注:完全趣味のページです。私が今までに聴いた全てのアルバムの中から、和洋問わず選択して記録して行きます。
なお、作品を厳選する為、更新が非常に遅くなるかも知れません。宜しくお願い致します。
1999.9.20から下記の文章に同感してくれた変人数
1999.5.16暫定追加分
「Fragile」 邦題「こわれもの」(YES 1971)
この作品は、まずジャケットからして異常です。ファンタジーを想像させると言えば聞こえがいいですが、それも和製RPGの香りぷんぷんなのです。(もちろんそのころそんなのはありませんが)
しかし、そこにB級な感じは一切なく、洗練された世界の広がりの予感としては十分過ぎるヴィジュアルである事は否定出来ません。
音楽のほうですが、隆盛時YESのまさに象徴と言うかの如く、謎楽器の連発。特にメロトロン。普通、ロックには使わないこの楽器が放つ、異様なメロディー。当時としても、かなりの衝撃であった事は言うまでもないでしょう。
そして、なんといってもS・ハウのギター。こんなリフは聴いた事ないよっていいうリフのオンパレード。「ああ!落ちそう!」という綱渡りを見ている観客的な緊張感を存分に感じさせてくれるため、ガナるだけのギターしか聴いた事のなかった私の受けたショックは相当なものでした。まあ、 ライブであれだけのクオリティーを出す事が可能なハウにとっては、このくらい造作もない事かもしれませんが。
先の「危機」が、完成された最高の組曲であるとしたら、この「こわれもの」は、今後のYESの方向性を確立させるための実験音楽であったのでしょう。プログレッシブロックという言葉は、まさにこのアルバムのために存在しているのです!
もっとうまく説明できないのが残念ですが、凄く好きな物というのは言葉でなかなか説明しにくいものなんですよ。
1、ROUND ABOUT
全ての音楽を、曲という括りで括った場合、私が最も好きな5曲の中に入る名曲です。これを初めて聴いた時、脳みそを直接ハンマーで殴られた様な気がしました。キーボードとギターがとにかく凄い。音楽やってる人にはよくわかるでしょう、この際どさが。
ロックやってる人でこれを分からない人は、ロックをやめてボサ・ノヴァに転向しましょう。その方が身のためです。
ただ、この凄さがわかってしまったが最後、定型コードの曲は、聴く事も作る事も出来なくなってしまうでしょうけどね。
2、CANS AND BRAHAMS
ジャケットの具現化がこの曲でしょう。王宮を連想させる短いインストゥルメンタルです。
3、WE HAVE HEAVEN
この曲の効果を後で死ぬほど思い知らされます。しかし、これだけ聴いてもあまり凄くはありません。
4、SOUTH SIDE OF THE SKY
比較的ロックしてます。2分強からの連続転拍子にド肝を抜かれ、その後のピアノにドキドキします。こざっぱり感はありますが、この位置にこのクオリティーの高い曲があるという事が大変重要なのです。
5、FIVE PER CENT FOR NOTHING
一転してクリムゾン風な難解な曲です。35秒のギターソロですが、よく聴くと次のLONG DISTANCE RUNAROUNDにつながってる事が分かります。
6、LONG DISTANC RUNAROUND
まさにYESにしかできない曲とはこういう曲なのでしょう。S・ハウの凄さが滲みでています。この曲で本格的にドキドキし始めるため、何も手につかなくなってきます。何かをやりながら聴く事は到底不可能です。
7、THE FISH(SHINDLERIA PRAEMATURUS)
LONG DISTANCE RUNAROUNDからノンストップで突入します。これ自体は一部のH/Mのバンドがよく使う手法ですが、さりげなさが涙ものです。ここでもハウのリフが火を吹きます。謎楽器の投入も本格的になり、来るべき最終章に向け、一気に加速といった所でしょうか。
8、MOOD FOR A DAY
