―  猫ちぐら(もどき) 

 ※ 本稿は、過去に掲載した「猫ちぐら 1〜4」をまとめて再編集したものです。

 猫ちぐら(つぐら)という民芸品があるらしい。

 ネコ用のねぐらみたいな物で藁を編んで作られていて、猫が喜んで入って出てこない、くらい猫に人気があるらしい(?)
 でも、数万円するし、もう作る人があまり居なくて数年待ちだとも書いてあった。(いろいろ調べたら通販で、”似たような物”が数千円であったけど…!)

 通販…でも悪くはないけど、本物…は数年も待てないし … という訳で、自分で作ってみることにした!

 同じ事を考える人は他にもいるわけで、いろんな製作記事もアップされている。
 参考にした中では、藁の代わりに紙ひもをほぐして編んでいる方の方法がきれいな仕上がりだったのだが、紙ひもをほぐす作業だけでもものすごく手間暇がかかるようで、今一つ乗れなかった …。

 で、あれこれ考えていたのだが、荒縄(ワラ縄)を使えば、と思いついたのだ。

 最初は荒縄をそのまま麻ひもで固定しながら編んでいくつもりだった。
 でも、買ってきた荒縄を見ていたら … つい魔がさして(?) 荒縄をほぐせば藁じゃん! と思ってしまったのだ。

 この思考に間違いは無い!
 確かに縄をほぐせば藁になる。
 ただ、この藁は、一度縄になわれていたので螺旋状のくせがついているし、ハカマの部分はそのまま使われているし、一旦強い力が加えられているので痛んでいて切れやすい。

 というような事に気付いたのは編み始めてしばらくしてからである。
 なにしろ、藁を編む、なんてあまりやった事が無いので、少しやってみないと様子がわからないのだ。

 とは言うものの、作り始めてしまった !! … どれだけ手間がかかる物なのか考えもしないで … 。




標準品の猫ちぐらには無い天窓(常時閉)付き!
我家のハル(猫)は いまひとつ
格別の興味は示さない (T_T)


 作り始めてから完成までほぼ毎日作業して、なんと一ヶ月!
 こんなに面倒なものとは思いもよらなかった!
 一番面倒だったのは、荒縄をほぐし、その中から痛んでいない藁を選び出し、葉っぱや穂の部分を取り除いて材料として整える事で、掛った時間の半分以上がこれだったのだ。

 私の部屋は夕方毎日、手で大きなくずを拾い、掃除機をかけ、コロコロ(粘着シートのローラー)をかけ、それでも取れないカーペットに絡んだクズをもう一度手で取り除き、それでも部屋中ホコリだらけになるというえらい目に会ってしまった
 もしまた作るときはちゃんとした藁か、それがだめなら紙紐等別の素材を使ったほうが良さそうな気がする!

 実際の新潟の商品は2万円台で販売されているようだが、 とても安いと思う!
 材料の藁も農薬の使用状況までチェックしているようだし、ベテランが編んでも10日位はかかると書いてあったが、材料の下ごしらえにかける時間を入れてないんじゃないだろうか?
 私が作った猫ちぐらもどきの材料の荒縄2巻と麻ひも1巻は¥5000も掛からない位だが、手間を考えると¥10万でも合わないような気がするのだ。
 その上、見た目の仕上がりも全然違っていて本物はとてもきれいなので、予算が許すなら本物を手に入れたほうが良さそうなのだが … 納期が○年待ちというのがね 〜 。
 

 冬、雪深い里で囲炉裏の傍らでのんびり丁寧に作っていた物だろう。
 いまでも採算性なんてあまり真剣に考えていないんじゃないだろうか … 。


 まあ、初めてまともな「藁細工」にチャレンジしてみて、いろいろ勉強になりました!


   2016.09.18.   ................トップページへ





   ― その後のねこちぐら ―

 さて、我家の猫・ハルはやっぱりねこちぐらで寝てくれない。
 昼間も、たまに中で遊ぶことがある くらいである。

 前に作ったタワーも息子のロフトベッドに上がる足場に使うくらいでしかない。

 どうやら、今のハルには必要性が無いのかも知れない。

 タワーの高低差については、二階建ての我家内をほぼ自由に駆け回っているので十分事足りているのだろう。
 私の部屋では、机に登って横の棚の上を狙っているし、風呂のワゴンの狭い上段によじ登ってはまり込んでいる。
 1〜2階の階段なんて風のように駆け上り、転がり落ちるように駆け下りている。

 寝場所は、ねこちぐらの中で一人で寝るよりはやっぱり息子のベッドにもぐりこんで一緒に寝ている方が気持ち良いだろう、 たまに息子の寝返りでつぶされかけているようだが …。

 そんな訳で、ねこちぐらも空き部屋になっている。

 私としては苦心の作を使って欲しいのだが、ハルにしてみればそんな物よりいいものがいっぱいあるよ! というところか。


 まあ、主役のハルは幸せそうなので、 よしとしよう。



   2016. 10. 23.   ................トップページへ