1999年3月


<3月1日・月>
◇ 仕事で終日闇の仕事の準備をしながらビデオ鑑賞。でも、無性に眠たくて、昼寝なぞもしたりして、夕方から新橋方面で打ち合わせ。そのあと痛飲。ついいろいろグチったりもしたなあ。お手数かけます>関係者。 ああ、ミトを見損ねた。ミトを見ろ!ってウソついちゃあいけないなあ。 


<3月2日・火>
◇ 最近の大人はどうも弱くなっているようだ。
 国歌などといういうささいなことで自らの命を絶ってしまうというショッキングな事件も、そんな一例ではないだろうか。
 かつての大人の自殺は、生活苦や秘密を守るためと理由がはっきりしていた。これは、いわば社会の中での自分の役割を熟知していたからこその自殺だ。そこには社会がある。だが、今回の自殺などは、社会からの逃避でしかない。どうやら最近の大人はかつての強さを失ってしまったようだ。
 大人を取り巻く環境は大きく変わっている。彼らはこの肥大したメディアを通してしか、社会を理解していないからこそ、これほど弱くなったのではないだろうか。例えば、女子高生を見て、全員が援助交際をしていると勘違いするような大人が多いのも、そんな傾向の一端ではないか。ニュースやワイドショーで犯罪や諸外国の天災・事故に常に触れ、時代劇で安易に人が殺されているシーンが流れていることも、大人の命を軽視する流れに拍車をかけている。これは日本の社会にとって憂慮すべき事態である。
 大人にもちゃんと判断力があるという意見もあるだろうが、現在発生している自殺の多くが大人が起こしているという事実をちゃんと認識すべきだろう。こうした命の軽視である自殺の延長線上に重大な犯罪もあることはいうまでもない。
 大人はもっといろんな人とのふれあいを経験する必要がある。会社関係での付き合いゴルフなどでは深い人間関係は築けないし、メディアに毒された正常な身体感覚を取り戻すことはできない。これはやはり健全な遊びによるふれあいを通じてしか回復できない性質のものであろう。 
   
ってな、コラムが新聞にのることはあるまい。大人の部分を子供に直したヤツはよく見かけるけどな。

(これは、最近の子供の環境をなげくありきたりなコラムに対する皮肉を込めた文章であり、さまざまな理由で自殺された方の原因をおとしめるモノではありません。読めばわかると思っておりますが、読んでも分からない人もいられる可能性を考慮してこれを付記しておきます)

○ 在宅勤務&精算。合間に闇の仕事も。さっそく酒を控える誓いを破る。まあ、ココロに誓っていれば明日は大丈夫であろ。ウソツケ。

○ ようやくビデオが借りられるようになったので、先日から「踊る大走査線」をハジから見る。
 リアルという意味でいうのならウソ(寛容なボクでもさすがにちょっと多すぎると思うところもある)はさておき、本広演出もさることながら、君塚脚本のアイデアの多さ、それからシリアスに傾きすぎないバランスのよさが印象的。キャラクターがステロタイプとキャラ立ちしているの狭間で微妙な人物もいるが、エンターテインメントとして一つの本流でしょう。こういうテクニカルなシナリオがかけるのはコント出身だからでしょうねえ。
 アニメの影響を云々される本広演出ではあるが、詳細についてはもう少し考えたり、調べたりしないと大人のよくわからない。たしかに本放送の時にはアニメっぽいと思ったのも事実だけど。


<3月3日・水>


<3月4日・木>


<3月5日・金>
○ ドキュメント「ガメラ1999」を見る。ふーん、並だ。さすがに編集のタイミングは気持がいいけど、人間には興味がないというのはありあり。これじゃあ原一男のほうがやっぱりすごいかも。そういう比べ方もなんなんではあるけれど。


<3月6日・土>
◇ というわけで、ドキュメント「ガメラ1999」を明け方まで見て、ガメラ濃度120パーセントで「ガメラ3」初日に赴く。以下、俺的感想である。ネタバレもあるかもしれないが、まあ、それはそれ。

○ 渋谷で知人と待ち合わせて、渋東シネタワー4Fの劇場へ。
  12:50の回で、入りは4割程度。初日だけあって女性が少ない。10億突破が目標なら、もうちょっとカップルが増えていかないと苦しい感じですね。なお、ここではドルビーデジタルでの上映でした。

 結論から言うと、いくつかの致命的欠点を抱えつつ、それを映画的な力技(物語に即したキャストの魅力の発揮)で見事にねじ伏せた。一気呵成の構成と、映画的な力技の発揮という点では「逆襲のシャア」とどこか似ているかもしれない。

