ロングインタビュー Vol. 3

* 表記について : ため(中島文明氏) 大谷(大谷幸氏) Q,司会(管理人)
Q: 使用しているギターメーカーを教えてください。
ため: メーカーはK.Yairi(ヤイリ)が今中心で、K.Yairiを2本使っている。K.Yairiギターのアーティスト対応(部門)っていう部分があって、ビギンや、杉山清貴もそうだろうし、桑田君もK.Yairi使っている。多分、その人が全部やっていると思うんだけど、その人に頂いたギターを使っている。俺の好きそうな音っていうのをわかっていて。で、1本は、わりとカッティングにいいのと、もう1本は、アルペジオできれいは音がするっていう2本。ずっと使ってきたタカミネは、今、3番手ギターになってる。ただ今回のライブでもしかすると、出すかもしれない。ギターは、そのつど、なんか音が変わるんだね。季節とかでいろいろと。夏場はでるけど、冬場はこっちの方がいいとか。まぁ、でも、K.Yairiかな、今は。 タカミネは3本もっているけど、ここのところよくないから、戒めのために、、、。ガットギターは、タカミネだけどね。
司会:「Color Files」に写っているのは、タカミネ?
ため: あれはタカミネ。ガットギターもタカミネなんだけど、タカミネのエレアコはねぇ、アメリカにも出てんだけど、アメリカのレコーディングの時に、向こうでタカミネ用意してもらったら、全然作りがいいわけ。[司会:向こうのほうが?]輸出用のほうが。それでカチンときて、そういうのはもう巧の仕事じゃないってことで。[大谷:ヤマハもそうだよ。グランドピアノ。]だから今はK.Yairi。K.Yairiの方が、なんか愛情がある。
Q: 僕のホームページで、「ベストアルバムを作ろう」っていう企画をやりまして、いろんなファンの方が、今までのアルバムの中から曲名を順番に人それぞれに書いてくれたんですが、ビクター時代に、1枚ベストアルバム出していますが、ソニー時代も含めて作るとしたら、どのような内容になりますか?
大谷: それ難しいよね。そういうことが可能ならば、やったら面白いと思うし、今だったら、きっとビクターで出したあのベストアルバムとは違う選曲になるよね。
ため: それに、あの音源をそのまま使うかどうか?だよね。もう一回やっぱ取り直すかもしれないし。もし、使うとなったら、うーん。
大谷: でもさあ。その取り直すっての意外とつまんなくなるんだよね。
ため:うん、まあ、そうなんだよ。
大谷: ミックスし直すとかはいいかもしれないけど。ちょっとわかんないぐらい音足すとか、引くとかね。
ため: なんか「懐かしのアルバム」みたいになっちゃうんだろうなって気がしてるんだ。
大谷: でも、それはそうなる。そうだよ。だって、今またこれで、ダンガンをじゃあ作ろうぜっ!て前行くもんじゃないわけじゃない。作ろうぜってことならば、次のベストアルバムなわけだから。(これは)過去のもんだから、懐かしのものは、いじんないほうがいいんだよ。
ため: かもしんねえ。でもあのベストアルバムに入れたのが、やっぱりあの当時、俺と大谷とみんなで選んでるから、あれが一番よかったんだろうな。
大谷: 今選ぶと、何が変わるかって言うと、おそらく、ためはための中、俺は俺の中にあった少し、色気とかさぁ~。言葉としてうまく言えないけど。今だったらもうちょっとそぎ落とした選曲になるんじゃないかって気がするんだけどね。ふふふ(笑)。
ため: ずっと聴いていてないからね。ベスト盤はCDになってるけど、アナログ盤は普段聴かないから。この間、大谷んちで聴いて、笑っちゃったんだけどね。かっこよくて。かっこいいてのはさぁ、馬鹿まっしぐらって感じ。俺はまあホームページにも書いているけど、ホントにまっしぐらだなぁ、っていう。
Q:ソロになってからのベストアルバムは考えてますか?
ため: うーん。ソロになってからっていうか、俺、バラードいっぱい書いてきてるから、バラードで1枚。なんかバラードアルバムみたいなもの、いいのかなって気もしてる。まっ、ソロはソロでね。そういう、ときがくるかもしれないね。このまんまずっとやってくと。
Q: 「Girl’s Song」についてお伺いします。現在「Girl’s Song」は3バージョンありますが(1stソロアルバム、ファンクラブオンリーで配ったカセット、LOVE44)、今回の録音については、問題等ありませんでしたか?
ため: トラブルは別になくて、出版権っていうのがあって、その出版権を、レコード会社に大体付いてるんだけど、その出版管理する出版会社に事前に連絡を入れて、次はこういう形で出しますよってことは、全部スタッフがやることで、それはもう俺の問題じゃなくて、スタッフに頼んでおく。まあ人の曲をやるっとかっていうときは、トラブルがあったりするかもしんないけど、まあ俺の場合は、全然問題ない。
Q: リクエストにありましたねっ「犬」。あれ、ダンガンブラザーズ2000?
