98/08/31
台風とミサイル

 北関東で台風の余波の大雨かと思ったら、北朝鮮からミサイルが飛んでくる。まさに世紀末です。

 今年は、七月に右肘を骨折して、夏のシーズンを棒に振ったと悲嘆してましたが、どっちにしろまともな夏はありませんでしたね。

 今日、多摩川沿いをMTBで流していたら、河川敷まで水に洗われた跡がありました。流れは泥色で、勢い良く、岸辺の緑はいつもより濃く、まるでメコン川かガンジス川か、熱帯の大河のようです。この調子で、今年は、秋が来るのでしょうか?

 来週は、奥会津のほうへ、秋を探しに行ってきます。

――― uchida

 

98/08/28
働かない日本人

 台風が近づいていますね。いまだに居座っている、というかこのまま秋雨前線になりそうな気配が濃厚な前線を刺激して、大量の雨を降らせています。

 東北や北陸の稲の成育は大丈夫なのでしょうか? ついに稲まで輸入する国に落ちぶれそうな、そんな予感までします。

 昨日は、ネットワークで知り合った八木博さんの講演会を聞きに行ってきました。

 MOの開発者としても知られる八木さんは、シリコンバレーにこの一年あまり滞在して、かの地の繁栄のバックにあるものを精力的な取材で訪ね歩き、インターネットインフラを武器にしたネットワークが、これからの社会の存立構造を変革していくという確信を強め、その未来展望を説いています。

 ぼくも、まったく同感で、今、八木さんのビジョンを具体化するお手伝いなどもしています。その詳細は、のちほどご紹介するとして、その八木さんから、面白い話しを聞きましたので披露します。

 みなさんは、イタリア人ひとりあたりの生産性が、日本と比べてどれくらいなのかご存知ですか? 日本を100としたときに、イタリア人は、どれくらいの生産性を上げているか? ぼくは60くらいかなと単に印象だけで思いました。周囲の人たちも30〜50くらいじゃないの? と、いたって低く評価しています。ところが、実際には140だそうです。享楽主義で働かないといったイメージのイタリア人が、日本人よりはるかに精力的に働いているのです。

 今の日本は、先進22カ国中、人口ひとりあたりの生産性は18位だそうです。それは、先進諸国の中では、最底辺の怠惰な人間たちであると意味しています。

 働いているふりは得意だけれど、実のある仕事をしているかといえば、もうお笑い草。日本は、完全に沈没してしまったわけです。

 もう、こんな腐れきった国に期待なんかしてないし、怠惰な日本人といっしょにされないように、NEOジャハネスクをはじめるつもりだから、どうでもいいんですけどね。……ちょっと、酔っぱらっております。

――― uchida

 

98/08/18
夏は夏らしく

 今年は、ついに北陸・東北は梅雨明け宣言をしないなんてとんでもないことになりました。

 これは、いわば、気候帯が変わってしまったと言っているようなものです。関東も夏と呼ぶにはすっきりしない天気が続いています。

 山の世界では、「梅雨明け十日」といって、梅雨が明けてから10日間は天気が安定するので、登山日和だといわれてきたわけですが、それも通用しなくなるわけです。

 この暑さや湿気から言えば、日本は関東あたりまで亜熱帯になってしまったといえるでしょう。連日の夕立は、まさにスコールですもんね。

 中国では2億人が被災する洪水に見舞われているし、パプアニューギニアでは10mを超す津波で何千人も死亡するし、地球環境に合わせて、人間は住む場所を変えなければいけないのかもしれません。

 そういえば、上高地を中心に頻発している地震や、岩手山の群発地震も気になります。享楽に明け暮れたポンペイが一夜にして火山灰の下に埋もれてしまったように、20世紀文明に享楽してきた我々にもそろそろ天罰が下るのでしょうか?

 話しはぜんぜん変わりますが、先日、田舎で小学校の同窓会に出席してきました。卒業以来25年ぶりに顔を合わせる人も大勢いて、出かける前は、とても顔を思い出すことなんてできないだろうなんて思ってましたが、いざ再会すると、みんなどこか幼い頃の面影があって、忘れていた記憶もどんどん蘇ってきました。

 あの頃、夏は夏らしくあり、ぼくたちは、未来に希望を持っていました。25年たち、それぞれが社会で中核を成す年齢に達したぼくたちが、子供たちのために、希望を持てる社会を作っていかなければいけませんね。

――― uchida

 

98/08/11
八坂村のブルベリー

 8日〜10日まで、長野県の八坂村へ行ってきました。

 北アルプス登山の基地大町市の東にある静かな山村で、ここで年一回オフロードバイクのエンデューロレースが開かれるのです。このレースを9年前に企画し、今まで育て上げてきた田中さんと知り合いで、以前から誘われていたのです。

 今回は、まだ先月痛めた肘が完治していないので、バイクに乗ることはできませんでしたが、前夜祭のトークショーの司会を務めさせていただき、レースは主要ポイントで観戦しました。

