<12月21日・月>
◇ 映画「手の話」はこの日が舞台の物語である。吉川ひなのの誕生日。風邪をひく。新年の予定が埋まりはじめる。仕事をおえるころには寒気を感じるようになる。


<12月22日・火>
◇ 喉が腫れる。珍しく風邪薬でなく解熱剤を飲む。


<12月23日・水>
◇ カゼは一進一退を繰り返しながら在宅勤務。それでも峠は越えた模様。ボケボケの頭で「ジェネレイターガウル」の最終回をビデオで見る。

○ いろいろ不満はあるし、全編にちゃんとおつきあいしたとはとてもいえないのだけれど、感じのいい物語ではあった。お客への媚びもあまり露骨には感じられなかったし、ガウルの性格がわかりやすくて魅力的であった。
 最終回の難点は、タイムパラドックスの扱い。タイムパラドックスに陥っていると言うことは、今ある現実がもはや何度も繰り返されている可能性があるということ。「前回」と「今」の間に明確な差異があるからこそ、その輪から抜け出せるという風に展開しないと、さすがに今時の「SFアニメ」としてはまずいのでは?それから、個人的にはラストにあの下手な(知人に言わせると反町クラス)主題歌がかかったのが許せない。ガウルの全編を通して一番好きなのがEDであったオレとしては、かなり残念。  


<12月24日・木>
◇ 五反田、浜松町で仕事。サクっと終わるはずがけっこう長引く。もちろん風邪も抜けきらず。でも、飲み会を準備したりして、気分は冬休みである。 

○ 仕事をしながら捨ててあった「サイバースペースからの挑戦状」(河上イチロー、雷韻出版 1400円)をつらつらと読む。面白いし、そこにはいくばくかの真実はある。けど、同時にささいな(根幹の部分ではない)疑問も。冒頭の鼎談で気になった部分をあげておく。
1、朝日新聞批判なのかマスコミ批判なのかが未分化な論理がある。例えば、「新聞社というのは、特に朝日新聞の場合、何かによりかかってなきゃ生きていけない」(宮崎学氏の発言)とあるが、ここで特に朝日を名指しにするほど、ほかの大新聞がリッパとも思えないのだが。まあ、ネットがらみの取材でヘンなことをしているのは必ずと言っていいほど朝日であるのは事実だが。
2、「(ホームページで神戸の少年の顔写真などを公開した人は)たくさんの人にしらせたほうがいいという意志があったわけですよ。それについての見返りとか、政治的な思惑とかそんなの全然ないわけですから」(宮崎氏・要旨)。大状況に自らが仕掛け人として関与できるという「愉快犯」(というと不適切か)的心境をいっさい考慮しないのはいかがなものか? おもしろいことに自らが仕掛け人となって参加できる、というのは心理的に考えれば十分「見返り」として機能していると思うのだが。それを、「知らせた方がいいという意志」言葉だけに収斂させてしまうのはちょっと乱暴では?
 もっともボクは、そういう個人の欲望がつい剥き出しになるから(エゴが拡大されるから)ネットは面白いという立場なので、その点は誤解なきよう。
などなど。

○ 巣鴨の居酒屋で夕食。あまり食欲はないけれどアルコールが入ればちょっぴり元気になる。


<12月25日・金>
◇ 朝熱をはかると38度ジャストで思考力も低い。そこで医者へいって頓服などをもらってくる。夕方まで睡眠して、体力を養い、それから渋谷へ。喉が痛くてしょうがないけれど、お酒が入ればなんとか元気になる。とりあえず話題はジェネレイターガウルの最終回から始まって、コジャレの語源とか、ネットの喧嘩とか、憂国(苦笑)とか。そういえば意外に本の話題が少なかったかな。2次会でさすがに電池が切れて某氏がひろってくれたタクシーで帰宅。寝る。関係したみなさまお疲れさまでした、それから、不幸にして参加できなかったかた、またの機会にぜひご参加下さい。


<12月26日・土>
◇ ダルいので午後1時過ぎまで寝て、体力をためた後、散らかった布団とか洗濯物とか、洗い物のたまった流しとかはなかったことにして、新宿からロマンスカーでイチロ箱根湯本へ。道中は「ゴッド・ブレイス物語」(花村萬月、集英社文庫 400円)。そこで家族と合流して家族サービス。夕食の後、喉が痛いにもかかわらずカラオケまで歌う。寝る。


<12月27日・日>
◇ 寝て起きて、朝風呂など。「ゴッド・ブレイス物語」読了。まっとうないい話。でも個人的には収録されていた短編「タチカワベース・ドラッグスター」のほうが好みかも。クルマで藤枝の実家へ向かう。道中はひたすら睡眠で体力温存。実家へついてもそれほど元気はないので、ヨーヨーマらが演奏するピアソラを聞きながら、読書と睡眠。「ゲルマニウムの夜」(花村萬月、文藝春秋 1238円)を読み、こんなに濃厚な世界だったのかと感心し、これなら芥川賞というのはわかる、と納得。もっとも車谷長吉が直木賞というのはいまだにちょっと謎なのだが。
 ともかく、花村萬月は暗さとか弱さとかから生じる邪悪さとかそういうもやもやしたものに酔っていないのが偉いのだなあ、と実感。えてして人はそういうテーマにすると、その邪悪さによって偽悪趣味のようになってしまいがちなのだが、そこに墜ちないところが氏の作品のタフさなのであろう。
 もっとも読みながら寝たら、ずいぶんと暴力的な衝動に満ちた夢を見た。セキをするたびに、相手を罵り、とがめるようなそんな夢だった。、
 続けて「日本の近代9 逆説の軍隊」(戸部良一、中央公論社(合掌) 2400円)を半分ほど読み進める。合間にテレビをちらちらとみながら体力温存と、読書の日々である。おかげでカゼは多少よくなったかも。


