2005.12.24

東京アンティークウオッチショップ巡り

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東京アンティークウオッチショップ巡り 2005.12.24

何年ぶりか忘れましたが、久しぶりに東京の時計屋さん巡りをしてみました。

12月23日に姪の結婚式があって東京へ。

その翌日、クリスマスイブにたかさんの案内でひさびさ、あるいは初めてのお店へ突入しました。

まずは老舗から。

ライベートアイズ

やはりバブルバックの品ぞろえが他店より多め。

でも、昔ほどの勢いはない感じでした。

ピーク時とくらべて、バブルバックの人気が下がったためでしょうか。

プリンスのジャンピングアワーがあって、値段は忘れましたが10年前よりはこれも確かに安くなっていたようです。

バセロン2本、パテック3本。コンディションはまあまあ。

老舗ですが昔より店内は縮小している印象でした。

喜久屋

つぎは上野へ。

地下鉄・御徒町駅を上がるとすぐの店。

現行中古が中心で、オールドパテックの腕時計も数個ありましたが、それよりオールド懐中パテックに目が行きました。

陶製ダイアルのもので58万円で、とても良いコンディション。

ムーブメントにこだわれば、興味は腕時計から懐中に移行する、と、さくさんがHPで書いておりましたが、腕時計と比べると入手しやすいのは確かです。

ついでに地下の中古カメラコーナーへ。

ライカの品ぞろえがいっぱいあって、バルナックの III f が8ー10万円。

Mになるとけっこう高いですが、III f とか III g とかなら安いし、オブジェとしてはけっこう使えます。

余談ですが、熊本のセコンド時計店を覗いたとき、時計が展示してある横に、やはりバルナックライカが置いてあって、妙にその風景にマッチしておりました。いちおう販売可、とのことでしたが。

さて、最近凝っているニコンFのフォトミックが4万円ちょい。

バルナックライカもそうですが、クラシックカメラのショップの相場は、どうもヤフオクあたりとそう変わらないようです。

というか、アンティーク腕時計と比べて、明らかに安いのです。

例を挙げれば、グランドセイコーのファーストモデル。昭和35年に25000円で発売されたこの時計は、現在30万円以上が相場です。カメラでこれに相当するのはニコンFだと思いますが、昭和34年に61700円(50mm F2レンズ付)で発売。しかしいまの相場はヤフオクで 2−10万円くらいですね。未使用品・付属品付きで20万円くらいですから、圧倒的に安いのです。

これはいったい、なぜなのでしょうか。

いろいろ考えてみました。

1.腕時計は完動品であれば、それ自体で時を知ることができ、すなわちそれ自体で機能として完結している。現代でも十分使用できる実用的なものである。

2.いっぽう、カメラはいかに完動品であっても、写真を撮る道具にすぎない。写真を撮って初めて機械の機能として完結する。古いカメラは露出計がなく、あまり実用的でないものが多い。

3.腕時計はファッションの一部になりうるが、カメラは・・・、もし黒縁のメガネをかけて首からカメラを下げていたら、欧米ではあきらかに風刺漫画に出てくる、おのぼりさん的な日本人のイメージそのものである。すなわちおしゃれなイメージとはほど遠く、オタクなイメージが強い。

4.腕時計は小さいが、カメラは大きく、保管に場所をとる。

5.カメラのレンズはカビやすく、カビがつくと使い物にならない。腕時計の文字盤も焼け、染みが出るが、それがまたアンティークの味わいとなることもある。

6.時計・腕時計の歴史はカメラの歴史より相当古く、そのぶんコレクターも多い。

7.機械式腕時計もクオーツの時代に入ったとき、二束三文で売られていた。エレクトリック・デジタルカメラに駆逐されつつある機械式カメラも、これから徐々に復権していくのだろうか?

