STEP3 ウェアリング


INDEX 
 [実践的な装備としてのウェア]
 [アンダーウェア]
 [ジオライン]
 [インナーウェア]
 [アウターウェア]
 [デニール]
 [レインウェア]
 [帽子]
 [手袋]
 [懐炉]
 [スパッツ]
 [撥水スプレー]
 [レイヤード]


[実践的な装備としてのウェア]

アウトドアの世界で、昔ともっとも変わったのはウェアリングかもしれません。
かつてはアウトドアウェアといえば、ウールやダウン、綿などの天然素材のものがほとんどでしたが、今では、100%といってもいいほど化学合成(シンセティック)繊維素材におきかわっています。

そして、アンダー、インナー、アウターという三つに区分されたそれぞれのウェア群が機能分担し
、気温や天候などのシチュエーションによって組み合わせ(レイヤード=重ね着)を変化させて対応するレイヤーシステムが確立されています。アウトドアウェアは他の装備と同じように、場合によってはそれ以上に実践的な装備になっているのです。

[アンダーウェア]

 アンダーウェアに要求される機能は端的にいえば皮膚表面をドライに保つことです。運動すれば汗をかきますが、アンダーウェアは、その汗を皮膚表面から吸い上げ、外側へと放出して肌をドライに保たなければなりません。
 普通のファッション素材では、吸汗性が高く、肌触りのいい綿がアンダーウェアやスウェットシャツ素材の代表格ですが、綿はアウトドア用アンダーウェアの素材としては適していません。大量に汗をかくアウトドアスポーツでは、綿に含まれるセルロースが水をためやすく、すぐに飽和状態となってウェットに肌にまとわりついてしまいます。肌に水分が直接触れると、それが蒸発するときの気化熱によって、体温が奪われます。とくに、冬に汗をかいてそれが冷やされると低体温症になるまで体温を奪われ、場合によっては危険なことすらあるのです。
 今のように高機能の化学合成繊維がないころは冬のアンダーウェア素材としてはウールが一般的でした。ウールは繊維自体に水を滞留させる性質がなく、毛細管現象によって、かいた汗をすぐ外側に排出するので、いつも肌がドライに保たれるのです。冬山で、一人は綿素材のアンダー、一人はウール素材のアンダーを着ていました。吹雪の中で遭難し、ほかはほとんど変わらない装備だったのに、綿素材を着ていた人間は死亡し、ウールのほうは何もなかったという例もあるほどです。
 ただし、ウールではそれに含まれるラノリンなどに対してアレルギーをおこしやすい欠点があります。ウールのようにウィックドライ(蝋燭の芯のように水分を吸い出す性質)効果があって、アレルギー性もなく、またウールより軽いという性質を実現したのがシンセティック素材のオーロンやポリプロピレン、ポリエステル、クールマックス、クロロファイバーといった繊維を使ったアンダーウェアです。
 それぞれで微妙に性能は異なりますが、いずれも前記のような性能を備え、汗をかいても綿のような不快感がないのが特徴です。最近では、さらに高い抗菌性を持たせて不快な匂いなどの発生を押さえたジオラインのような素材も登場しています。
 こういったシンセティック素材は、冬の使用を中心としたアンダーウェアの他にも、夏向きのTシャツやスウェットシャツ、さらには次で紹介するインナーウェアの素材としても使用されています。どんな条件下でも、綿よりははるかに快適なことは間違いありません。
●追記
 ぼくは、ゼロポイントブランドのクロロファイバー製アンダーウェアをずっと愛用しています。フィールドウェアとしてだけでなく、冬のオートバイライディングなどにも欠かせない装備で、へたなアウターを着用するより、このアンダーウェアのほうが保温性が高く感じられます。汗をかいても、すぐに排出されるので、常に肌はドライで、綿との差は歴然です。
 また、夏場にはもっぱらウィックロン素材のTシャツを愛用しています。ぼくは大汗かきなのですが、シャツがビショビショになるほどの汗をかいたままで冷房の効いた喫茶店などに入ることもありますが、これならまったく平気です。

愛用しているクロロファイバー製のアンダーウェア
吸水拡散性(ウィックドライ性)に富んでいて、汗の蒸散が早く、肌は常にドライに保たれます。同じアクリル系でも、初期のオーロンのように、汗が嫌な匂いになって残ることがなくなりました。

