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ループ

随分前に話題になって、最近ではテレビでも「りんぐ2」をやるようだし、webもかなりあるようですが、私は最近読みました。
「えー今さら」という声が聞こえそうですが、オカルトだと思っていたので避けてました。
「家族の肖像」「リング」「らせん」「ループ」と続けて読んだのですが、順番としては「家族の肖像」が後のようです。

「リング」「らせん」「ループ」は三編がうまくからみあった話で、三つ読むとほんとによく出来た話です。
なーんていうと、偉そうに聞こえますが、三つ読み終わった時 おもわず「んーうまい」と いってしまうくらい北海道クリームシチュウなのです。声がでっかいちゅうの、いただきまーす北海道、いえーい!(あ、すみません、このCMが頭から離れないのです。)

恐る恐る「リング」を読み初めたらやっぱり恐かったのですが、なんだかうそくさい、作り物っぽいと思い、「らせん」を読みはじめたら「えっ、なんで?」と引き込まれて、暗号のところは飛ばして、最後の山村貞子の手紙で「えーーーーー、つまんなーい」、そして高山竜二が蘇って「なんだこりゃ」と思いながらも「ループ」に突入したのです。
するとすると、なんと(ここが一番のポイントだと思うのですが)「リング」も「らせん」もコンピューターの中の仮想世界での出来事だったのです。
う、うまい!いただきまーす北海道いえーい!(あ、すみません、また出てしまいました) それならうまく説明がつくのです。
「らせん」の最後で高山竜二が蘇る時が「ループ」の最後と重なるわけですねえ。ふむふむ.....

「リング」では「世界の最後を見るはずだったのに....」といいながら死に、「らせん」では、解剖されながらもしまいには復活し、「ループ」では、遺伝子複製という形で現世界に産まれ、自分の子孫まで残し、最後には人類を救うためコンピューター上の仮想世界に戻っていく、生命力溢れる高山竜二は、鈴木光司さん自身さのではないかと思ってます。
テレビで拝見した鈴木光司さんは、筋骨隆々、色グロ、およそ作家とは縁遠いような(あ 失礼しました。でも御本人も「力づくて本を書く」とおっしゃっていました)方で、私は「リング」も半ば頃には高山竜二の姿が鈴木光司さんとだぶっていたのでした。

三編の重要な鍵は遺伝子複製だと思うけど、子育てしながら作家を営む鈴木光司さんならではの発想だなあと思うのです。
子供を見ていると、自分が産み落としたわけではないけど、確かに自分の遺伝子を感じたのではと思うのです。

(私なんて自分で産んだのに不思議です。同じように育てているのに、顔も性格も違うし、この部分は私に似ている、この部分はパパ、この部分はおばあちゃんとか。そんな時は”遺伝子様様”を感じるのです。)

ビデオを複製することで死を避けられるとか、山村貞子が産み落す人間とか、胎内での記憶等など、そんな”不思議”が生み出したポイントなのではと思うのです。

<現実だと思っていたのに仮想世界だった、という設定は良かったです。
私も小さい頃から「今こうしているのが夢で、死ぬと言われていることが夢から醒めて現実の世界に戻ることなのでは」と思う時があります。
すごく小さい時になぜかそう思った時があったんです。
今でもこうしていることが現実じゃないような気になる時があります。
でもこれは危険思想だし、もしたとえ仮想の世界だとしても三人の子供もいるわけですから、悲しい思いはさせるわけにはいきません。
それに夫だって、私ぐらいしか伴侶となってくれる奇特な人はいないでしょう。
こういった感じは「ソフィーの世界」でもあったような気がします。
本を読んでいるつもりが、実は自分が本の中の人物だったような...
誰でも一度は持つ疑問なのかもしれませんね。

とにかくおもしろい本でした。 一人で盛り上がりました。
でも映像にしたら恐い面だけがクローズアップされそうなので、見ないことにします。




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