------  自由  ------

 先月3月いっぱいで退職した。
 最終日まで図面を描いているという状態だったけれど、まあ、どうにか、片付いた(と思っている)。

 勤務していた会社が希望退職者募集を始めた時、どうせ在籍しても残り一年だったので手を挙げたのだ。
 会社としては「希望退職募集」という名目で一部の人たちの解雇をしたかったようで、名指しされて退職を断った人は会社の待遇が変わるらしく、気の毒なことである … 。

 私はというと、正社員とはケタ違いの一時金しか出ないし、家にはまだ中学生がいるので、もうしばらく稼がなくてはいけないようだ。(これはあと一年勤めあげても変わらない)
 なかなか、悠々自適という訳にはいかないみたい!
 とは言うものの、フルタイムのサラリーマンはたっぷり味わったので、今度は違う事をやりたい…。
 年をくってからの、時間に追われる設計業務は、結構しんどかったのだ。

 目標は、時間が自由な在宅勤務!

 一つのネタは(一つしか思い浮かばないのだが)よく遊びに行っていた所の絵葉書の製造・販売で、これは以前声をかけていただいた事があるのだが、その時はサラリーマンだったので時間がなくお断りしてしまったけれど、今度はこちらからお願いしてみようと思っている。
 それにはまず、サンプルを作ったり、絵のネタを仕入れに現地に行かなければ  …  なんて、 ブラブラする言い訳みたいだな?
 どこかで販売してもらうとしたら、迷惑をおかけしないように慎重に踏み出さなければいけないだろう。

 結局は近場でパートの仕事を、なんてことになるのかもね?


 思えば、よくサラリーマンを続けてこられたものだと思う。(続けたといっても、社員になった株式会社は三つめだけど)
 学生時代も、社会人になってからも、周りから「あんたは進路を間違ってないか?」(必ずしも悪い意味ではない!)と言われたり、学生時代にお世話になった方に久々にお会いしたら「えっ! まだ勤めてるの?」とびっくりされた(誤解されやすい?)自分が、この歳まで普通(大体は)に仕事を続けてきたのは大したものだと、自分では思っているのだ。

 学生時代はアルバイトもいろいろやった。
 夏休み定番だったお中元配達の運送屋、ビル掃除、ガソリンエンジン工場、ミシン工場、ヤクルト販売、七宝焼き、ホテルのウェイター、ユースホステルのヘルパー、 … 。




まあ、どうにかなる。


 あまり稼ぎの良いのはなかったようだが、こうやって思い出になっているだけでも、やった甲斐があったのかも知れない。

 稼いだお金を持っては、旅行(国内の貧乏旅)に出かけていた。
 これはサラリーマンになってからも止めなかったのだが、結婚してからはご無沙汰している。
 会社でここ十数年やっていた特注部分の設計なんて仕事は、なるべく標準品を生かしながら、早く、安く、組み立てやすく、交換も簡単に出来るものを目指して図面を引くのだが、そんなことばかり考えていたらいつの間にか自分自身もそうなってしまったかも知れない。
 あまり世間から外れないよう、余計で意味のないことには深入りせず、サッサと片付けられる事を選ぶようになっていないだろうか … 。

 幸いにも、少し元気が残っているうちに一旦退職できたのである!
 せっかく得られた自由なのだから、これを機会にあまり役に立ちそうもない事にも力をいれ、気が向いた方向には、回り道でもちょっとくらいは行ってみようと思う。


 ウロウロする元気があるうちに、もう少しうろうろしたいと思っているのだ。




2015.04.01.    ................トップページへ