1，Lies and Truth（Voiceless version）

　hyde抜きver. の編曲パターンは２種類ある。１つは歌唱が抜けるとポッカリ大穴があいて楽曲に物足りなさが生じる、hyde の居場所が確保されたもの。もう１つは歌唱がなくともインストゥルメンタルとして成り立ってしまうもの。本曲は「夏の憂鬱」「snow drop」「浸食」のhyde抜きver. と並んで後者に属すが趣は異にする。これらの３曲は hyde の歌唱が加わろうと楽曲自体の印象が変わることはない。
　だが本曲はストリングスの加わった歌伴が爽快に走っているところを hyde が強引にハンドルを奪いとり、グイッと90度ひねると行く先は焦燥と失意のたうつドン底コース。己が入る隙間があろがなかろが「歌うでぇ〜」と楽曲に覆いかぶさったが最後、力わざで歌伴の印象を激変させてしまうのだ。
　もっとも、これくらいの力量がなければ tetsu ベースの向こうを張ることはできない。あぁ、だから tetsu はあれほどまで hyde 加入にこだわったのか。そんな強力 hyde の歌い出しに重なるコーラスは透けて破れそうなほど、まつ毛もふるえる全楽曲中最高に繊細。

−2001.09.15−