 

[ジオライン]

 モンベルが開発したシンセティック素材。無機系抗菌ポリエステル糸と超抗ピル・ポリエステル糸を組み合わせで、今までにないウィックドライ効果を実現しています。湿度0?100%まで、ほとんどの条件下で性能が低下しません。生地表面は親水処理されているので、肌さわりは綿のように自然で、他の化学合成素材のように着たときに冷たくも感じない。抗菌性、保温性が高いのも特徴。
●追記
 どうやら、モンベルでは、このジオラインに絶大な自信を持っているようで、最近のアンダーウェアのラインナップは、すべてこの素材を使うようになっています。オーロン素材にいち早く着目して、ウールからシンセティックへというアウトドアウェアの大きな流れをリードしたモンベルだけあって、この分野では一日の長があります。今度購入しようと思っているのは、もちろん、モンベルブランドのジオライン製アンダーウェアです……ちなみに、ぼくはモンベルのまわし者ではありませんので、念のため。

 

[インナーウェア]

 インナーウェアの役割は、アンダーウェアが吸い出した汗をさらに吸い上げ、外側へと放出することと、寒冷時に着るインナーウェアは適度なデッドエアー(対流しない空気)を生地の中に保持して保温することが基本性能として求められます。いくら性能のいいアンダーウェアを着ていても、インナーウェアのウィックドライ性能が低ければ、せっかく外側へ放出された汗が飽和状態となって結露し、それが冷やされて不快に感じられてしまいます。また、デッドエアーを溜められないインナーウェアでは、どんなにアウターで外気を遮断しても体は寒さを感じます。
 季節や天候、着る人の運動量などによって、インナーウェアにどれだけの性能が要求されるのかは異なります。ですから、一概に、インナーウェアは何がいいとは断言できません。また、インナーウェアとひとことで言っても、シャツからセーター、場合によってはダウンベストまで、アンダーとアウターの間に着るものならなんでも指すので、その種類もたくさんあります(詳しくはレイヤードの項を参照してください)。
 一般的には、春夏なら薄手のウールかウィックドライのシンセティック素材を使ったシャツ、秋口にはそのやや厚手のもの、冬は素材は同じで厚手のシャツもしくはフリース素材のプルオーバー(頭から被るセータータイプのもの)やジャケットといった選択が考えられます。フリースとはポリエステル糸をパイル状に織り起毛したもので、細い繊維が密に入り組んだ断面構造をもち、強力な吸汗性があります。しかも、生地の重さのわりにデッドエアーの保持能力が高く、現在はウールのセーターに代わって、冬のアウトドアインナーの定番となっています。ペットボトルから再生される繊維素材としても有名ですね。
 キャンプ地での停滞が多く、汗をかくような運動をあまりしないのなら、それほど神経質にウェアを考える必要もないでしょう。ただし、夜間にかなりの冷え込みが考えられる場合は、綿100%素材はお勧めできません。
 トラウザー(ズボン)に関しても、インナーウェアについて説明したこととほぼ同じことがいえます。ただ、足のほうは上半身ほど温度変化や濡れに敏感ではないので、それほど厳密に考える必要はありません。ハイキングや登山をする場合には、足の動きを制限されないウールやウールと化学合成混紡素材のストレッチパンツや軽いチノクロスのパンツなどがいいでしょう。
●追記
最近、フリース素材のウェアが、インナーからアウターまで幅広く使えるウェアとして定着しています。ぼくは、モンベルのポーラテック200という、少し太目の繊維を使ったプルオーバーと、細い繊維を使って肌触りを良くしたLANDSENDのジャケットタイプを愛用しています。前者は、作りもごつく保温性も高いので、もっぱらハードな山行用。後者はしなやかで、着心地も軽いので、ハイキング用や普段着としています。
フリース素材は肘や肩などこすれやすい部分で繊維がかたよって薄くなりやすいので、この部分が補強されているものがお勧めです。

フリースは、アウトドア用インナーとして、すっかり定着ししました。
様々な種類のシェルと組み合わせることで、気候・温度に対応したきめ細かなレイヤードが可能です。

 

[アウターウェア]