ため: やろうとして大谷も呼んでやったんだけど。まぁー、どうだろうな。ファンはさぁ、どんな音源であれ、新しい音源で、「ダンガンブラザーズ」って付いて、俺と大谷で新しいもの作りましたってことであると、無条件にうれしいんだろうけど。ファン側の心理は、そんなにわかんないから。けど、そのー、なんていうのかなぁ~。たとえば、窓にカーテンつけるときにさぁ(笑)、カーテン張ってみたんだけど、合わせてみたら10センチ隙間開いちゃった、みたいな感じだったのね。なんか(笑)、ピタッときてねぇなっていう。それは、その時の俺のテンションであったり、そのときのメンバーのテンションであったりして、あれが悪い曲だとは全然思わないけど、ただなんとなく。まだ5センチなり10センチなりの隙間が埋められてないなっていう気がしたんだ。やっぱ「ダンガン」って名前が付いて、たとえば俺と大谷、この忙しい大谷とですね、一緒に組んで何かを出す場合に、そん時の条件とか状況とか、考えたときに、まぁ、今じゃないなっ、と、、、。
大谷: 前やってたのを、超えてないと、やる意味ないもんね。再結成でショボイほど、かっこ悪いのないからね。
ため: そういう意味かな。今、「骨までシャッフル」なんか聴くとさあ、「ふざけんな」ってくらい、すげえかっこいいなと思うわけ。なんか意気込みがあって、なおかつその時にしたいことをヤンチャにやってる。 誰に似てるっていうわけでもなく、やってる。だけど、新しく録ったのはさあ、そういう意味で、こう、はちきれてないっていうかさぁ。
大谷: こなれてたんだよね。こなれてるっていうか、まあ、みんなお上手、よくできました、っていうとこでお疲れ様、っていう感じだったからさぁ(笑)。
ため: そうそうそう。なんかねえ、もっと、ダンガンの時は、もうホント、しょっ中、喧嘩してたんだよね。しょっ中もう喧嘩で、ずっと。やっぱりそういうものが、もっとなきゃいけないのかなって気がしてんだ。今の状況で、ぶつかり合いがあったり、討論があったり、っていうことが。たとえば俺は、「そこんとこガーっとやって」とかいう表現で、大谷はその「ガーっ」がわかんない、と、そういうやり取りがあった方が、今やるにしても、いいのかなって、気がしてる。ただ、大谷はそういうの回避するタイプだから、そこを回避させないで、できたら面白いもんができるかなって気がするんだけどね。
Q: この前、「Kiss Kiss Kiss」のプロモーションビデオを見させていただいたんですけれども。
ため: 俺、知らないんだよなぁ、それ。いつ撮ったんだろう。
司会: たぶん蒲田周辺の風景とライブハウスだったと思いますが、、、
ため: 覚えてないなあ、今度見せて、それ。俺だけか、出てんの?それ。
司会:いえ。バンドのメンバー全員で。
ため: 出てる?そんなのあったっけ。[&大谷]覚えてないねえ。はずかしいっ。
司会:それ以外には、撮った曲は?
ため: ダンガンの時は、ないんじゃないの?大体プロモーションビデオがそんなに盛んじゃなかった。
大谷:ジャケ写だけでみんなブーブー言ってたもんね。
ため: ホントねぇ、ホントわがままなんだよ。俺もわがままなんだけどさぁ。わがままなんだよ。それがいいんだけどね。
Q: ソロになってからは何本ぐらい撮ったんですか?僕見たことあるのは「アレスル」と「時のバス」くらいなんですけれども。
ため: 「One Summer Day」も撮ったよ。「愛は君の見方」も撮ったと思う。そんぐらいかなぁ。
Q: 今後についてなんですけれども、「海パンライダー」をまとめて本にするつもりっていうのはないですか?
ため: 惜しくも最初のほうは切れちゃってて、それは程原君が持ってるわけでしょ。あの消え始めてからは、今は事務所でバックアップを取ってあるから。そのぉー、(やるかどうかは)要望だよね。やっぱりさぁ、50冊作ってもしょうがないから。それがどのくらいの人が、読みたがってるかってことだよね。俺自身も今まで何を書いてきたか全部を見てないんで、そういうものをチョイスして減らして、将来的に、たとえば1万人、日に1万人アクセスするようになったら、本にしてもいいのかなあって思う。結構体力いるじゃん。そういうのを企画して作るのって。体力とお金が。だからそれはやっぱ事務所といろいろ話をしてからだね。
Q:次のCDの計画は?
ため: まだ決定じゃないんだけど、来年に、コンピレーションアルバムに参加する予定があるよ。
Q:ライブアルバムとかは、考えたことないですか?