 シナリオ的な欠陥はある。端的なのは誘拐→京都駅の展開が強引で、山咲千里の役が不要な感じが強くなっているのは事実。ですが、そうした欠点をすべてチャラにする、ウルティメイトプラズマ的存在が前田愛。彼女がキャスティングされていなかったら、まるで薄氷を踏むようなこの作品の論理構成は説得力を持たなかったでしょう。前田愛は、いまこの時期にしかありえない魅力に満ちていて、この映画は彼女にとって唯一無二のフィルムでしょう。ラブリー。
 バタ臭い藤谷顔とサッパリ系の前田顔の対比はけっこう笑えました。長峰は白衣を着ていなくて残念。知人は、可愛い髪なのにスーツとか着るアンバランスさが、オシャレに不慣れな理系らしいと分析。
 というわけで俺的には、十分満足。喫茶店へむかう道中で、手塚とおるの手マネをしながら、知人と歩く。茶を飲みながらも、知人と前田愛絶賛モード。知人は、ガメラがヤンキーくさく、額に「喧嘩上等」と書いてあったという(ウソ)。客を満腹させようとしたんだけれど方法論が、みんなちょっとづつずれていた、というのは確かに感じられるというのは互いに確認。安易な替え歌「ガメラ三兄弟」をつくる。

 特撮のスゴさはもちろん。(ギャオスがちゃんとかっこよく羽ばたいていたのがよかった。俺的には、1作目はギャオスの羽ばたきのシーンが一番とほほだったと思っているので。まあ、きっと世間的にはドキュメント版のイメージも流布するので、金子悪玉論が広まるかもしれないけれど、俺的にはちゃんと金子映画であったし、前田愛をつかって映画をねじ伏せたのは金子監督の功績であったと思っている。まあ、現場の様子なんてわからないんだけどね。


<3月7日・日>


<3月8日・月>


<3月9日・火>
◇ 新橋で打ち合わせ後、


<3月10日・水>
◇ 会社に来た取引先の人が、「金子を殺しておれも死ぬ」と、ガメラ3に大不満の様子なので、しばし語り合う。「あれは、初恋の男が悪い男だったので、オヤジが取り戻すってお話なんですよ」「梅宮辰夫ってこと?」みたいなやりとりもあった。


<3月11日・木>


<3月26日・金>
◇ というわけで、1月中旬から2月下旬までこの日記の更新を阻んでいたともいわれるムック「機動戦士ガンダム 宇宙世紀VOL.4 総括編」が、どうしてこんなに早く並ぶのか謎が謎を呼ぶ神田の高岡書店に並んでいた。さまざまな縁で、私が本文のメインライティングを担当したので、無事書店に並んだことが喜ばしくも、こわくもある。思い入れとは別の方法論で、そこここ極私的ガンダム像を忍ばせています。なおメイン執筆とは、コラムの一部とキャプションの全ては私ではなく、編集部が書いているからです。


<3月27日・土>
○ 今日は母方の祖母の7回忌である。そのため、朝から新幹線と在来線を駆使して、沼津へ。法事、墓参りの後は、伊豆長岡で一泊。仲居のオバチャンが気さくなわりには気配りがなかった。露天風呂からは咲き始めの山桜が。


<3月28日・日>
◇ 昼過ぎの新幹線で東京に帰宅。新幹線の中で寝倒すなど、やはり少々お疲れモードなので、さっさと仕事を終えようと思うが、いろいろ参照する必要があったりして、予想以上に時間がかかって終了。明日朝から神宮球場にいかねばならんのに……。

○旅のお供の鈴木大拙とティム・オブライエンはほとんど進まず。


<3月29日・月>
◇ 睡眠不足ながら朝から神宮球場へ。その後、会社に行き経費の精算をすすめていると、喉がいたくなってくる。そもそも、今日は暖かくなるかと思ったら、スゲー寒いでやんの。コンビニで暖を採りながら帰宅する。帰宅後は、体温を上げるために高カロリー飲料をいつものごとくたしなむ。WOWOWでは「幻魔大戦」。金田(アキラじゃないよ)ラストシーンも見事だが、それ以外のオーラの描写も見事。お話は……、それでも青木望のベタな音楽がなければもっと許せたか? 今さらながらに自問自答。


<3月30日・火>
◇ 昨日寒かったためか体調が優れず、終日充電。日中秋葉原に少し出かけたがそれ以上でもそれ以下でもないぐらいおとなしく過ごす。でも、夜は経費の精算と仕事をすすめる。


<3月31日・水>
◇ 風邪?もしくは花粉症で脳味噌もうろうのまま仕事を並行処理して片づける。夜は五反田で打ち合わせ。ガンダム20周年の記念アルバムby井上大輔が、富野マニア的には面白いと聴き、やはり買わねばと思う。こういう情報提供をうけると金遣いが荒くなって困る。(責任転嫁)