 外気に直接触れるアウターウェアは、いわば人間を守る殻(シェル)の役割を担っています。じっさい、アウターウェアの表地はシェルと呼ばれ、寒さ、風、場合によっては強い陽射しや雨から人間を守っているのです。アウターウェアの選び方も、季節や気候によって千差万別です。
 春から夏にかけての天気が安定しているときなら、日光による日焼けや虫などから肌を守るだけの最小限のシェルがあればいいでしょう。たとえば、綿やナイロンの薄いジャケットやウインドブレーカー程度で十分です。秋口から初冬にかけて、朝晩には冷え込む時期なら、少し厚手の綿とシンセティック繊維を混したマウンテンパーカなどが丈夫で暖
かくお勧めです。さらに本格的な冬のアウトドアで過ごすとなれば、ダウンやシンサレート、その他の化繊綿がインシュレートされたジャケットやオーバーパンツが必要となります。もっとも、それもアンダーやインナーとのレイヤードの仕方で様々なバリエーションが考えられます。
最近のアウターウェアは、ゴアテックスなどの、汗は通し雨は防ぐ防水透湿素材をシェルに使うことが多くなりました。これらの素材を使ったアウターウェアは、レインウェアとしての機能も合わせ持っているので、ふいの雨にもあわてることがなく機能的で、しかも荷物の軽量化にもなるという一石二鳥のメリットを持っています。
 アウターを選ぶときのコツは、少し大きめのサイズにすることです。フリースなど、インナーにボリュームのあるウェアを着てレイヤードするときに、アウターが窮屈だと、動きがスポイルされてしまうからです。ウェア内部の蒸れを防ぐという点でも、あまりぴったりしたアウターは避けるべきです。

●追記
new for fall 125 x 125 今は、やはりアウターといえば、ゴアテックスなどに代表される防水透湿素材を使った、全天候型のジャケットですね。ゴアテックスは、登場したばかりのときは、フィルムが固く「ゴアゴアテックス」などと揶揄されたりしましたが、それも今は昔のこと。長年の技術改良によって、風あいは違和感がなくなり、撥水性はもちろん耐久性も含めた性能も年々向上しています。これからアウターを選ぼうというのなら、防水透湿素材をシェルに使用したジャケットが絶対お勧めです。ついでに、同じ素材のオーバーパンツも合わせてコーディネートして、雨具兼用としてしまうと合理的です。

 

[デニール]

アウターウェアのシェルにはナイロン素材が用いられることがほとんどです(ゴアテックスなどの新素材も、ナイロン生地をベースに特殊加工したもの)。ウェアのカタログなどを見ると、デニールという言葉がよく登場します。デニールとはナイロン生地を織ってある糸の太さの単位です。1デニールは9000mの長さで重さが1gの糸。一般にアウターのシェルに使われる生地では80−240デニール程度の糸で織られています。単位が増えれば糸は太く丈夫になりますが、逆に太くなるほどしなやかさは失われていきます。丈夫さとしなやかさのバランスのちょうどいいところが80−240デニールの糸で織られた生地なのです。

 

[レインウェア]

アウターウェアのシェルの説明でも紹介した防水透湿素材が、今のレインウェア素材としても主流となっています。先にも紹介したように、アウターウェアをレインウェアと兼用することも、かなりポピュラーになりれました。
かつての雨具はナイロン生地にウレタンやゴムをコーティングした素材や、緻密に織った綿やウールにオイルを含浸させた素材が使われていました。前者は防水性は高いが通気性がないので蒸れやすく、雨の中で少しハードに行動すれば中は汗でぐっしょりになってしまったものでした。後者はある程度の通気性が確保されているので快適ですが、強い風雨にさらされると防水性が低下し、また耐久性も低いものでした。
雨具の中が蒸れず、しかも高い防水性をというレインウェアにとっての永遠の課題に一つの答えを提示したのが防水透湿素材だったわけです。
防水透湿、つまり雨の侵入は防ぎ汗は外へ排出するという原理はわりあい簡単です。例えばゴアテックスは、PTFEフィルムとポリウレタンポリマーを複合した多孔質の極薄のフィルムをナイロン生地にラミネート(挟み込み)したものですが、そのフィルムに開いた孔の大きさが、雨粒より小さく、汗が蒸散するときの水蒸気の粒よりは大きく、内側からの水蒸気は外へ逃がし、外側からの雨はブロックするという仕組みなのです。
他に、ナイロン生地に樹脂を含浸させたり、生地の表面に微細なパイルを起毛したりして防水透湿性を持たせた素材がありますが、いずれも水滴より小さく蒸気より大きな多孔質の膜を作るという原理は同じです。
レインウェア選びの基本もアウターウェアの選択と同じで、インナーウェアのボリュームを考えて、多少大きめのサイズを選ぶことです。また、縫い目の目止め(シームシーリング)がきちんとされていないウェアだと、生地の防水性が高くてもここから水が侵入してしまうので、必ず、ウェアを裏返して、縫い目にテープを張ったり、あるいは樹脂を塗るなどしてシームシーリングされていることを確認しましょう。