<12月28日・月>
 何だか寝つけず明け方まで「「チビクロさんぽ」の出版は是か非か 心理学者・学生による電子討論の記録」(市川伸一、北大路書房 2000円)を読む。なかなか意義深い本であった。個人的な判定を書くと、チビクロさんぽの出版は○、ただボクはこの絵は下手(上手い人が描く素朴な絵という意味ではなく、純粋に下手であるとおもう)なのでこの本は買わない。
 この議論の中で一部この絵についての話題が出ているが、「絵の評価は主観による」というありがちなところで止まっているのはヘン。まあ、それが本題の議論ではないのでしょうがないのだが、そんな粗雑な意見がまかりとおるようであれば、画家の人は浮かばれまい。

○ そういえば先日「ゴルディアスの結び目」は読了した。エヴァーグリーンというのはやはりオモシロい。そうそう「弥勒戦争」も読み終わっていたけど日記には書いていなかった。こちらも堪能しました。ボクみたいな門外漢は、コンテンポラリーな傑作をわざわざ探さなくても、ハルキ文庫の復刊だけでかなり楽しめる感じだな。幸いにして某所からガメてきているので、ふところも痛まないし。


<12月29日・火>
◇ 映画「ジョー・ブラックによろしく」を見に行く。3時間1分という長尺で、アメリカ映画らしからぬゆったりとしたテンポの演出に驚く。監督は「セント・オブ・ウーマン」の。確かにアレに通じる冗長さはある。今回は、セリフの間がものすごく長くて、そのため2人の会話シーンになるとたいしてセリフもないのにえらく時間がかかる。もちろん、その間の役者の微妙な演技を堪能することはできるのでいいのだけれど。
 アンソニー・ホプキンスはやはり上手い。それから、事故死するシーンで2度も車にはねられるブラッド・ピットの役者根性と丈夫な体に敬服(←あそこは特撮だっての)。
 室内のシーンで微妙な陰影を残した撮影もなかなかみごとで、アメリカ映画にしては「文芸」のテイストが強い作品だったこともあって、個人的には予想よりもかなり高い評価をしている。

○ SWエピソード1の予告編を劇場で見た。SWの世界観の深さを感じることができる予告編で、単純にもわくわくしてしまった。しかし、エピソード1というサブタイトルはちょっと物足りない。やっぱり、ジェダイとかフォースとかの単語がある方がSW気分が盛り上がると思うが。個人的には、「ヤング・ダース・ベイダーの冒険」というのを考えているが、どうか。ルーカス印なんだし。


<12月30日・水>
◇ 朝から、五反田方面からくすねてきた「カウボーイビバップ」をビデオで見る。「ジュピター・ジャズ」は、声優陣の演技がみもの。ビバップ号を出ていくスパイク、バーで酒を飲んでいるフェイはそのナチュラルな抑えた表現がビバップの世界を深めていてかなり感心する。ちょっとネガティブな色眼鏡でのぞいていたんですが、やはり面白い、ということは確認できた。
 それと「ジャミング・ウイズ・エドワード」でエドの可愛さにノックアウトされる。あれで女のコというのがいい。スペースシャトル萌えの人(そんなひといるのか? いるだろうなあ)にオススメのエピソード「ワイルド・ホーセズ」もあった。

○ とはいうものの、ビバップを見れば見るほどアニメの不毛さを感じるのは禁じ得ない。例えば、「ジュピター・ジャズ」のグレン、「ガニメデ慕情」のアリサ(声はなんと土井美加!)あたりは、もっとアニメくさくないデザインにならなかったのだろうか? 全体が脱アニメすればするほど、アニメ的な部分が目立ったり、あるいは脱アニメの方法論そのものが定型化していること(例えば、うさんくさい老人の描き方とかがそうだ)が気になったりする。いや、そんなことを気にしなければ、けっこういいシリーズだと思うのだが。こんなことを気にしているのはオレだけか? 

△ ホームページの一部(ほんとに一部)改良をスタートする。最大の変更は、書評コーナーの一本化と、評論からレビューへの方針転換である。レビューで数を紹介する方法にしようというもくろみなのだが……。あと、迷ったけれど私が社会に向けているもう一つの顔を、このページの一部に公開することにした。まあどうせ公然の秘密だし、ね。


<12月31日・木>
◇ ひたすらホームページの改良に明け暮れる。夜はおきまりの紅白歌合戦。今年は、歌手に対してカメラがよりぎみで、昨年の演歌の最中の後ろでいろいろ趣向をこらした演出とはスタイルが違っていた。体調がもどったようなもどらないような微妙な感じ。日付がかわるとともに、酔いも回ってさっさと寝る。

○ 東京の部屋からPSが略奪された模様。