ため: どういう形にするか。ギター1本でライブアルバムを作るのか。そのときの俺の感じかな。ただまぁ、もしサポートっていうかミュージシャンと一緒にやるんだったら、大谷と一緒にやったものを、アンプラグドで録りたいなって気もしてるんだよね。今ドカンとやっても、なんかね。たとえば、「B’z」とかさ、ドカーンとやってる人の「ロックです」って言ってるやつらのところへ、今俺が出てってもね。たとえばうちの事務所だけど「ロード・オブ・メジャー」とか、ああいう若い連中のパンクっぽいのの中に、今、6人編成でアレンジキッチリして、間奏では転調して広げてっても、そんなに俺自身が、そういう音楽を今はあんまり、、、。それよりは、少ない編成で、今俺が届けたいものを幅広い年齢層に。言葉で言えばヤなんだけど、やっぱし、「癒し」。バンドで、ダンガンでやってたころは、突っ込むところに命を賭けてたんだけど、今は、引くことが結構好きで、引いて大きなインパクトを与える、っていうそういうものをライブで(やりたい)。時代の流れもそうだと思うんだよね。元々は、泉谷しげるの「春夏秋冬」から入って、南部の黒人ブルースから入っているから、やっぱしアコギと靴の音っていうような部分ってのが、俺のルーツにあって。それが比較的今は、オーディエンスがコアに存在できるようになってきたから、そういう意味では、今は、そこを素直にやったほうが、いいのかな。だからライブもそういうものを作りたいなと思う。
Q: 外国人のカバー曲ってのは、ため3のライブの中で聴くことができますけれども、今後、日本人のミュージシャンの曲でカバーしたい人・曲っていうのはありますか?以前、シングルのB面の、「いじけ、いじけて」とか「ノーノーボーイ」とかやってましたけれども。
ため: 今さ、結構70年代とか80年代ポップスのカバーを、倉木麻衣とかもやってんじゃん。あの流れって今あって、その流れに乗るかどうか、っていうのも。俺、結構意地っ張りだからさぁ、なんかヤな気もしてさぁ。だから、今、日本人で誰歌いたいかなあっていうと、逆にね、今のアーティストのものを、俺がやるんなら面白いのかなとは思うのね。「ミーシャ」のカバーとか、そういう今のやつをやったほうが。例えば、今、俺がね、荒木一郎とかさぁ、俺が幼少期に聴いてたようなポップスを。あんまり日本のやつのカバーは考えてない。ただ、ボブ・マーレーの曲に日本語のポップな詩をつけて、今の俺言葉をつけて。マイナーな方向にいくんじゃなくて、普通に。そういうことは、いろいろ思うよ。新鮮かなって。あんまり日本人でカバーしてないかなって。だってみんなやってるもん。福山雅治がやってたりとか、原由子がやってたりしてるのが、同世代だから、同じような時代の同じような曲だから。今、「花」とかやってもあざといじゃん、なんか。ふふふ(笑)。今、日本のカバーをしようって気はない。
司会:最後に、ファンに一言。
ため: いるんだよ、ホントに、「ダンガン命」って人がいっぱい。
大谷: 見に来てくれる人には、見た時に感じてもらえればいいけど、見に来れない人もいるしねぇ。せっかくダンガン好きなら、ためみたいにならないように、生きてください。
ため:なんだいそれ。[大谷:違うか。]俺幸せだぞ。
大谷: いや、そのー、さっき言った、「強くやさしく」ができたら、それぞれの人生で、いいんじゃないですか。音楽は、ダンガンだけじゃなくて、いろいろ聴けばいいし。
ため: 俺はさあ、変わらないから、、、ずーっと。今、これ(大吉のバンドスコア)見て驚いたけど、この時からゴルフゲームなんだよ、趣味が。で、学ぶことは、していくと思うんだよ、いっぱい。でも、変わらぬもの、ってあるじゃん。俺は、こうやって大谷と会ってても、ミュージシャンとして会ってる部分じゃない、プラスアルファの部分ってのが、あるじゃん。まあたとえばね、大谷が入院したらさぁ、「お見舞いに行ける人でありたいな」とか思う気持ちって、ミュージシャンじゃ、ないじゃん。そういう気持ちを、俺は昔から持ってると思うんだよね。ファンに対しては、うーん、まっ、今後とも応援していただいて、やっぱり、「俺の生き様を見ててもらいたいな」と思う。がっかりすることもあるだろうし、ファンのみんなより劣っているところもいっぱいあるだろうし。現実面でね。だけど俺が何を大切にしてるか。たとえば友情とかさ。言葉で言うと軽いんだけど、「男心を見せてやる」、じゃないけどさあ、「変わらない」とか「裏切ったりしない」とか、あのとき叫んだものを、俺が持ち続けてると思うよね。まわりは、変わったかもしれないよ、現実。で、その、変わったまわりを別に責める気もない。それは当たり前だから。ただ、せっかく何十年もね、「ダンガン」を通してみんな、「ダンガン」からのファンも一緒に困難な時代を、乗り越えていけたらいいなと思うんだよ。以上です。
司会:長時間ありがとうございました。

おわり