 林道とウッズトレイル、それにモトクロスコースをつないだコースは、総延長25kmの本格的なコースです。2ストオイルの焼ける匂いを嗅ぎ、図太い4ストサウンドが山に木霊するのを聞いていると、自分もマシンを走らせたくてうずうずしてきます。

 今、2輪のマーケットが底を打っている上に、環境問題やらで風当たりが強く、このようなイベントが次々に姿を消して行く中で、地元の理解も得て、和気あいあいとした雰囲気でできているのも、田中さんの人柄ゆえ可能なのだと思います。

 田中さんは、18年前にこの村に住みつき、当時全国的にも珍しかったブルーベリーを根づかせて、小さな農場を開きました。

 レースの後は、ちょうど旬を迎えた、この黒い実をたくさん摘ませてもらいました。今、正式に認可を取って、ブルーベリーワインを生産する計画を練っています。田中さんによれば、欧米では自家製のブルーベリーワインは、とてもポピュラーなものだとか。その醸造を学びに、ニュージーランドの農家にホームステイまでしてこられました。のん兵衛のぼくとしては、「田中さん、それ、ぜひ手伝わせてください!」と、思わず叫んでしまいました。

 もしかしたら、来年の今ごろは、鬱陶しい東京から離れて、涼しい山懐でブルーベリーをつぶしているかもしれません。

 今回の八坂村訪問は、田中さんをぼくに紹介してくれた三浦さんがこの村に移住して、その新居を訪問するのも目的でした。15年前に、北海道旅行で知り合った三浦さんは、昨年50歳を過ぎて仕事を辞め、ぼくが出会ったときと同じ日本放浪の旅に出発しました。そして、一年間日本中を回り、今年の春から八坂村に落ち着きました。月5000円の家賃の一軒家で、畑を作ったり、山の手入れをしたりして悠々自適に暮らしています。

 なんだか、最近、田舎が自分を呼んでいるような気がしてなりません。

――― uchida

 

98/08/01
ギブスをはずして

 気がついたら、もう八月。関東は、まだ梅雨明けできずに、中途半端な夏ですね。

 ぼくの7月は、怪我のためにほとんど丸つぶれでした。仕事の面でも、ちょっと停滞気味でしたが、梅雨明けすれば、すべてがカラッと晴れて、忙しくなりそうです。7月は、「体と心を休めて新たな展開に備えよ」という天の思し召しだったのかもしれません。さぁて、ギブスを外して、頑張ろう!

 昨年9月に立ち上げたこのサイトも、10ヶ月あまりで、10000ヒットを突破しました。月平均1000ヒット、アウトドアノウハウという限定された内容のサイトとしては、この数字はなかなかのものじゃないかななんて、自負しております。これもすべて、このサイトを覗きに来てくださるみなさんのおかげです。

 普段、ぼくは雑誌の仕事などをしていますが、出版は送り手からの一方通行のメディアなのに対して、webは、まさにインタラクティブで、まったく新しいメディアであることを痛感しました。この短い期間に、このサイトを通して、たくさんの人からmailやBBSへの書き込みをいただき、その後も、友人として交流を続けさせていただいています。

 インターネットは、まだメディアとして産声を上げたばかり、この草創期から関われたことは、今後の自分にとって非常に大きなことだったと思います。これからも、ネットの世界で、どんどん面白いことを繰り広げていきたいと思います。みなさん、今後もよろしくお付き合いください。

――― uchida

 

98/07/20
幻視者の視線

 今日はちょっと蒸し暑いですけど、このところずっと涼しい日が続いていたので、副木して包帯ぐるぐる巻きで腕を吊っている身の上としては、すごく楽でした。

 やっぱり事故というのは恐ろしいものです。オフロードレースなどで転倒して骨折は何度も経験があるのですが、それは、自分で予期して、咄嗟に身構えるので、ダメージの大きさについては自覚があって、ほとんど後遺症などは経験したことがないのですが、今回は、肩が痛くて回らなくなったり、右足に一週間も経ってから浮腫が出てだるくなったりと、不気味です。

 身構えることもままならず、巻き込まれた事故は、自分でどのようになったかの自覚がないのですね。みなさんも、くれぐれも気をつけてください。

 今月はほとんどまともに仕事もできぬまま過ぎそうです。

 そんな調子なので、いろんなことどもをうつらうつらと考えていて、ふと、あることを思い出しました。

 先日、三星堆展とケルト展を観に行ったことは紹介しましたが、昔は、ああいったものを観に行くと、その場で説明書きを読んだり、細かい意匠を具体的な知識に敷衍して考えたりしたものでしたが、最近は、虚心担懐とでもいいましょうか、そこにある実物の存在感とそこに秘められた作り手の意識や、そのモノが経てきた歴史の光景を、そのモノをデバイスとしてぼんやり思い浮かべるような見方をしているのです。