またまた、ギターソロです。しかし、今度はなんとアコースティック!また、3分のインストゥルメンタルでこんなに緊張する曲を私は今まで聴いた事ありません。「こわれもの」が、アルバムであるにも関わらず、ライブのような臨場感を出しているのは、この曲があるからかなのでしょう。
9、HEART OF THE SUNRISE
前半繰り返し響く同じフレーズ、くどくなる一歩手前で新しいフレーズへ・・・・。長いトンネルを抜けた時に広がる荒野をイメージさせます。時折挿入される、全く異なる拍子。それらが何の違和感なくマッチした時に意識は遥か遠方へ飛んでいってしまいます。
しかも、最後は・・・・・・・アルバムとしての完成度を象徴するかの技が・・・・・。 必聴です。
1999.5.2追加分
「CLOSE TO THE EDGE」 邦題「危機」 (YES 1972)
聴いた後、一日中「ぼ〜っ」としてたのを記憶しています。白昼夢とはまさにあの事を指すのでしょう。
とにかく、これが同じ人間の作った物とは思えませんでした。
たぶん、私が未だにCDを買い続けるのは この作品を超える感動を味わいたいからなのだと思います。
私が、ジャンルというものを一切気にしなくなったのも、このアルバムを聴いてからです。音楽に定型なんか必要無いという事を教えてくれたんです。
一部のマニアな方は、「YESSONGS」(確かにライブアルバムとしては最高傑作)だとか「Tales Flom Topographic Oceans 〜海洋地形学の物語」(これって音楽の形をした哲学書?)だとかの方が良いに決まってるじゃないか、とおっしゃいますが、それは嘘ですので決して騙されてはいけません。難解であればいいというのは間違いですから・・・・(何だかんだ言いながら「海洋〜」はジャケを壁紙にしたり、1フレーズをトップページで流したりしてますが)
私は今だに、どこかに出かける時は、「CLOSE TO THE EDGE」を必ず携帯するようにしています。
興味のある人は一回聴いてみましょう。大変メジャーなアルバムですので、何処にいっても(例えそれが街のレコード店であったとしても)リマスター盤が手に入ります。
もし万が一、聴いてみて良さが分からなければ、あなたと「危機」はねじれの位置にありますので、散々罵声を放った後、ごみ箱(別にどこでもいいのですが)に捨ててしまった方がいいでしょう。
1、Close To The Edge(組曲)
4楽章構成になっていて、アナログ盤ではA面を全部使用しています。 プログレの手法である、同一フレーズの使用を効果的に用いて、聴き手に一種のデジャブを起こさせます。これを聴いた時、あなたの脳裏にはきっと世界の終末が見える事でしょう。さあ、絶望の世界へ旅立つ準備は出来ましたか?音が創るこの世の終末へ。
2、And You And I
これも4部構成です。1に比べ、アコースティックの要素が非常に強い曲です。所々に挿入される際どい転調が描き出すユニゾン、これが全てです。他のバンドには真似できないでしょう。最後のフェイントも最高!プログレの醍醐味を存分に味あわせてくれる曲です。ちなみに私は、これを聴くたび涙が止まりません。(大の大人がですよ!)
3、SIBERIAN KHATRU
これまた違った感じの曲です。1stアルバムを彷彿とさせるエレクトリックな感じが、1、2でどこかに飛んでいった心を呼び戻してくれます。普通の人にも聴きやすい作りにはなっていますが、やはり転調、転拍子で、音楽を少しかじった事のある人には、どこか気持ち悪いかもしれません。
もう一つ言うならこの曲だけを聴く、というのはあまりお勧めしません。順番に聴いて初めて分かる良さがここにはあります。それは(どんなに世界が変わろうとも決して)揺るぐ事のない無い事実なのです。
次回予告!
またしてもプログレ。前衛ロックキ○ガイ必携アイテム、UKロックのバイブル的存在、EL&Pの「Brain Salad Surgery」 邦題「恐怖の頭脳改革」をお送りします。