ゴアテックスに代表される防水透湿素材は、レインウェアの定番となりました。
レインウェアの弱点は縫い目です。生地の裏を見て、シーリング(目止め)がしっかり施されていることを確かめましょう。定期的にシーリングをチェックして、剥がれてきていたらシームテープや樹脂系のシームシーラーで補修をしておきましょう。

 

[帽子]

 夏の強い陽射しを防ぎ日射病を予防する以外に、虫やかぶれやすい植物との接触を防いだり、冬は寒さを防ぐといった意味で、アウトドアでは帽子が必需品です。
 じつは、ぼくがずっと悩んでいるのは、自分に合う帽子がみつからないことです。61cmという特大サイズの上、後頭部に角(突起ですね)を持つ特殊な頭の形状のため、きちんと頭を収める帽子がなかなか見つからないのです。そのため、夏場は特大バンダナの鉢巻き、冬は繊維の伸びきったニットキャップという形が定着しています。ちなみに、ヘルメットのたぐいは受注生産品です。

左から、夏場に被る風通しのいいキャップ、冬場の定番ウォッチキャップ、夏場に海岸などで快適なストローハット。

 

[手袋]

 手袋もアウトドアでは冬だけの装備ではなく、フィールドを歩くときの怪我や虫刺され防止、調理中の火傷の予防用として必需品です。軍手、もしくは厚手の革を使った作業用グローブを常に用意しておきたいところです。
●追記
 これは、基本装備の項でも紹介しましたが、グリップスワニーのグローブを愛用しています。厚手の革がやけどなどを防いでくれる上に、立体裁断でフィット感がいいので、非常に使いやすいものです。ただ、これもくたびれてきたので、より柔らかくなめされた革が使われているグローブを物色中です。ちなみに、グリップスワニーの他に、軍手も必ず何枚か用意しています。

ご存知アウトドアの定番グローブ、グリップスワニー。
ぼくは、これをメインに軍手も一組か二組用意していきます。

昔から登山者に愛用されているウールのグローブ。脱脂していないウール(バージンウール)を使っているので、雪が溶けても染みこみません
ゴアテックス製のオーバーグローブ。厳冬期に、上記のウールグローブと合わせて使えば、指先が凍えることはありません。

 

  

[懐炉]

 これは、冬だけでなく、春秋のキャンプでも朝晩のふいの冷え込みに備えて用意しておきたい装備です。使い捨て懐炉はたしかに手軽ですが、効果がせいぜい12時間くらいしか持たないし、使用後はゴミになってしまうので、あまりお勧めしません。木灰を使った昔ながらの懐炉のほうが長時間効果が持続し、ゴミも出ないのでお勧めです。
●追記
 じつは、ぼく自身は、寒さには強い質なのでほとんど懐炉は使いません。懐炉を愛用しているのはカミさんで、彼女は寒さが予想されるときは必ず白金懐炉を懐に忍ばせています。その温もりが化学反応の使い捨て懐炉とは比べものにならないほど自然なのだとか。

やっぱり、カイロといえば、懐炉灰を燃料にする昔ながらの懐炉がいいですね。これなら無駄なゴミも出ず、100円カイロより、効果が長持ちします。

 

[スパッツ]

 スパッツとは、靴の足首まわりをカバーして砂や埃、雪が靴の中へ侵入するのを防ぐ装備です。足首の周囲だけを覆うショートスパッツと、足の甲の部分から膝下までをカバーするロングスパッツとがあります。富士山のように火山灰が堆積した場所を歩くような場合にはショートスパッツを着けると有効です。また、積雪期の山ではロングスパッツは必需品です。これは、雪が靴の中に入るのを防ぐと同時に防寒機能も果たしています。
●追記
 防寒機能を高めたインシュレーター内蔵のタイプや生地に防水透湿素材を使ったタイプなどもあります。前者は、比較的薄着で、足首のソックスがむき出しになるノルディックスキー(歩くスキー)などに最適です。また、雪の中で用いるスパッツは普通の防水素材だと内側に結露して冷たくなることがありますが、防水透湿素材の製品ならそんな不快な状況も避けることができます。