 山に登って、稜線に一人たたずみ、雲海の彼方から登る朝日を無心で眺めるような、そんな感じで、モノに接すると、たしかに、何かが見えてきます。自分が想像力豊かな幻視者になったような、モノと自分の精神とのピュアな交流を感じて、とても満たされた気分になります。

 歴史家のアーノルド・トィンビーは、まさに幻視者としても非常に能力の高かった人のようで、歴史の舞台となった土地を訪れては、その光景をありのままに目撃したそうです。

 ぼくは、かつて、シルクロードのとある遺跡で、以前、そこに暮らしていたことがあるという強烈なデジャヴを味わったことがありました。余計な神経を使わずに、ただあるがままに物事を受け入れるということが、もっとも深い洞察を得られる方法なのかもしれません。

――― uchida

 

98/07/13
日本沈没

 昨日の選挙は痛快でした。これだけ景気が低迷して、みんなが将来に対して悲観的な見方しかできなくなっていて、「何をしても無駄だ」という倦怠感が蔓延して、そのすべてが自民党の失政だという印象があるのに、改選議席を確保できるつもりでいたなんて、ほとんどギャグですね。

 アホな自民党が大敗したのはいいけれど、今後楽観もできませんね。

 菅さんは何かやってくれそうだけど、野党共闘が不発に終わりでもしたら、それこそほんとに日本の終わりです。

 かつてエドガー・ケーシーは、今世紀の終わりに日本が海に沈没すると予言しました。それをヒントに小松左京が『日本沈没』を著したわけですが、このままいくと、比喩としては当たったことになってしまいます。馬鹿な政治家なんて頂かずに済む直接民主制のシステムをぼちぼち考える必要があるでしょうね。ネットというツールを使えば、それが実現できると思います。

 ツーリングどんどんに新しい記事を追加しました。『一攫千金ツーリングvol1 水晶山を探せ』

 骨折した右手を固めているのですが、この二日の涼しさがありがたい。

――― uchida

 

98/07/12
右肘接頭骨&肋骨骨折

 先日、中央高速でバイクに乗っていて、事故に遭ってしまいました。

 渋滞している中を走っていて、追い越し車線にいた車が突然針路変更してきて、ドカン! 避ける間もなく飛ばされて、右肘接頭骨を骨折。

 添え木で固定されてしまい、左手でパソコン操作してます。えらい不自由です。

 公道で事故なんて、20年以上バイクに乗ってきて初めてのこと。それでも、スピードが出ていなかったのと、昔、オフロードレースなんぞに出て転倒慣れしていたのが幸いでした。

 しかし、事故には、ほんと気をつけなければいけませんね。今月いっぱいは、右手が不自由のままのようです。トレーニングメニューや山行計画を変更しなくては……(>_<)

 これから、いちおう投票に行ってきます。

――― uchida

 

98/07/05
今でも、田舎の子供たちは、自然と四つに組んで精一杯遊んでいるのでしょうか?

 今日もまた、いい天気でしたね。太平洋高気圧の勢力が強くて、梅雨前線はまさに雲散霧消。これって、普通は梅雨明けというんですがねえ……。

 このところの晴天は、いわゆる『梅雨明け十日』の安定した晴天日そのままの感じです。今年は、5月の下旬にすでに梅雨入りしていたのを気象庁が、後追いで梅雨入りを発表したような調子でしたが、今週の終わりくらいには、梅雨明けを発表するかもしれませんね。

 この季節になると、子供時代が無性に懐かしくなります。

 小川に行ってメダカやザリガニをとったり、山に行っていつもカブトムシやクワガタが集まるクヌギの木に登ったり、友達の家の縁側でスイカを食べて、その種を遠くまで吹く競争をしたり、夜には、仲間うちで花火を持ちよって、庭のいちばん広いデメちゃんの家で花火大会をしました。

 夜なので打ち上げた落下傘花火が見えなくて、翌日の朝に一緒に学校に行こうとデメちゃんを迎えに行って、途中のいちじくの木に引っかかっているのを見つけて、それを取ろうとしているうちに学校に遅れてしまったり……。

 日差しがいっぱいに降り注いで、みんな真っ黒に日焼けして、その日その日がとても充実していました。今思うと、あの頃がとても輝いていたことを痛感します。今でも、田舎の子供たちは、自然と四つに組んで精一杯遊んでいるのでしょうか?

