※女性スッパ絵のため注意。
※トロワ設定のチャーロザ。
※ブログからの再録+絵部屋と文章部屋両方に同時UP。




























【19歳、23歳、26歳。】

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一時の快楽に身を任せた夜から醒めてみれば、襲ってきたのは思いの通じた喜びや共に過ごした一夜への恥じらいなどではなく、ただ一線を越えてしまった自分への「呆れ」だ。
私たちが共に歩める未来はきっとない。
だからあの時も、あの時も、そう言い聞かせて想いを留めていたというのに、ここにきてこのありさまだ。自分を笑うしかないではないか。
一度でも肌を合わせてしまえば、想いを通じ合わせてしまえば、あきらめがつく ―― わけなどなかった。
ただ一層恋しいと思うようになるだけと、わかっていたというのに。

最初に会ったとき、あなたは19になったばかりと言っていた。
ありふれてつまらない社交パーティーの場、まだ少年からぬけ切れてないような風情のさして年の違わぬあなたに、当たり前のように家名をつけて名乗った私。
あなたは一瞬だけ不快そうな表情を見せた。
それはすぐに人なつっこい笑顔の仮面に隠されたけれど、私はそれがひっかかって、喧騒を逃れるようにバルコニーに立っていたあなたを見つけ声をかけてみる。

「ミスタ・ウォン」

あなたのことをそう呼ぶと、やはりあなたは少しだけ嫌そうな顔をした。
カタルへナ家の娘であることに誇りを持っていた私は、代々背負う名が嫌いと言うあなたに興味を持った。
反対にあなたは、私のことをいけすかないつまらない女と思ったかも知れない。

それでも聖地へ赴いてしまえば、もう会うこともないと思っていたけれど、こういうこともあるのだろうか。
再び出会った23歳になったあなたは、姿こそ大人の男性になっていたけれど、性格はやんちゃな子供そのもの。
自分の家名にわだかまりを感じているのも、あの頃のままのようだった。
その後特殊な状況で過ごした1年ほどの時間の間に、あなたは少しだけ私への悪印象を解いてくれたような気がした。
正直にそう聞いてみると

「いや、前会ったときからエエ女やなぁ、そう思っとったで?」

ぬけぬけと言った彼の本心は、正直わからなかった。

そして今、あなたは26歳。
家名と家業についてはどうやら少し、開き直った様子。
私の知らない3年の間に、何があったのか。
知りたくないと言ったら嘘になるけれど、私の知らない誰かとの出会いが理由かも知れないと邪推してしまう身には、知ってしまうのも怖かった。
かわってしまったものはもう一つ。私とあなたとの間にあるもの。
互いに惹かれているのを自覚せずにいるのはもう無理だった。

19歳、23歳、26歳。

会う度に一足飛びにあなたは歳を重ねていって、少しばかり精神的に老けたとはいえ、わたしは相変わらずの17のまま。(でもこういう事態になったからには推定18と言い張ってみるか)
こんなふうに女を抱けるような男になっているあなたに、少しばかりの距離を感じながら、あるいは19歳の時点で既にそれなりに遊んでても不思議はないな、と考え直した。

空っぽの寝台、抜け殻のように残されたあなたのバスローブ。
きっとあなたも、どこか私の見えない場所で、私と同じような苦笑を浮かべているのかも知れない。
私たちの未来は、この理想郷を離れてしまえば最後、もう交わらないことを知っているから。
それでいて夜が明けて私が2度寝から目覚めた(ふりをする)頃には、悩むことなんか何一つないかのようないつもの人なつっこい笑顔で、ばかばかしい冗談を言ってくるのだろう。 私はその冗談に、笑うか呆れるか、あるいは怒るかするのだろう。

本当は何をいわれたところで、ずっとあなたの側にいれたなら ――
そう言って、泣き出してしまいたいようなこの気持ちは抑えたままで。



◇ Web拍手 ◇


ブログから再録。数文字だけ改稿。
アニメでチャーリー熱上がったころから練りはじめた、書いたら3部作くらいの超長編チャーリーネタがあって、それをロザリア視点であっさり書いたら3KBのSSになった(笑)
長編は現状だといつ書けるか分からないから、SSででも形になって嬉しい。


2010/05/12執筆、2012/02/28再録






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