などなど。

でも、最近出入りしている、某骨董店の主人から、その意見を聞いて、ちょっとびっくり。

「カメラのコレクターは、収集にあまりお金を出さないのです」

「それはナゼですか?」

「たぶん、腕時計のコレクターとは価値観が違うのだと思います。ケチとかいうのではなく。ですから、我々骨董屋にとって、中古カメラは商売にならないのです」

「機械式腕時計のように、機械式カメラはこれから復権していく可能性はあるのでしょうか?」

「カメラのコレクターの性格から見て、それは無いと思います」

というように、なかなか衝撃的なお言葉でした。

だいぶ横道にそれましたが、アメ横をずっと歩いて行くと。

秀光

ここも上野の、知る人ぞ知る有名店です。

店先にはライカなどの中古カメラ。奥に、国産、舶来時計が所狭しと並べられています。

表のバルナックライカが妙に高いのが気になりましたが、まず奥へ。

パテックはオールドもの、現行中古、と品数は多いのですが、やはり店の佇まいから見ると高めの印象でした。やっぱり店構えと値段のバランス、というものは確かにあると思います。国産時計もありましたが、やはり高めの印象。

ケアーズ

ひさしぶりのケアーズ。店内の印象は昔と変わらず、ショップのあの本、「オンリー・アンティークス」のように、素晴らしいコンディションのアンティークウオッチが多数あり、まさに王道を行っている、という感じです。このお店の品ぞろえは、基本的に私の趣味と一致するので、見ていてとても楽しい時計がいっぱいあります。

二階に上がるとそこは修理工房で、時計修理士が4人、スイスのカビノチエのごとく仕事をしておりました。昔と同様、値段はけっこう高めでしたが、そのコンディション、安心感からすると妥当なとこかな、と思わせるものがあります。

ルーツ

ヤフオクで何回か取り引きをしたことがあるお店です。このお店はヤフオク出品当時は、名前を売るためかすべて1円スタートでやっていましたが、最近はショップ値段でヤフオクに出してますね。たまに1円スタートしてます。品ぞろえは多いもののコンディションはまあまあ。クリスマスセールで大幅な値引きをしているせいか、SOLD OUTの値札が目立ちました。ここのオーナーは、ダズリングの有竹氏からアンティークウオッチのイロハを習ったそうです。金むくのティソ・ワールドタイムに目が行きましたが値段が合わず撤退。

ワンミニッツギャラリー

原宿の老舗。途中、閉店したディレクティーズを探しながら歩いていくと、いまは服飾を扱うお店になっているようです。さらに途中にナイスタイムがあり、エレベーターで5階に行こうとするとボタンにロックがかかっていて5階は開かずの間になっておりました。アポ取ってからじゃないと開けないことにしたのでしょうか。あるいはもう閉めてしまったのかも。

さてワンミニッツギャラリーには元サッカー選手の店主・山下さんが昔訪れたときと同様、中におりました。昔と違い、ドアはオートロック。強盗対策でしょう。ここはもともとスポーツロレックスで有名で、以前はデイトナ手巻とか何本か有ったのですが、スポーツロレそのものも減っている印象でした。デイトナの親戚は、店先に古いロレックスクロノが一本有ったのみ。全体として、このお店もかつての輝きは感じられませんでした。

あるいは、HPの通信販売に力を入れているため、店頭にはモノが少ないのかもしれません。それは、プライベートアイズにも言えることですが。

ダズリング

クリスマス・イブの夕方、最後にたどりついたのが、このお店。店主の有竹重治さんはワールドフォトプレス刊、「ロレックス・シーン」の著者として有名なかたです。イギリスで30年まえからロレックスをはじめとするアンティーク時計の売買をしており、先年東京・渋谷区神宮前にお店を出しました。午後五時ころ訪れたのですが、そう広くはないお店に、すでにカップル一組、お子さん連れのご夫婦が一組。カップルのほうは、彼女から彼への時計のプレゼントを物色中でした。なにしろクリスマスイブですから。

この夜、東京では、無数のカップルがお互いにプレゼントの交換をして、高級フレンチレストランでお食事をして、それからホテルへお泊まりするんですねえ。この夜だけは、高級ホテルもラブホ状態、ホテルのひとにとっては、翌朝のお部屋の掃除が大変だそうです(笑)。