 東京で学生生活を始めた頃は、夏を感じると同時に、山に行ってました。ほとんど一夏中、北アルプスや八ヶ岳にこもって、下界の暑さを忘れていました。

 大学三年の夏には、日本一周ツーリングに出発し、三ヶ月近くも日本中を放浪していました。山もオートバイツーリングも、あの子供の頃に近所の自然の中で存分に遊んでいたことの代償行為だったのかも知れません。

 そして、いつのまにか、それを遠い思い出として回想するような、いい大人になってしまいました。

 でも、ぼくたちの世代は、回想できる思い出があるだけ、まだましなのかもしれません。今の子供たちや学生たちは、自分の生を体で実感できる何事かをしっかりつかんでいるのでしょうか? それが心配です。つまらない老婆心ならいいのですが……。

――― uchida

 

98/07/02
電脳世界−最悪
のシナリオへの対応

 この数日、東京は予報に反して、いい天気が続いています。九州南部まで梅雨明けしたそうですけど、今年は関東も早いかもしれませんね。

 それにしても、日本という国はどうなってしまったのでしょうか? いろんな問題が百出しているというのに、有効な対処方法を生み出せず、欧米からは優柔不断と嘲られ、東南アジアからは、何も手を打たずにアジア経済を壊滅させておいて再占領するつもりだと邪推され……だけど、できることは一時凌ぎの付け焼き刃だけ。

 田原総一郎が、「ワールドカップサッカーなんかにうつつ抜かしている場合か! もうすぐ、この瀕死の日本の未来を決するかもしれない国政選挙があるんだゾ!」と怒ってました。たしかに、その怒りもわかりますが、そもそもこんな日本にしたのは、堕落した政治システムですからね。その根幹から変革しなければどうにもならないでしょう。

 先日のポピ園の青木さんや、その後に会った幾人かの人たちは、みな、けっこう元気な人たちばかりでした。「国に期待なんかしている前に、ネットを使って、勝手にグローバルな横の連帯を築きあげてしまおう。そこから、また新たなシステムが生まれてくるはずだ」そんな理念のもと、実際に動き出しています。

 今、『電脳世界−最悪のシナリオへの対応』(ポール・ヴィリリオ 産業図書)を読んでいます。

 フェリックス=ガダリなどと並ぶフランス思想界の重鎮で、とくにテクノロジーの革命的変化についての批判的な著作活動で有名な人です。

 ぼく自身もそういう傾向がありますが、インターネットをはじめとするデジタル情報革命に対して、ほとんど諸手を挙げて歓迎している風潮を、世界がリアルタイムに一元的に結ばれることのメリットは認めつつ、一方にあるリスクを語っています。

 どんな状況にあっても、ファナティックな見方をしてしまうと、肝心なことを見落としてとんでもないことになります。しっかりとしたパースペクティヴで見つめつつ、しっかり、素早く前進していかなければならない。ときどき、こういったアンチテーゼの本もひも解いてみないといけないですね。読み終わったら、その詳しい内容を紹介します。

――― uchida

 

98/06/30
『ホピ園』の理想

 昨日、群馬県の高崎市に『ホピ園』という特別養護老人ホームを訪ねました。

 事務長の青木好記さんとは、砂漠でキャンプしたり、デューンを越えて遊んだりといったオフロードバイク仲間でもあります。

 三年前に開設されたこのホームは、広々とした田園の一角にあって、遠く赤城や妙義といった上州の名峰を拝むことができます。明るい環境の広々したホームは、とても過ごしやすそうに見えます。でも、いろいろと実状を聞くと、たいへんなことがたくさんあるようです。

 重度の介護が必要な人を入所させた家族は、ホームにまかせきりでほとんど面会に訪れないそうです。痴呆などがさほど進んでいない人でも、家族の面会は少ないようです。ていのいい姥捨てといったらいいすぎかもしれませんが、なんだか、人として寂しい気がします。

 もちろん、家庭内で老人を介護することがどれほどたいへんなことかはわかります。でも、明るいホームの片隅でポツネンとしているおばあちゃんを見ると、なんだか、胸が塞がる思いがします。

 連れ合いを亡くして寂しい思いをしているだろう人のことも考えて、青木さんは、位牌を安置していつでも線香を手向けられる仏間を用意しました。でも、この三年間で、ここが利用されたことは一度もなかったそうです……。

 100人近いお年寄りたちがいるのに、夜間は二人の夜勤しかおらず、泣く泣く、深夜徘徊癖のあるお年寄りを大部屋に集めて監視したり、『食』の楽しみを大事にしたいのに、行政からの指導で集団給食しかできなかったり、入所されている方々同士の葛藤など、いろいろな問題をうかがいました。

 この『ホピ園』を舞台に、理想の老人福祉への道を探って青木さんやスタッフの方々が奮闘する様子を紹介して、ネットを通して情報交換しあったり、福祉行政の問題点を洗い出して改善を求めていったり、そんなホームページ作りの手伝いをしようと思っています。

 21世紀は、確実に高齢化社会になります。高齢者が生きがいを見出せる社会をぼくたちの手で作らなければ、それは、そのままぼくたちの晩年が寂しいものになることを意味します。

 欧米では、今日本で行われているような百人ものお年寄りを一元的に管理するホームは見られなくなり、スタッフの気配りが行き届くグループホームの形が多くなっているそうです。大家族制が崩壊し、『身内』=『自分の身体としての家族』という意識が持てなくなった代償として、擬似的な『身内』を再組織化するということなんでしょうか?

