をまったくしていない。オリジナルの準備リスト片手に買い物をした。雑貨屋、薬局で山のような買い物をし、ハンパじゃなく疲れた。(やっぱり、じょじょに準備をしておこう!!)

●命名

名前は困った。
男の子なら「龍之介」に決定していた。女の子は考えていない。家族会議の結果,妻が第一案を練ることのなった。妻は冗談なのか本気なのか「花子」を当初推していたが,「山本花子」・・・銀行の通帳の見本にあるような名前である。
友人の意見では,「龍子」(タツコではなく、リュウコである)が一推しであった。これはいけるかもと思ったが妻の賛同は到底得られない。
妻の第一案が発表される。その中には「花子(ハナコ)」、「安奈(アンナ)」等があった。「花子(ハナコ)」は、「お花チャン」と呼ばれたらかわいい!という理由で、「安奈(アンナ)」は、甲斐バンドの影響ではなく、当時「羽賀ケンジ」との交際で話題の「梅宮アンナ」嬢からのものである。う〜ん、流行物か〜!!
妻に任せたといっても自分も案を考えてきた。「静香(シズカ)」、「夏樹(ナツキ)」等である。「静香(シズカ)」は、「靜御前」でもドラえモンの「しずかチャン」でもない。「夏樹(ナツキ)」は、「ナッキーはつむじ風」からである。断じて静岡出身のタレント「岡本ナツキ」ではない。

字画による姓名判断は気にしない、と夫婦揃って言っていたのだが、結局調べることになった。なぜならば、私は大人になってから自分の名前を調べてみたが、最悪の結果であった。そしてちょっぴりショックを受けた。将来、子どもが自分で自分の姓名判断をした時に、最悪の結果が出てしまったら、怨まれるだろうなあと思ったからである。候補名を調べてみる。最悪なものは却下することになったが、気に入っている名前は、字を変えてチャレンジしてみる。
結果として、「夏生(ナツキ)」に決定する。決定までに5日間を要する。退院の日に会社を休んで出生届けを出す。出生届けの用紙も写真に撮る。何でも記録したくなるタチらしい。(自分ながら・・・)市役所で「誕生祝いのフエルアルバム」を貰った。バイクで出かけて行ったので持ち帰るのに苦労した。苦労したわりには、いまだに使用していない。(ちょっとデザインがね・・・)
友人に名前が決まったことを伝えると、同じ名前のビールが夏季限定で発売されていることを教えてくれた。名前は「アサヒ江戸前」の「夏生(ナツナマ)」である。アサヒさん、うちの子のためにアリガトウ。(そんな訳ねえよ!!)さっそく、ケースで購入する。これから先、何ケース買ったことか。名刺代わりに使えるのでうれしい。ビールの缶を切り開いたものを額に入れてプレゼントしてくれた友人M君、アリガトウ。(今年も夏季限定で発売されている。デザインがちょっと変わったから、また作ってくれないかなあ?)

●退院

新生児室での位置が、1列目から2列目に昇格し、2列目を右から左に移動していく。一番左に達したところで、母子共に退院である。1週間の入院であった。初めて子どもが新生児室を出る。私は久しぶりの生の御対面である。うー待っていたよ。ここで、初めて自分の子供を触わってみる。驚くほど華奢だ。生まれた時が2600gで、一時減るそうだから、まだそんなものだろう。壊れそうで恐い。
これから1ヶ月は妻の実家に世話になる。
(実は自分も居着いてしまった。マスオさん状態である。)
自動車で帰るのだが、人によっては長旅になる。できれば、車のシートに固定できるクーファンみたいなのが欲しい。(どこか貸してくれる所があるのかな?)

これから、3人の生活が始まる。何事も初めての経験だから、恐い気もするが、子どもの寝顔を見ていると楽しいことのほうが多い予感がする。

終わり


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