「Major Turn-Round」の衝撃
2001年の正月の事である…。
TMネットワークの次はプログレらしいという話は聞いていたし、小室哲哉は元々キースエマーソン好きだし、過去の作品にもプログレ的なものはたくさんある。だからそんなに驚かない筈だった。年末から帰省していた、俺が飛びついて買う程の期待度は無かった訳だが、まさかこんな事になるとは誰が予想出来ただろう…。
新レーベル「Rojam」からリリースされるCDは、(2年後に当たり前になる)インターネット販売か、又はTSUTAYA、新星堂でのみの店頭販売、というまるでインディーズのような扱い。コンビニエンスCD屋の存在を熱望している俺としては、このような販売形態に対して、むしろ嫌悪感さえ憶えていた。
新年早々、知人と飲みに行った。相手は昨年DreamTheaterのライブに一緒に行ったT氏である。T氏とは音楽の趣味がよくあうので、飲むときの肴はもっぱら「最近何聞いてる?」とかという音楽の話なのだが、その時開口一番T氏から出たタイトルがこの「Major Turn-Round」(以下MTR)だった訳だ。
あらかじめ断っておくが、T氏はHR/HMやプログレには(俺より)詳しいが、TMネットワークを聴いたことが無いはずである。そんなT氏からまさかこのタイトルが出てくるとは夢にも思わなかった。しかもそのときのT氏の目は、YESを薦めてくれた時のあの目だった。
「これは即買わねば」と俺が思ったのは言うまでも無く、早々に飲み屋を切り上げ、TSUTAYAに行くものの、何と正月休み。その日は寝ることも出来ず、ただ年末の自分の判断を呪っただけだった。
次の日、眠い体に鞭打って、自宅から歩いて行ける別のTSUTAYAに出かけるものの、何と販売をやっていなかった。こうなったら止まらない。愛車を出し、三件ほどTSUTAYAを襲撃。ところが…無かった…。まさに絶望が腰掛けていた。この時点で、俺にとってのい20世紀最大の後悔は、帰省前にMTRを買わなかった事に決定した、確実にだ。
ただ、同時に決定していた事もある、それは何としても、このMTR購入を「やり遂げてみせる」ということである。
そして次の日ついに東区のTSUTAYAで見つけてしまったのである…生涯の衝撃を。
青いバックに三色の星…そういえばこれはピンクフロイド、まっさきにそう思った。そしてタイトルロゴ、これはYES以外の何物でもない。プログレだ、70年代英プログレロックだ、と脊髄が反射にて判断する。ジャケットを見ただけでタイムマシンに乗っていた自分。
当然帰りの車の中で聴いてみた。ウツの甘いVoが曲に合わない…だが、「組曲MTR:Second Impretion」これには度肝をヌカれた。だが、全体の第一印象としては「こんなものか…」だった。その感想を持ったその時の自分は、今となってはもはや愚かとしか言いようがない。
家に帰ってから二回目を聴いてみた、そして気付いてしまったのである。アルバム「MajorTurn-Round」は小室哲哉生涯最高傑作だと。
以降にトラック毎の感想を書いてみることにする。乞うご期待。