ホ−リ−旅行記
(イタリア カプリ編)


某月某日前夜、例の如く同僚とビ−ルを飲みながら、明日はドコへ遊びに行くかを決めていた。
  皆、すっかり本題を忘れグビグビとアオルようにして飲み始めた頃、すっかり目のすわった某同僚が
  **
カプリ**と一言つぶやき、やはり同様に目のすわった我々一同は**うむうむ**と静かにうなずく。
  かくして突然のカプリ観光は薄れてゆく意識のなかで決定した。

  そして某月某日、二日酔いのナゾの東洋人の集団はカプリをめざしホテルを出発。
  二日酔いには味噌汁が一番なのだが、あるはずもなく、駅の売店でカプチ−ノをズルズルとすする。
  **
イタリアの早朝の駅で紫煙と一杯のカプチ−ノ** 
  ホントは絵になるはずのこの状況なのだが、実際は**
二日酔いを抱えたナゾの東洋人が
  
カプチ−ノをズルズルすすり、自分の煙草の煙でオエッとなりながらウズくまっている**
  こんなサマだったに違いない。


  ロ−マのテルミナから列車に揺られること2時間、ナポリから船でカプリに行くのだが、
  考えてみたらドコの駅で降りるかも分かってない。
  まあ、**
ナポリと書いてある駅で降りればいいんじゃない**と簡単に思っていたが、
  ふと外を見るとナポリっぽい風景がデンと広がっておる。
  不安に思い、隣のオバチャンに景色を指さしながら**
ナポリ?**と聞くと、
  自信タップリに**
ナポリ!**と答えてくれた。**イカンッ!**景色が近づいてくるのなら
  **
おおっ!あれがナポリか、うむうむ、くるしゅうない。もっと近うよれ**状態なのだが、
  如何せん景色は遠ざかっていく。

  アタフタと列車を降りるナゾの東洋人にイタリアのオババは何とも言いようのない笑顔を向けた。



ナポリからは水中翼船でカプリ島へと渡るのだが、コイツが揺れる!
二日酔いから復活した我々ナゾの東洋人は、船酔いで真っ青な顔色の東洋人となり
カプリの地を踏む。
ここに来た目的は”
碧の洞窟”である。当時テレビコマ−シャルでここが出ており、
一度自分の目でその色を見てみたいと思っていたのだ。

洞窟へは小舟で行くので、イタリアの船頭さんに料金を聞いてみるとなんと!今日は風が強いので碧の洞窟へは行けないと言う。困った困った。
すると船頭さん、碧の洞窟は行かないが
白の洞窟は行くと言う。なんじゃそれは?
じゃあナニか、碧も白も緑も赤もはたまたどどめ色の洞窟もあるのか?
どうもそうではナイらしい。
しょうがない、白で我慢しようということで小舟に乗り込むが、またまた揺れる。



大海に揺られる木の葉のように小舟は、あっちへハラヒラ、こっちへヒラハラ。
**
オイラはイタリアの海の男だもんね。屁でもないもんね、こんな波**
とばかりに船頭さんは煙草をふかす。

乗客に女の子が多いせいか、船頭さん調子に乗って小島にポッカリと開いたトンネルに突入.。
頼む!イタリアの便所がどうこうともう文句は言わん!生きて内地の土を踏ませてくれ!
アミ−ゴ系の人間はイケイケだと思っておったが、イタリア系はそれに勝るとも劣らない。
ジェットコ−スタ−並のスリルのあと、なんとか無事に”
白の洞窟”にたどり着いた。

なんとも神秘的な場所で、白色の洞窟の中の海水が緑色に光っているのだ。
暗い場所なので写真はぶれているがナカナカ良い色でしょう?”白の洞窟”でこの色なら、
”碧の洞窟”の”碧”はどんな色なんだろう?
ちょっと残念であるが、まあ生きて故国に帰れそうなのでヨシとする。



決死の洞窟探検ツア−終了後、ワインでパスタを流し込むというワンパタ−ンの食事を摂る。
ワインならワインで始めからワインを飲めばよいものを、日本人はナゼかビ−ルからスタ−トする。
生涯一サラリ−マンであるワタシも **
とりあえずビ−ル**と間髪入れずに注文していた。
でも、ワインを一口飲んで**
ぷあわああ!シアワセだなあ**と感じたことはないから、
それはそれで正しいのかもしれない。
実際、ワインで**
コンチクショウ!しみるぜ!**などと言っている奴にはお目にかかったことはないし、
**
フォ−ビュ−ティフルヒュ−マンライフ**を過ごすためにビ−ルは必要不可欠といったところか。
さて、酔い冷ましの散歩にでも行くか。

地中海の太陽の光というのはとてもキレイである。
もちろん湿度や温度など、いわゆる地中海式気候によるさまざまな要因がからみ合って、
その光をキレイと感じるのだが、光というものがその地域の生き物の性格を決めるんだなとつくずく思う。
一般的に温暖な地域の人はイケイケが多いし、寒冷地の人は暗いし。
しょせんお天道様あっての生き物ですな。

このカプリ島の小径はとても雰囲気のいいトコロで2時間も歩きまわっちまったぜ。



ふと、気がつくと同僚達がいない。もしや、と思いつつブランド物の店に入って行くと
**
あれでもない、これでもない**と秋物のコ−トを試着しまくっている一団がいる。
**
これ、安いのお!8万円ぐらい。**

**は・ち・ま・ん・だとお!**

なんでも日本で買うと15万円はするそうな。そりゃあ安いかもしれんが**ううむ、恐るべし!日本人!**
清貧を常としているワタシにとっては、ちょっとヒックリ返ってしまう金額だぞ。
でも良い色のコ−トだな、ありゃまあ、買っちまったよ!

さ、戦利品も手に入れたし、そろそろ帰ろうぜ。