とてもワンパターン的行動ではありますが、それもまた日本の経済の一翼を担っているんだなあ、とイブの夜、暮れ行く東京の空を見上げて思ったものでした。

さて、お店に入ったものの身動きがとれないので、一時撤退して先にワンミニッツギャラリーを見に行って、その後再度突入。

もうお客さんは僕らだけ。

ありがたいことに、ケーキとコーヒーを出していただきました。

「北海道から遊びに来ました」

「それはそれは遠いところをようこそ。時計はかなりたくさん集めていらっしゃるのですか」

「いえいえ、安い時計をほんのすこしばかり・・・」

品揃えは、オーソドックスなものが多く、店頭にはそう高価なものはありませんでした。HPを見るとパテックもかなり在庫があるようなので、頼めば、奥から「お宝」が出てくるのでしょう。

店頭で目についたのは、モバードのデッドストック。三針時計ですがかなりたくさんあって、ショップとしては比較的安目の値付けであったと思います。

同じ東京・原宿、モバード専門店であったディレクティーズの話題を少々。

有竹さんは、日本人ながらイギリスの(われわれがイメージする)ジェントルマンを思わせる、物腰穏やかな方でした。

それと、ロレックス・シーンの続編をいま企画中だそうです。私としては、ケアーズの「オンリー・アンティークス」に負けない、各有名メーカーを網羅したムックを期待しており、有竹さんにもそうお願いしました。

「私は、時計はまず買ってから考えます」

「買わずに後悔するよりも買って後悔するほうがまだよい。良い時計との出会いは一期一会ですから」

「アメリカで時計の仕入れをしたことはありません。アメリカは良いコンディションのものが少なく、現物を見ないで取り引きするのは危険です」

・・・などなど、短い時間でしたが貴重なお話を伺うことができました。

宝石広場

さて翌日の12月25日は、ひとりで宝石広場へ行ってきました。

ここは、現行品の高級時計の新品・中古がメインなのですが、アンティークウオッチもそこそこ置いています。

モバードのカレンドマチックとかは 7−8万円で、ヤフオク並のお値段です。

総じて、モバード、ジャガールクルトとかは安目の印象でした。

モバードのクロノが、ダイアルは傷みがあるものの20万円台で、けっこうお買い得かも。

しかし、明らかに手巻きのモデルに「自動巻き」表示があったり、ダイアルがリダンかどうか定かではない、など購入には相応の知識と鑑定眼が必要だと思われます。

手巻きのデイトナを4本発見。今回のショップ巡りでは、他の店にはまったく無かったデイトナ手巻きモデルですが、あるところにはあるんですねえ。

6263が2本、278万円、6265が1本、258万円、あと6263のポールニューマンモデルが1本、値段忘れましたが、けっこう高かったです。

以前、東京ショップ巡りをしたときより100万円以上高くなってます。

不思議です。パテックが値上がりしてるのはわかるのですが。

そもそもロレックスでは、パーツの供給は、たしか2010年か2011年で終了、としています。日本ロレックスでも、そろそろ並行モノのOHを断られそうな時期になってきていると思われますので、今後の価格の動向には要注目、ですね。

まとめ

オークションの一般への浸透により、中クラスのアンティーク腕時計は、ショップにとって商売になりにくくなっています。

日本では、アンティーク腕時計は「程度が抜群に良いか、それ以外か」に二極化されています。

程度の良いものは抜群に高い値段で取り引きされるものの、それ以外のものは売り物にならない。アメリカなどでは、程度のいいものから悪いものまでピラミッド型に存在し、中程度のものもそれなりの値段で取り引きされていますが、日本ではそうではないのです。ショップで売られるものはデッドストック級の極美品でなければならないし、そうでなければヤフーオークションで安く買えばいいや、ということになってしまうのですね。

ですから、アンティークショップとして存在していくためには、他店には無い「個性、特徴」が必要です。

そういう厳しい時代の中、今回廻ったなかでは、

メンテナンスに力を入れ、美品をそろえているのが「ケアーズ」

イギリス経由の仕入れに強いのが「ダズリング」

とにかく安くアンティークウオッチを買うなら「宝石広場」

というところでしょうか。