99年8月上旬


<8月1日・日>
◇今年の夏休みの自由研究「ぴょん太観察日記」より。
午前8時半。部屋中に目覚まし時計の音が鳴り響く。どうも「おじゃ魔女ドレミ」を観るために昨夜せっせとセットしておいたようだ。しかしぴょん太、昨晩のビールが効いているのか起床せず。

午前10時。ぴょん太起床。頭に妖怪アンテナを立てたまま、顔も洗わずいきなりパソコンに向かい原稿書きを始める。この間15秒。いつものことながら寝起きがいい。のぞき込むとなにやら巨大ロボットについて熱心に書いている模様。ぴょん太の文章にはなぜ「である」「だが」など、固い言い回しが多いのだ?

午後12時。ふと気づくと、ぴょん太が机の前で意識を失っていた。慌てて冷房を入れて応急処置をするが手遅れ。様子を見守ることに。

午後1時。ぴょん太あいかわらず意識戻らず。手を胸の上で組むお祈りポーズで横たわっている。ぴょん太の寝姿の中で、「ヒゲ乙女型」と名付けられているポーズである。他には片腕を胸に、片腕を広げる「ガバナー型」、「だっちゅーの発展型」などがポピュラーだ。

午後2時。ぴょん太うわごとで「僕の小説が芥川賞の候補になった」とほざく。書いてもいない小説で賞をとるとは図々しい! 1日遅れの恐怖の大王に引き取ってもらうか?

午後2時半。ぴょん太復活。「ごめんね、ごめんね」と、誰に謝っているのかよくわからない状態で再びパソコンに向かう。

午後4時。ぴょん太、原稿の先が見えたようで急速に明るくなる。部屋に巨大ロボットのビデオの音と、、キーを叩く音が響く。それにしてもこの部屋、あちこちから「御本」の木が生えている。前の部屋はこの木のせいでエクソダスしたのだが、この部屋にも胞子が付いてきてしまったらしい。あと3年もすれば「まんが(アンド 本)の林」くらいにはなるだろう。

午後9時。ぴょん太いそいそとビールを買いに外出。1・5リットルのビールを抱えて帰宅。満面の笑み。1日のうちでぴょん太が一番輝いている瞬間だ。

午後10時。マーボナスと冷や奴を食べながらビール。おきまりの「シンプソンズ」を観る。

午後11時半現在。ぴょん太、口を開けたまま座椅子の上で再び意識を失っている。で。ぴょん太くん。原稿は? ねえ原稿は終わったの?


<8月2日・月>
◇ 仕事をしていたのではなかろうか? 夕方からさくっと飲み会。帰りの地下鉄でねむりこけてしまい、気づくと西高島平に。帰宅して「ミト2」。


<8月3日・火>
◇ 仕事。終日、室内ですごし、あまつさえみなさんと一緒に昼寝まで。こっそり闇の仕事。


<8月4日・水>
◇ 仕事がバッティングしていることをすっかり忘れていた。


<8月5日・木>
◇ 仕事。


<8月6日・金>
○ 「D−ブリッジ・テープ」(沙藤一樹、角川書店 1000円)を入手。依然、ロフトプラスワンのイベントで特殊歌人、桝野浩一氏が大批判を繰り広げた(大げさか?)1作。
短編なので会社へいく間に読了。
 桝野氏が怒るのもよくわかる。桝野氏は、ウエルメイドな作品を高く評価する傾向がある(例えば「ピンポン」への言及などを見ると、よりきれいにまとまっている物語を要求しているように思う)ので、こんな小説はさすがにヒドイと思ったのだろう。僕もそれに近い感想である。新鮮味がなかった。ホラーという先入観をとりはらって読んだとしても、なにかが足りない気がする。
 それはおそらくこういうことだ。テーマ(便宜的にこう書く)に対して、物語の用意しているドラマが薄っぺらいのだ。作者が主人公に託したものをもっと手を変え品を変え変奏させていかなければ、最終的なテーマにリアリティや深みが与えられない、そんなものを書こうとして、失敗したように思える。
 でも、そうした課題はクリアできそうな気配も感じられるので、ぜひ今後も書き続けておいってもらいたいものです。


<8月7日・土>
○ 夕方から会社。合間を見て、闇の仕事をやる。赤サインペンを手にあれやこれやと粘る。これで完成になりそうである。長かった。


<8月8日・日>
◇ ひさしぶりに「おじゃ魔女ドレミ」を見る。相変わらずまとまりのないシナリオはなんとかならないのだろうか? その後、闇の仕事をコンプリートにしてから仕事に。

○ そこはそれ仕事はまあ普通に進行。合間を縫って読書。
「宙返り 上」(大江健三郎、講談社 2200円)読了。信仰の物語ではあるのだが、主人公(狂言回し?)が人間くさくてなかなかよい。しかし、ところどころどうしても富野ゼリフにみえるようなセリフがあるんだよなあ(笑)。
「ハゲ・インポテンス・アルツハイマーの薬」(文藝春秋、宮田親平 660円)読了。一度は買おうかと思って迷いそのままになっていた1冊。でも、森山氏のページでほめていたので買った。こういうテーマは話題が話題だけに親しみやすく書こうとして、失敗する場合が多いように思うのだが、そのあたりが抑えられた筆致で非常に読みやすかった。それぞれの症状の原因、薬開発秘話など幅広い部分にちゃんと目を配って書いてあり、たこつぼてきな専門性へと傾いていないのがいい。へんな例えだが、「派手さがないので人気ナンバーワンではないが、実は夏期講習がすぐに満員になってしまう予備校の講師の授業」のような平明さが魅力の本だ。
「夢想の研究」(瀬戸川猛資、東京創元社 1000円)。これは、いい。映画と本が好きな人にはオススメ。私はミステリファンではないが、筆者の奇想はとてもスリリングであった。時に世の無神経な批評等に怒っているその怒り方も好感が持てる。こういう文章を書きたいモノである。

○ 夜に都電の線路内で花火。


<8月9日・月>
◇ 暑気払い。森山和道さん、タニグチリウイチさんに加え、某社のS藤さんとY木さん(以下、取りあえずイニシャル)、S田さんとN畑さんというソフトバンク組、タカノアヤさん、そのお友達のJさん、自称コジャレ大帝の松谷創一郎さんとそのつながりで大屋さん(この二人のメルマガの企画書を拝見)、あと某社のK原さんという面子でした。

○ 話題はファントム・メナスからはじまっていろいろ。S田氏とはマンガの話、アニメの話をいろいろしたが、果たして覚えているだろうか? 初恋したいってのは、わかったけれど。そういえば森山さんにはぜひペログリ日記を書いてほしいモノである。(いじわるな笑顔へのおかえし)。それにしても、3次会でのピザのたべっぷり。タバスコを振りかけるまもな手を伸ばすというあの姿は欠食児童の群でしたな。

○ 私は池袋からすぐなので明け方タクシーで帰宅。しかも今日から夏休みなのであった。忙しい人々には申し訳ないが。


<8月10日・火>
◇ 部屋を片づけたり、いろいろ。闇の仕事は興がのらず結局手つかずのまま帰省することになりそう。資料も発見できず、ちょっとツライかも。