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第弐回、「最近こう思う」(2000.1.25)

日頃から偉そうな事を言ってるが、俺はもちろんプロではないから音楽と接する時は必ず「聴き手」という事になる。
 金を出して音楽を聴く、という事は、そこに「選択の権利」が発生するという事である。従ってCDを買う際には色んなファクターを
元に、その音楽に「価値」があるかどうかを吟味するのは当たり前だ。

よく俺は、自分と価値観が異なる奴に対して、「メディアに躍らされやがって」という類の暴言を吐く事があるのだが、実はそれは
それで別に構わないと思っている。ま、一国で800万枚も同じCDが売れるのは、かなり危篤な文化性であるとは思うけど。

多くの人間にありがちな傾向だとは思うのだが、「TVやラジオで聴いてるうちに耳に馴染んできて良く聞こえてきた」という感じ方
がある。多かれ少なかれ、これを読んでるあなたにもその傾向はあるだろう。
もちろん俺にも全く無いではない。しかし、そのような理由で音楽に金を出すような事は絶対にないと断言は出来る。

俺は音楽とって一番大切なのは「第一印象」だと思っている。最初に聴いて「×」だったものが「○」になる事はないし、逆もまたし
かり、である。
もちろん、その音楽の持つ音(Vo含む)やリズムによって若干の差はあるだろう。しかし「良い音楽」にとって、そんな細かい差な
んかは全く関係無い。「ジャンル」等という評論家の勝手な価値観で決められた括りなんかは超越してるんだよ。

では、俺にとっての「良い音楽」とはどういうものなのか。
全てはバランスと衝撃である。優れたバランスを持ち、聴いた事のない展開、音を持つ音楽こそ良い音楽なのだ。
たとえばギタリストがもの凄いバンドであってもその他がついて来てなければ良いとは思わない。また、素晴らしいコード進行で
あっても演奏やVoが普通ならば良いとは思わない。

例えばキャッチーなメロディーを持つJ−POP。確かにサビは耳に残る事が多い。しかし全部を通して聴くとCMを意識しすぎた、
あまりに幼稚な音楽である事にすぐに気づく。

例えばインギー。確かに素晴らしいギターのテクニックだ。しかし俺はギタリストではないので、冷静になって曲を聴くとあまりに
拙い完成度である事にすぐに気づく。

例えばエアロスミス。確かにSタイラーは素晴らしいVoだ。メンバーの演奏も素晴らしく、全体のバランスは世界最高峰のバンド
である。しかし曲の展開は何とも退屈なハードロックである事にすぐに気づく。

実は最近満足のいく音楽に出会っていない。あまりにルーツに走りすぎて「定番」的なものしか聴いてないのが原因だ。
そろそろ新しい音楽に目を向けて貪欲に知識を吸収する必要があるのだろう。
そういった意味では、ロック以外の音楽に対して偏見がなくなってきた最近の状況は正しいと言える。 

第弐回「最近こう思う」完