K45 Engine Overhaul

エンジンののオーバーホールになります。
オイル下がりが激しくなってきたところで、追い討ちを掛けるようにクーラント漏れ。
今回は現場の関係からエンジンは降ろさずに作業しました。


やっと工場のスペースが出来たので、愛車入場。
手前の赤い工具箱が私のです、これはアルファーロメオを全塗装した時に、余った塗料で全塗装。


まずは、アッパーのインマニ(チャンバー+スロットル)脱、この状態でプラグは交換します。
ここで水密テストなど、分解しながら検査をしていきます。


続いて、ベルトカバーとインナーのマニフォールド脱!。この時にとんでも無い事実が・・
写真では解りにくいが、なんとタイベルが緩んでる、何でさ?、どうしてさ?、誰が組んだのさ?・・・俺だ〜。
多分テンショナーのロックボルトが緩んだのだと思う・・でも?。
微妙では有るが、各ポートの汚れ具合に注目。


これはリアバンクの 2、4、6、番の各ポート。
画像では解り難いが、バルブはどれもオイルに塗れてる、6番が特に汚れてる。
因みに、真ん中に見えているセンサーがノックセンサー。
その下のパイプがWポンプからサーモスタットブロックえ繋いでいるパイプ。
フロントバンクも同様の状態。


以下3日目。
いよいよカバーがはずれ、問題のベルトを望む。と・・・・あれ? テンションが有る。
嬉しいのか残念なのか、ロックボルトの締め付け不良ではなかった、まだ私の腕もイケテルか?
テンショナーの不良か、動作範囲を超えたところで、たまたまロックしたのか?、
でもロックする事が問題!。交換だろうな。


テンショナープーリ周辺のアップ、ボルトはがっちり締まってた。
テンショナーのピンのクリアランスがちょっと狭いかな、(基準値 3.8〜4.5mm)


ベルト脱、テンショナーのピンはしっかり出ている。


ウォーターパイプ脱、ポンプ裏側には漏れた根拠は見当たらない。


フロントバンクのヘッドカバー脱。ガーン!、ショック!!!
汚い、バッチイ、スラッジだらけ、どうするとこうなるの?
シンナーのお風呂に入っていただきます。


カムシャフト脱、そのラッシュアジャスター周辺


外したローラーロッカー。シリンダーごとに分類します。


フロントバンクのヘッド脱。
シリンダー内部は、想像していたよりは綺麗な方、カーボンの堆積量は多い。


ヘッド脱


同ブロック


ヘッド清掃始まる。
取りあえず燃焼室のカーボンを落とす。


バルブ類の分解


左がバルブ、右上はシンナー漬けになったスプリングとヘッドボルト類
右下は外したステムシール。
ここで疑問が生まれた、ステムシールが結構きついのである、
外した後なので変形もあるが、バルブスプリングを外した後も
バルブは自重では落ちてこなかった。


ロッカーアームとラッシュアジャスタ。


少し余談。この見事なスラッジやカーボンを落とすのに、
この「メタルクリーンが良いよ」と紹介してもらった、効果のほどは・・・・


ロッカーカバーの裏にメタル・・の水溶液をいれ、約2時間放置。
指先でコチョコチョッっとやったらこの結果、今後の活躍に期待!


クランクケースを見る。
枠上の汚れたものがメインベアリングのキャップ、1ベアリングに4本のボルトを使った剛性設計。
これは3Lのターボとこの3.5Lエンジンで採用している。
やっぱり汚い・・


シリンダーは結構綺麗、トップの段付磨耗も見られないし、ホーニングの状根もも残っている。


抜いたピストン。
スカートは傷や磨耗は見られない・・・が〜。
ランド部の極端なカーボン汚れ。
リングは1番のみ合口を測定したが、すべて標準値の低い方で問題なし。
だが、オイルリングはカーボンで固着状態、リングも交換に踏み切る決心か付いた。


リングを抜いたランド。(ピンボケご免!、後日差し替え・・出来たらね)


同 リング付。(ピンボケご免!、後日差し替え・・出来たらね)


