温度依存性のない安定な基準電圧が得られれば、その電圧を使って任意の電圧の電源を作ることができる。基準電圧回路には、ツェナ−ダイオ−ドを使ったものや、ここで紹介するバイポ−ラトランジスタを使ったもの、また最近ではCMOSによるバンドギャップ基準電圧回路も多く見受けられる。CMOSが増えてきたのは、LSIの製造プロセスをほとんど変えることなくLSIの中で実現できるからである。 バイポ−ラトランジスタは、ほとんどがSiで作られている。Siで作られたPN接合は、一度あたり約-2.0mVの温度依存性があるが、温度を下げていき、絶対温度0Kになると一定電圧(1.2V)に収束する。この電圧をバンドギャップ電圧と呼んでいる。 ここで紹介している回路の基準電圧は、シミュレ−ションの緑の値を見てわかる通り、約1.0Vである。 下の回路の場合、基準電圧は下記のような式になり、R2とR3をうまく設定すれば、全体の温度係数を0にできる。(ただしIR1>IR2)なぜなら、VBEは負の温度係数で、抵抗Rは正の温度係数だからである。
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