 最近、『ガタカ』のサウンドトラックをヘッドフォンで聴きながら仕事したり本を読んだりしています。ふと、思い出したのですが、『ガタカ』の観客は、20代前半くらいの若い女性が大半を占めていました。まったく見当たらなかったのは、若い男性。

 強烈な男のいきざまのドラマにシンパシィを抱くのは、今の日本では、若い女性だけになってしまったのでしょうか? あるいは、『いきざま』を感じさせる男が少なくなってしまったせいで、映画の中にそれを求めているのか?

――― uchida

 

98/06/24
『ガタカ』

 恵比寿のガーデンシティの中にある映画館で、『ガタカ』を観てきました。

 遺伝子操作で劣勢な性質を消されたエリートだけがすべてに優先される社会。その中で、自然なセックスによって受胎した「神の子」は差別されていた。「神の子」として生まれた主人公は、それでも、エリート中のエリートである宇宙飛行士を目指す。それも巧妙かつ危険な方法で……。

 『未来世紀ブラジル』に似たシックな世界観に包まれた未来社会の中で、主人公とこれに手を貸す挫折したエリートの友情の高まりが、たまらなくかっこいいです。

 なんだか、日本ではもう見られなくなってしまった深い任侠道の世界のような、「男たちの挽歌」にも似た骨太の男っぽい映画であり、遺伝形質による差別という近未来には必ず訪れそうなテーマをじつに身近に感じさせてくれます。

 ヨーロッパの批評家たちは、今年最高のヒット作であるタイタニックよりずっと上位に位置づけているそうです。館内はガラガラで、ゆったりした席で最高の気分に浸れます。

 step3に、内容と写真を追加しました。今年の夏は、久々に八ヶ岳か北アルプスにでかけてみようと思っています。その前に、雨具新調しなくっちゃ……。

――― uchida

 

98/06/23
トレーニング後遺症

 ここ数日どうも調子が良くありません。先日、真夏日になったことがありましたよね。あのとき調子に乗ってトレーニングしすぎて、その後遺症が出てしまったようです。

 10代、20代の頃の底無しの体力のイメージだけがあって、今は30代後半で立派な中年であるという自覚が足りないみたいです。でも、ガンガンに山登りしたり、デザートレースで走り回ったりといった記憶が、あまりにも鮮明なために、ついつい体を動かすとオーバーワークになりがちなんですよね。

 いい歳なんだから、それなりに大人にならなければいけませんね。

 ホームページの更新もここのところ滞りがちなので、そろそろウェアリングの項をいじりたいと思います。

 この二、三年、アウトドアウェアも購入していないので、雨具は痛んできたし、アンダーも擦り切れてきたので、またぞろ高機能ウェアに触手を伸ばしてみようと思っています。

 それから、10数年愛用してきたダナーのゴアブーティの入ったブーツがいよいよ使用不能になりそうなので、その後継を探そうと思ってます。そのあたり、近々、実例を交えてご紹介します。

――― uchida

 

98/06/16
泥と汗の体験主義からの憧れ

 蒸し暑くてかないませんねぇ。暑さにことさら弱い私は、すっかりグロッキーです。早く冬にならないかなぁ……。

 なんて腐っている場合ではありませんね。

 先日、このコーナーでも紹介した上田壮一さんが、今年の2月から、京都の計測機器メーカーのホリバ製作所のホームページで、「地球」というテーマで、イラストレーターの木野鳥乎さんとコラボレーションされています。

 全六回の予定で、現在、第三篇まで公開されています。

 ガイアシンフォニー第三編でアシスタントディレクターを務められた上田さんは、元広告プランナーで、深いテーマを切れ味よく、楽しく表現されています。「泥と汗の体験主義」でしか表現できないぼくにとっては、こんな表現をしてみたいと思いつつ遠い憧れのようなページです。『The Star SongsII -The Earth Inside-』(http://gaiapress.horiba.co.jp/GAIAPRESS/ei/s_index.htm)。

 ほのぼのとして、深く胸に染み込むものがあって、とっても気分がなごみます。ぜひ覗いてみてください。

――― uchida

 

98/06/10
ネットワークジャングル

 先日、てくてくエンジェルは、天使となって見事神の元に召されていきました。

 意地になってノルマを達成したぼくの膝は水が溜まってガクガクです。体重もなぜか減らんかった……。挙げ句、腰につけて街を歩いていたら、女子高生に指さされて笑われました。「てくてくエンジェルつけてるぅ、おじん〜」だって。てくてくエンジェルは人目に触れないように持ち歩きましょう(^_^;)

 今、NHKのBSでnetworkjungleが放送されていますね。

 デジタル情報革命の現状をゲームからビジネスまで様々なエピソードを紹介しています。これを見ると、まさにパラダイムシフトの真っ只中にいるという気がします。こんな風にみなさんにメッセージを送れることじたい、アンシャンレジウムの社会ではありえなかったことですからねぇ。