リングはこのような構成、これも後日差し替えます。

ヘッドだけで済ます予定がピストンまで抜いてしまった
分解も終了して、清掃に入ります。
日々アップデートします。


メタルクリーンに漬け込み洗いしている、シリンダーヘッド。
本来ならもっと大きなケースに入れて洗えば早いのですが・・・無いので一灯缶。


バルブとラッシュアジャスター、それにロッカーアームが漬かってます。


ピストンの洗浄中。
コンロットのスラッジは電光石火で綺麗になった、
けどピストンクラウンのカーボンは手ごわい!。


洗浄終了前のピストン。
コンロットは新品みたい、でもピストンクラウンのカーボンが残ってます。
このピストンは綺麗な方で、バルブリセス内に残るピストンが多い。
ランド部は歯ブラシでこすり、古いリングを折って掃除。
でもなかなか落ちない。


洗浄中のフロントヘッド、同じエンジンに付いていたとは思えない。


洗浄途中のラッシュアジャスタ。外装はこれにて終了。これから動作確認と内部の洗浄。 油圧がかかるだけでほとんど流れが無いのでスラッジだらけに違いない、 でもこの部品は非分解。清掃もかねた動作確認とエア抜き。そしてそれが組み付け準備になる。


洗浄の終わったパーツ類、ビンの中はコッターが48個入っている。


ヘッド一個目が終了。二個目を漬け込む。
この後に気が付いたのだが、フロントバンクとリアバンクのスラッジの付き方がまったく違う。
ロッカーカバーも含め、フロント側のほうがはるかに汚れが酷い。
多分フロント側のほうが早く冷やされて、スラッジも付きやすいのだろう。


洗浄後、ヘッドのバリ落し。いまさら取れてベアリング類に傷を付けることは無いだろうが気分的によろしい。


こちらは加工前。


ブロックの清掃。ガスケットを剥がし、シリンダーのカーボンを落として上面はこの辺で終わり。


清掃中のバルブ。
左半分が約3週間メタルクリーンに漬け込んだ物。
左側はさらにペーパーで磨いた状態。
排気バルブのフェース面はもう荒れている、できれば交換してやりたい。
吸気はまだ行ける。
フェース面もペーパーで擦ってやったわ、ザマミロ!。摺り合わせでごまかそう。


と・・言う事ですり合わせ、こんな感じです。
コンパウンドをつけて、バルブをシートに叩くようにすり合わせをします。
すり合わせと言っても回して擦ることはしません。


すり合わせ途中の排気バルブ(左)。当たり面が荒れているので、通常なら交換、もしくは研磨。
あたりは付いているバルブなので、均等に当たっていることが確認できる程度しかやっていません。


シート側、こちらは綺麗に当たり面が出ています。基準より少し狭め・・何でだろう?。普通広がるのに。
ポートはまだカーボンが有りますが、もう止め!


組み立てたヘッド、分解前とはえらい違い!。でも妥協の塊です。


リングを組み込んだピストン。 左側のハサミ見たいのが、リングを組み付ける道具。


新品のリングのピストン。気持ち良いですね〜。


このようにリングをプレスしてシリンダーに押し込む。
しかし、このコンプレッサーは「イモ」でリングを壊しそうになった。
缶詰の空き缶で作るコンプレッサーの方がまだ信頼性が有る!。


一月ぶりに綺麗になって戻ってきたピストン。


ヘッドの組み立ての仕上げ、オイルシールの打ち込み。
特殊工具が無いので、汎用工具を拾ってきた、サイズぴったりで使い捨て。


出来上がり!。


ブロックも磨いて脱脂、ガスケットを載せて重いヘッドを持つために呼吸を整える。
若ければそんな必要は無い。


脱脂したヘッド面。エキマニは付けてしまった方が後が楽。


乗せてヘッドボルトを締める。
ラジエター周辺の埃が無いのは、ここを椅子にしてリアバンクを組み付けたため。
そのときはシリンダーが足置きになる。


パッキンを取り付け、出番を待つ。
「汚いものには蓋を・・」と言うが、綺麗なものにも蓋をしなければいけない。


タイベルの組み付け直前。
車載状態では非常に大変、専用工具を作っておけば良かった。


感激の瞬間。
もちろん一発始動、この後オーバーヒートしたり、大変なことになるが即安定!。
ネジが余らなかったのも感激の要因?。


一月分の埃を洗いながら、アイドルで様子を見る。
「ガチャン!ガラガラ!カンカンカン・・」などの音は何も聞こえない。
しばらくは慣らし運転。
完成!!!