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ルッツジャンプ(Lutz Jump)


エッジ

 ルッツは、アクセルの次に難易度の高い技です。アクセルは他のジャンプよりも回転数が0.5回転多いため、難易度が高いわけですが、ルッツは他のジャンプと同様、トリプルルッツなら3回転となり、回転数による差はありません。

 それではなぜルッツが難しいかというと、踏み切りの姿勢から回転に移るまでの体の変化に無理があるジャンプだからです。

 アクセルも含め、他のジャンプは踏みきりのときのエッジのカーブと同じ方向に向かって回転します。なので助走の力をジャンプに伝えやすいのです。しかしルッツは、踏み切りの時に描くカーブと逆の方向に向かって回転します。自然の力に逆らった方向に回転するため、同じ回転数でも実質的にはより回転力を増してやらなければならないわけです。

 ルッツは実際に跳ぶのはかなり難しいのですが、特徴的な姿勢をとるため、見分けるのは比較的簡単です。まずリンクの中央付近から後ろ向きに左足のアウトエッジで滑走してきます。ルッツジャンプはトウを付くジャンプのため、右足を徐々に後ろに下げて踏み切りの体勢を作っていきます。ジャンプする瞬間、右足のトウを氷面に付き、両足で同時に跳びます。踏み切りのときは時計周りのカーブを描いてきますが、回転は反時計周りの方向に向かって行います。逆方向に回転しているわけです。

 逆方向に回転するためには姿勢をより正しく整える必要があるため、他のジャンプに比べて助走をかなり多く取るのが特徴です。写真のうち、一番上の姿勢の状態が長く続き(といっても2秒くらいですが)、その後の動作は速く行われます。また、助走が長いため、着地点はリンクの端になることが多いです。

 女子においては、トリプルルッツが現在のところ最高難度の技といっていいと思います。もちろんトリプルアクセルの方が難しいのですが、伊藤みどりさんが引退した現在ではトリプルアクセルを跳べる人がいません(多分)。トリプルルッツを成功するかどうかが優勝の鍵となります。

 男子では比較的簡単にこなしてきます。トップクラスの選手はトリプルルッツ→トリプルトウループのコンビネーションジャンプで挑戦してきます。また、ほとんどの選手は3回転なのですが、1人だけ、4回転のルッツを跳ぶことが出来るという、とんでもない選手がいます。名前が思い出せないのですが、今度の長野オリンピックで成功させることが出来るか、注目されます(残念ながら今回は成功させることはできなかったようです)。

 ところでちょっと話が変わりますが、いままではジャンプを反時計周りに回転することを前提としてきました。しかし時計周りにジャンプを回転する選手もわずかながらいるのです。ほとんどの選手は半時計周り回転なのですが、アメリカのトッド・エルドリッジ選手のように時計周りに回転する選手も存在するのです。

 時計周りに回転する場合は、左右すべての動作がすべて逆になります。エルドリッジ選手のルッツは右足のバックアウトで滑走してきて、時計周りに回転し、左足バックアウトで着地します。だから一見すると他のジャンプと間違えてしまいがちです。しかし回転方向が逆なのと、左右が逆になる以外はすべて同じなので、慣れれば判別が容易になってくると思います。なお、左右が逆なので、鏡に映して見れば全く同じになります。

 回転方向は、ジャンプの都度変わるものではなく、選手によって決まっています。また、ジャンプが反時計周りならば、スピンも必ず反時計周りになっています。あらかじめどの選手が時計周り回転なのか知っておけば、判別するのがわりと簡単になると思います。知らない選手ならば、スピンの時の回転方向を覚えておけば、ジャンプの回転方向を見分けることが出来ます。

 いままでもそうでしたが、これからの説明でも、ジャンプは反時計回りに回転することを前提として説明します。逆回転の選手については、すべての左右を読み替えて判別してください。

助走1
左足バックアウトで助走中。この後、エッジはこのままで右足を後ろに持っていく姿勢が特徴的です。

助走2
さきほどより右足を後ろに下げ、前傾姿勢になって踏み切りの準備に入っています。

助走3
左足バックアウトのまま踏み切り。右足は思い切り良くトウを付いてジャンプします。

跳躍
左手を上げながら回転しています。遠心力の影響があるので、手を上げながらのジャンプは難易度が高いです。

着地
着地は他のジャンプと同様、右バックアウトで降りています。

写真は、ビアチェスラフ・ザゴロドニュフ(Viacheslav ZAGORODNIUK)選手のトリプルルッツです。(1997年世界選手権フリー演技より)


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