ロングスパッツは雪山での必需品です。足首からの雪の侵入を防ぐと同時に、膝下の保温効果もあります。

 

[撥水スプレー]

 いくら入念な防水加工が施されていても、長い間使用しているうちに、雨具やアウターウェアの防水性は低下していきます。とくに、シェルの表面で水を弾く撥水性が最初に低下します。肝腎の防水はシェルと裏地との間にラミネートされた防水素材が担っているので、撥水性の低下がそのまま防水性の低下に結び付くわけではありませんが、浸透する水分が多くなる分、防水性の低下も早まることになります。それを防ぐために、ときどき、シェルの表面に撥水スプレーをかけてやりましょう。撥水スプレーは、他にザックやシューズの防水処理にも効果的です。フッソ樹脂を主成分とするスプレーなら化学合成繊維から綿、革まで幅広く使えます。ただし、これを使用するときは、風通しのいいところで、スプレーを吸い込まないようにくれぐれも注意してください。まれにですが、密閉空間で撥水スプレーを使っていて、その成分が気管から肺胞に付着して窒息するという事故が起きています。

撥水スプレーにもいろいろなブランドがるが、効果はどれも同じようなもの。ブーツの防水は、革製ならやはりウェットプルーフのワックスを塗るのが一番効果が続く。

  

[レイヤード]

 この章の冒頭でも紹介したように、現在のアウトドアウェアは、実践的な装備としてレイヤードシステムがしっかり確立されています。これまでは、3レイヤーのそれぞれの機能を中心として紹介してきましたが、最期に、どのようなレイヤードが実際に行われるかを例示してみよう。
 まず初春のアウトドアでは、朝晩の冷え込みが厳しいことが考えられるので、冬のレイヤードを基本とします。アンダーウェアにポリプロピレンやジオラインの上下、ウールのカッターシャツにフリースのプルオーバー、シンサレートをインシュレートしたマウンテンパーカ。下はウールの厚手のトラウザーに、どうしても寒さが耐えられなければ、ゴアテックスの雨具の下を着込みます。これをベースにして、昼間はマウンテンパーカを脱いだり、フリースを脱いでカッターシャツに直接マウンテンパーカを羽織ったりと、レイヤードをその都度変化させて、快適に保つのです。
 夏は汗を逃がしやすいクールマックスやウィックロンのTシャツに薄手のウールもしくはオーロンのカッターシャツ、山でのふいの寒さに備えて綿やナイロンのウインドブレーカーを用意します。下は薄手のウールのストレッチパンツあるいは、軽く動きやすいチノクロスのトラウザーといったところが適当です。
 秋口は基本的に初春のレイヤードと共通です。
 そして冬期は、初春のレイヤードのマウンテンパーカをよりインシュレーター(中綿)の性能が高いものやダウンジャケットに変更します。積雪地へ行く場合は、雪が付着してもメンテナンスが容易なゴアテックス生地をアウターシェルに用いたものを選んでいます。下はアンダーの上に厚手のウールのトラウザー、さらにシンサレートなどのインシュレーターの入ったオーバーパンツで完全武装します。
 以上は、参考までにぼくの例を上げたまでで、これがすべての人に当てはまるとはいえません。暑さ寒さといった感覚は個人的に大きな差があるし、例えば天気が良くても風の強さによって体感温度は大きく変化します(ウインドチルチャートを参照)。要は、寒いと感じればインナーを足すかアウターを羽織り、暑いと感じたら脱いで、面倒がらずにこまめに温度調節することが大切です。
 暑さにしろ、寒さにしろ、体が不快に感じるということはそれだけストレスがかかり、体力を消耗していることを意味します。少しの我慢と思っても、これが積み重なると体は意外なほど大きなダメージを被ることになります。日射病や熱射病、それに低体温症や凍傷といった、命に関わる症状も、もとはといえば、レイヤードによる体温調節を怠ったことがその原因となっていることがほとんどなのです。


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