● 国際司法裁判所(ICJ)と国際刑事裁判所(ICC)

2002年7月1日に国際刑事裁判所が発効します。
個人を裁く世界ではじめての常設国際裁判所1998年7月のローマ会議で採択された
128条(ローマ規定)に基づき,設置されることになりました。
139カ国で署名,69国がすでに批准を済ませています。
アジアはきわめて少なく,欧州(EC)やアフリカなどが中心となっています。
日本は支持を表明するのみで,署名はしていません。

◆ 国際刑事裁判所(ICC)

ここでは大きく分けて3つの項目について裁判が行えることになっています。

@特定の民族や宗教集団などの壊滅を狙った集団殺害(ジェノサイド)

A一般住民の虐殺やレイプ(性的虐待)などの「人道に対する罪」

B捕虜の取り扱いなどを定めた戦争法規定違反(戦争犯罪)など

オランダのハーグには国際司法裁判所がありますが,国家間の法律問題を取り扱う組織で
個人までは裁けません。
これまで第2次世界大戦後の東京裁判やユーゴスラビアなど,臨時で戦争裁判が行われたことはありましたが,
国際刑事裁判所はこれから常設法廷として機能します。
非人道的な指導者が裁かれる可能性を示すことで,
紛争を抑止することを大きな目的としています。
公平な裁きで,紛争当事国の和解や再建を促すねらいをもっています。
裁判権を行使できる「管轄権」は2002年7月1日以降に起こった事件に限られますが,
時効はありません。
ICC政治的利用の歯止めとして,検察官が判断したことでも
国連安保理で捜査や訴追の停止を命じられます。

アメリカは協力しない方針です。
なぜかというと,米兵が裁かれる可能性があるからです。
ICCに署名し,批准している国に兵を派遣した場合,その国の法律に従うことになるからです。
それどころか,この組織を否定的にとらえています。
国連平和維持軍に参加した場合の問題解決がされていないので,参加しない可能性を示唆しているそうです。
これには賛否両論あるでしょうが,それこそ政治的かけひきによって
世界中の人々が不幸になることがあってはならないと思います。

 

<参考記事> 2002/6/26 朝日新聞朝刊より

… … … … … (閑話休題) … … … … …

日本でも法改正を行わないと批准できない部分があるため
見送っているようですが,ジュネーブ条約の追加議定書も含め,
果たして平和な国をつくるための努力というのは,どんな部分を創造していけばいいのでしょうか。
有事3法案反対!と,出てきたものを否定する(「もぐらたたき」とも言う)のはだれでもできます。
もっと必要な情報を「政府広報」でCMでもなんでもすればいいのに,と思います。
政府としての姿勢がマスコミ関係者から伝わってくるだけというのは不自然です。
広く国民に知らせて,どんなために,どんな必要性があり,具体的な場面や問題点などはないか
きちんと明らかにしないのはなぜでしょうか。
うちわをかざして話題になった沖縄の議員がおりましたが,
この方も具体的なビジョンで代案を示すべきです。
もっと建設的なものを。
そして数多く。
政治家はこの日本をどんな国にしたいのか。

マスコミも,代案を示すべきです。
多くの有識者の意見を,ねらいを明確にした上でどんどん紹介すれば,
それこそ広く国民が情報収集し取捨選択できるというものです。
反対キャンペーンだけを意図的にするなら,単なる煽動者というくだらない烙印を押されかねません。
平和を維持するためにすべきこと,必要なことは何なのか。
言論の自由は反対意見を言うことだけではないと,国民も知っているのですから。
口先だけの,理論武装を尊ぶ人間にはなりたくないものです。
人のせいにしているだけでは,とうていボランティアの心は理解できないですよね。

みなさんはどんな生きかたが良いと思いますか?