とあるホ-ムペ-ジに以下のような記載がありました

簡単な方法で行うことができるインフルエンザの検査ですが、インフルエンザの検査は受けるタイミング
がポイントとなります。なぜなら、検査を受けるタイミングが早すぎると、本来はインフルエンザに罹っ
ていても検査では陽性反応が出ない場合もあるからです。インフルエンザの検査は発症後12時間以上経
ってから受けるのが良いと言われています。

 これは本当でしょうか、当院でも期間中は多数の検査を行いますが経験的には上記の如く感じた事はあ
りません。検査におけるポイントは検体採取技術です。インフルエンザにて最初に罹患するのは咽頭扁桃
です、別名アデノイドです。これは上咽頭後壁に位置しており、採取ブラシはここを充分に擦過する必要
があります、もしここに到達していないとウイルス量が不足します。初期にはウイルス量が少ないので
偽陰性の結果となります。

 上記事実に対して検査結果を統計処理しました。対象は平成26年2月より4月に当院でインフルエンザ
迅速検査を行った382例です。発熱してからの経過時間と陽性率の関係を調べました、結果については
耳鼻咽喉科情報処理研究会などで発表しておりますが以下で概略を述べます。




インフルエンザ検出率と発熱経過時間


A型B型混合

検査至時間 検査至時間以内 検査至時間以上 比率の差の検定
データ数 陽性数 陽性率 データ数 陽性数 陽性率 差(以内-以上) P値 検定結果
2 26 14 0.538 356 194 0.545 -0.006 0.949
3 43 24 0.558 339 184 0.543 0.015 0.849
4 70 37 0.529 312 171 0.548 -0.020 0.767
5 83 43 0.518 299 165 0.552 -0.034 0.585
6 95 46 0.484 287 162 0.564 -0.080 0.173
7 98 48 0.490 284 160 0.563 -0.074 0.207
8 108 51 0.472 274 157 0.573 -0.101 0.075 有意傾向
9 113 55 0.487 269 153 0.569 -0.082 0.142
10 137 67 0.489 245 141 0.576 -0.086 0.104
11 137 67 0.489 245 141 0.576 -0.086 0.104
12 187 95 0.508 195 113 0.579 -0.071 0.161
13 188 96 0.511 194 112 0.577 -0.067 0.191
14 215 114 0.530 167 94 0.563 -0.033 0.525
15 218 114 0.523 164 94 0.573 -0.050 0.329
16 227 120 0.529 155 88 0.568 -0.039 0.451
17 230 122 0.530 152 86 0.566 -0.035 0.497
18 241 124 0.515 141 84 0.596 -0.081 0.124
19 241 124 0.515 141 84 0.596 -0.081 0.124
20 278 145 0.522 104 63 0.606 -0.084 0.141
21 279 146 0.523 103 62 0.602 -0.079 0.171
22 281 148 0.527 101 60 0.594 -0.067 0.244
23 281 148 0.527 101 60 0.594 -0.067 0.244
24 311 168 0.540 71 40 0.563 -0.023 0.723
25 311 168 0.540 71 40 0.563 -0.023 0.723
26 312 169 0.542 70 39 0.557 -0.015 0.814
27 312 169 0.542 70 39 0.557 -0.015 0.814
28 312 169 0.542 70 39 0.557 -0.015 0.814
29 312 169 0.542 70 39 0.557 -0.015 0.814
30 319 174 0.545 63 34 0.540 0.006 0.933
  この表は382例のインフルエンザ検査に於いて統計処理をしたものです。発熱後2時間から 
30時間の時間帯でその前後の陽性率を計算しています.例えば検査至時間4の列ですと4時間
前の時間グル-プが70例で陽性が37例、陽性率は0.529です。4時間より後の時間グル-プ
ですと 312例で陽性が171例、陽性率は0.548です。陽性率でみますと前時間帯グル-プの方
が0.02 陽性率が低下しています、この差が統計的に有意差であるかを見たのがp値となります。
この場合 は0.767であり有意差は認められません。ちなみにp値<0.05だと5%の危険率で有
差があるとされます。各時間帯のp値をみますといずれも0.05以上です、言い換えるとどの時
間帯で区切ってもその前後で検出率に差がないと証明されます。従って発熱後2時間以後は検出
率に差はなく、重症化とかウイルス拡散の危険を考慮に入れれば早期に診断治療する事が重要
です。上でも述べましたが耳鼻咽喉科医がこの部の取り扱いには習熟しており、早期に検査さ
れる場合は耳鼻咽喉科受診がお勧めです。

なおこの結果は本年の当院の結果であり普遍的と述べてる訳ではありません。他にも検討されて
いる事例がありましたら連絡下さい。