 そういえば、networkjungleの中で、先日ここで紹介した上田壮一さんもスタッフとして参加されているsensoriumが紹介されていました。デザイナーやプログラマー、プランナーが参加して、インターネットというツールで何ができるかという試みを行っています。

 世界中のカメラのリアルタイム映像を集めたコーナーや、過去二週間に地球上で起こった地震を3Dの地球の上に、大小の泡のようなボコボコとして表現したコーナーなど、見てて楽しいコーナーがたくさんあります。

――― uchida

 

98/06/2
コンディショニングウェア

 昨日気象庁が密かに関東東北の梅雨入り宣言をしていたのをご存知ですか? 

 関東では、例年の平均が6月9日ですから、1週間以上早かったことになります。ちなみに梅雨明けは遅く、長い梅雨になりそうです。

 このところ、まじめにランニングをこなしています。一日5kmあまりを基本に、MTBなどを交えて、基礎体力作りです。

 ぼくは、足首が固いのがウィークポイントで、長距離を走るとふくらはぎや腿にけっこうダメージがあります。サポーターをつけたり、テーピングしたり、いろいろ工夫をしてきましたが、最近は、トレーニングするときは、コンディショニングウェアを愛用しています。

 コンディショニングウェアとは、筋肉に沿ってストレッチテープを縫い込んだハイソックスやアンダーパンツで、テーピングと同じような効果を生み出すものです。

 ぼくは、クールマックス素材で発汗性の高いCR-Wというハイソックスを愛用しています(メーカーを度忘れしてしまいました)。これのおかげで、足首を痛めたりすることがなくなり、筋肉痛もだいぶ緩和されました。

――― uchida

 

98/05/30
梅雨入り?

 鬱陶しい天気が続いてますね。

 気象庁は、5月中には関東地方の梅雨入りは宣言しないらしいですが、気圧配置からすると、24日には実質的に梅雨入りしたといっていいそうです。

 例年より日照が少なく、雨も1.5倍くらい降っています。その上平均気温はこの一月は例年より2℃近く高いそうな。世界的に見ても明らかな温暖化の兆候が出ています。

 アジアは経済崩壊の上、核戦争の危機も迫りつつあり、まさに『終末』といった様相ですね。今のうちにサバイバル技術を磨いておいたほうがいいかもしれません。

 ツーリングどんどんに特別編『SLR650インプレッション』追加しました。写真ものちほど追加したいと思います。それから、アメリカのオンラインマガジンで詳しいインプレッションが掲載されていたのですが、以前のハードディスククラッシュでデータがなくなってしまいまして、それもわかり次第リンクしようと思っています。

 どんどんのコーナーは、写真も掲載してほしいという要望を多くいただいてます。編集部のほうから、今までの記事データを写真も含めてすべて収録したMOをもらう予定ですので、それが手に入ったらリニューアルします。でも、Macのデータだから、兄弟サイトを運営しているカメさんに写真データの切り出ししてもらわなければ……カメさんよろしく!

 そうそう、それから、DTIのホームページのディスク容量が5MBなんですが、もうすぐいっぱいになりそうです。1MBごとに追加料金を払うのもうざったいし、NIFTYのほうのサーバが手つかずなので、分散しようかと思ってます。そういえば、geocityにも使っていない領域があるのですが、ここは、何かを置こうとすると、文字バケしてしまうのです。index領域を勝手にいじったせいで、重要なタグかなにかを削ってしまったらしい……。

――― uchida

 

98/05/26
SLR650

 昨日は完全に雨だと諦めていたのですが、関東地方はうまいぐあいに前線が一時的にズレたうえ、富士スピードウェイは富士山の陰になって、ときおり夏の日差しが射すいい天気になりました。

 『雨男』の懸念もいくぶん和らぎました……。

 スペインのモンテッサホンダが作っているSLR650という単気筒のデュアルパーパスモデルを試乗してきました(サーキットのまわりで)。

 昨年から大型二輪免許が教習所で取れるようになって、大型バイクの人気が徐々に高まっているようです。限定解除試験しかなかった昨年までは、せっかく大型を取ったのだからリッターマシンに乗らなけりゃという指向が強かったのですが、それが普通のものとなった今は、自分の体力やスキルに合ったマシンが選ばれるようになったみたいです。

 SLRも昨年までなら誰にも見向きもされなかったでしょうけど、車格も手ごろで扱いやすく、けっこう人気を呼びそうです。

――― uchida

 

