参考図書1 | ||
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書籍名 | 電子立国日本を育てた男 | |
著 者 | 松尾 博志 | |
出版社 | 文藝春秋 | |
出版年 | 1992年 | |
価格 | 459円 | |
概略・私感 | 八木秀次の波瀾の生涯を軸に草創期、独創的・先見的発想と抜群の説得力で日本電子工学を育てたTV用アンテナ発明者の足跡を記した力作。当時のサイエンスの様子が見て取れてとても面白かった。 もちろんアンテナの発明に行きつく話だけでなく、各方面で八木がどのように切り開いていったのか、その人間性に迫っているところが面白い。 昭和17年、日本軍は破竹の勢いで進撃を続け、英国植民地であるシンガポール島を占領した。そこを視察した陸軍は、見たこともないアンテナ装置を見つけ、更に焼却炉に残っていたノートを発見した。 そのノートには、レーダー技術のことがいろいろ記されていたが、その中にYAGIという言葉を見つけ、その意味を英国人捕虜ニューマンに問いただしたところ 『あなたたちは、この日本人を知らないのか?』 と言われ、驚嘆したという話が伝わっている。 まさしくYAGIは八木のことで、八木の特許,論文でレーダー用アンテナとしての価値に気付き実用化していたのだ。 日本人の発明が、日本人の知らない間に、敵の新兵器に使われていた。軍部が唖然としたのも当然である。日本がこのレーダー技術で敗戦したと言っても過言ではない。 アメリカ、イギリスには新しい技術を見抜く力があった。そして発明の重要性に気が付き研究・開発した。つくづく、現在でも日本には見抜く力が不足しているのではと感じる今日このごろである。 |
参考図書2 | ||
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書籍名 | 電子立国 日本の自叙伝 上・中・下・完 | |
著 者 | 相田 洋 | |
出版社 | 日本放送出版協会 | |
出版年 | 1991年 | |
価格 | 4000円 | |
内 容 | NHKで1980年代後半に放送された内容を書籍化したもの。DVD BOXも発売されている。 ケイ素(Si)の岩石から精製して純粋なシリコンを抽出し、それを半導体材料に仕上げ、ダイオード、トランジスタ、IC(集積回路),LSIへと発展していく過程の開発者たちの生の泥臭い話がとても興味深い。 後半のICあたりから、日本人開発者も多数登場してきて誇らしかった。私もLSIの設計、開発をしていたので、とても楽しく読めた。 そしてそのIC,LSIを使って電子機器がどのように発展してきたのかも詳細に書いてあり、文系の人でも興味をもって読めるのでは思う。 |
参考図書3 | ||
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書籍名 | カラヤンとデジタル | |
著 者 | 森 芳久 | |
出版社 | ワック | |
出版年 | 1998年 | |
価格 | 106円 | |
概略・私感 | 1970年代、ソニーとオランダ・フィリップス社は独自に音楽のデジタル化を目指していた。ある時、お互いの技術を知った両社は共同開発することになる。 それぞれが完成させていた技術規格をどうすり合わせるか、過酷な技術論争が続く。 ほぼ現在のCDの規格がまとまりかけた時、カラヤンにCDの音を聞いてもらった。その時カラヤンが言ったのは 『ベートーヴェンの交響曲第9番の全曲が入るようにしたらいい』 というアドバイスを受けた。 そしてCDの演奏時間が74分42秒に決められた。そのあたりの経緯が技術論も含めて詳しく紹介されている。音楽が好きな人はぜひこの経緯を知っておくべきだろう。 |