98/05/24
天下無敵の晴れ男
だったのに

 仕事やこのホームページの制作に使っているVAIOノートがACアダプターの破損で使えなくなりまして、この二日は、ネット接続ができませんでした。

 e-mailやブラウザを使っての情報検索が日常化しているため、なんだかすごく不便を感じました。

 いよいよまじめにPDAの導入を考えています。NECのMOBILEGEARUが使いやすそうなんだけど、ふだんブラウザもメーラーもNetscapeを使っているので、そこが変わってしまうのが難点ですね。もちろん、先立つものもないんだけど……。CE-2.0対応のNetscapeは出ないのでしょうか?

 step2に内容と写真などを追加しました。ページが重くなるのが嫌なので、写真サイズを小さくしたら、少し荒さが目立つ感じです。まだ、このあたりでも試行錯誤しそうです。

 明日は、日本未発売のHONDA・SLR650の試乗で、楽しみにしているのですが、空模様がどうも良くないみたいです。先日の取材でも晴れ続きだったのに、その日を狙ったように雨になりました。このところ、オートバイに乗るとなると必ず雨になります。天下無敵の晴れ男だったのに(+_+)

――― uchida

 

98/05/19
ノルマ1万歩

 先日、『INTERNET MAGAZINE』誌に当ホームページのレビューを紹介していただいた後、ニュース配信サービスの『WEEKEND NAVI』で取り上げられたり、『Mac Fan internet』誌から掲載の打診を頂いたりと、露出することが増えてきました。

 それにともなって、励ましやご教示をmailでいただくことが多くなってきました。このホームページでは、そういったご意見や情報も積極的に掲載していきたいと思っています。

 また、ぼくも未熟な人間なものですから、偏見や知識不足な面も多々あります。そういったところをご意見を寄せていただければ、自らの姿勢を見直したり、新たな知識を積極的に盛り込んでいきたいと思います。そんなわけで、みなさんのmailやguestbookへの書き込みをお待ちしています。

 この十日ばかり、腰に『てくてくエンジェル』をつけて歩いております。

 ゲームメーカーのハドソンが売り出した万歩計で、ノルマの達成度によって、中のペットがブタ犬になったり、エンジェルになったりするものです。初日に面白がってランニングしたり歩き回ったりしたら、一日のノルマが1万歩に設定されてしまいました。

 二日目、三日目となんとか頑張ったものの、先日の取材で二日ノルマを達成できずにいたら、凶悪な形相の不機嫌なブタ犬になってしまいました。「こりゃいかん!」と、シャカリキに走ったら、温和な小犬に変身……したのはいいけれど、膝にきてしまいました。

 「万歩計で体壊していたら世話ない」と、すっかり笑い者です。

 でも、痛い膝を引きずりながら、今日もまた多摩川縁を走っております。最近めっきり車に乗らなくなりました。

 『ツーリングどんどん』に新しい記事『鉄人は何故に峠を越えるのか』を追加しました。11日〜12日に渡って忍野の『入会の森キャンプ場』で、賀曽利隆さんとたき火を囲んだときの話しを元に構成した記事です。詳しい記事は、今度発売の『月刊オートバイ』7月号をご参照ください。

――― uchida

 

98/05/13
鉄人と三星堆

 11、12日と、取材で山中湖のそばにあるキャンプ場へ行ってきました。

 世界中をまたにかけたツーリングライダーであり、世界と日本の民俗文化に深い造詣をもつ賀曽利隆さんとご一緒しました。賀曽利さんが、月刊オートバイ誌に23年間続けてきた連載「峠越え」が最終回となり、その記念にぼくがインタビューすることになったのです。

 ぼくがオートバイに乗り始めたのは、21年前、その2年前からの連載でした。なにを隠そう、ぼくは賀曽利さんのこの連載を読んで、同じようなツーリングがしたくてハスラー125というバイクを手に入れて、オートバイライフをスタートさせたのです(賀曽利さんは世界ツーリングと峠越えにハスラーの250を使われてました)。同じ頃、やはりオートバイ誌で連載がはじまった「オフロード天国」の二つが、ぼくのツーリングライフのいわば原点でした。

 それが、いつのまにか、ぼくが同じ媒体で仕事をするようになり、賀曽利さんとも「オフ天」の風間深志さんとも知りあえて、ますます楽しいオートバイライフを過ごせました。

 「オフ天」もいつのまにかなくなってしまい、今回、「峠越え」が最終回を迎えて、なんだか個人的に寂しいことになってしまいましたが、「よぼよぼになって、杖をついてでも、2000峠は達成しますよ」(昨年1000峠走破を達成。今も2000峠へ向けて、日本中を走り回っているのです)と、いつもの元気な調子で賀曽利さんが語ると、こちらも元気がよみがえってきます。

 賀曽利さんは、3回に渡る世界ツーリングを終えた27歳のとき、目標を失ってひどく落ち込んでしまったのだそうです。

 そのとき、オートバイ誌の企画で「峠越え」を始めることになったのですが、当初は、「世界中をまわり尽くした俺だぞ。日本の峠なんてすぐに全部制覇してやる」といった思い込みでスタートしたそうです。

 それが、実際に行動に移してみると、山国の日本では無数に峠があり、それを全部制覇するなんて途方もない暴挙であることがすぐにわかりました。反面、峠を越えると空気や文化がガラリと変化することが新鮮に感じられ、その違いとはなんだろうと興味をもって峠越えを進めるうちに、すっかりこのテーマの虜になってしまいました。

 峠とは、かつて里人にとっては異界への入り口であり、山人たちとの遭遇の場でありました。峠を越えて頻繁に行き来するのは、もちろん旅人や行商人もありましたが、里人たちと濃密な時間を持ったのは、遊行僧でした。遊行僧は、定住場所を持たず、峠を越えて里と里を繋いで旅をしながら、各地の情報を伝えて行きました。

 「いわば、賀曽利さんやぼくは、現代の遊行僧ということになりますね」なんて語り合いました。「峠越え」の連載は終わっても、オートバイ誌では、また違った趣向の連載を始められるそうです。その中身については、本誌のほうをお楽しみに……。

 本日は、世田谷美術館で開かれている「三星堆」展を観てきました。四川省の省都成都近くに、5000年以上前に栄えたとされる青銅文化の遺跡です。

 おびただしい数の青銅製品や玉製品出土していますが、中でも、インカやマヤに意匠のよく似た青銅の仮面が圧巻です。

 昨日、賀曽利さんと、「日本の稲作文化は、華中や華南の照葉樹林文化がそのまま伝播したものだから、ルーツはあちらにあるんだ」なんて話しをしたばかりでしたから、どれも異形の様相なのに、なんだかすごく親しみを感じました。

 三星堆から見ると、東には龍泉山脈が横たわっているそうです。その中に、不老不死をもたらす扶桑の樹があると伝えられ、それを象った大きな青銅の樹も展示されていました。

 扶桑を求めるものは、東を目指し、それが後の秦の時代にまで受け継がれ、徐福はそれを求めて東を目指し、ついに日本にまでたどり着く。そして、日本ではいつしか補陀落思想と結びついて、東に広がる海の彼方に補陀落浄土を夢想する……壮大な精神の流れを実感させます。7/20までが世田谷美術館(http://www.setagayaartmuseum.or.jp/)、その後、京都、福岡、広島と巡回展示されるそうです。お勧めです。

――― uchida

 

98/05/08
あくせくと、何かを求めることを一時中止して...

 昨日、『地球交響曲−ガイアシンフォニー−3』の助監督を務められた上田壮一さんと久しぶりに会いました。

 現在、全国を巡回上映中のこの映画をすでに12万人の人が観たそうです。『地球交響曲』、『地球交響曲2』と合わせると延べ100万人以上の人に観られたそうです。

 ダイオキシンや温暖化、環境ホルモン(=この言葉は本来意味がおかしい、正確にいえば、生体ホルモン様の働きをしてしまう環境汚染物質)など、地球環境についての意識が高まりを見せている中、地球を一つの大きな生命体とみなす『GAIA』思想に目を向け、それを大地を相手に活動する個人に焦点をあてて、具体的に表現しようとした『地球交響曲』シリーズの試みの先進性には頭がさがります。

 バブルの時代には、「金はあるんだから、どんどん作って、どんどん消費しろ」と大量生産大量消費を煽っていた大バカどもが、今は、環境問題云々なんてしたり顔でほざいていますが、その浅はかな感性とは、まったく対照的です。でも、『地球交響曲』が、静かにしかし広く人々の心をとらえている現実は、そう悲観的なものでもないなという気がします。

 上田さんは、以前試写会に誘ってくださったときには、「久しぶりにオフになるので、キプロスへバカンスに行ってきます」とおっしゃってました。今回は、ちょうど今日から、パラオに行かれるそうです。「パラオの海に潜って、ただ浮遊するんです。魚を追いかけたり、珊瑚の中に分け入ったりなんてしないで、ただ水中を漂うんです。宇宙遊泳しているような、その自由な感覚がいいんですよ」とのこと。

 あくせくと、何かを求めることを一時中止して、GAIAの細胞の一つにもどって、母なるGAIAの息吹を感じることも、ときには必要ですよね。

――― uchida

 

98/05/04
オドノフーが目覚める日

 連休も終盤ですね。ぼくは、盆暮れやゴールデンウィークは、いつも自宅か田舎でズボラを決め込むことにしています。フ

 リーランスのライターという商売は、都合のいいことに、時間は自由にできますから、普通の人が働いているときに遊び、遊んでいるときは働くといったパターンで、混雑を避けることができます。

 今年の連休は、早めに田舎(茨城の海沿いの町です)へ戻り、甥っ子や姪っ子と遊んで、昨日東京へ戻ってきました。この二日は自宅で読書して過ごそうと思っています。立花隆の『電脳進化論』が面白かったので、その続編ともいえる『100億年の旅』と、新しく取り組む予定の仕事の参考書として、ケルト神話の本と民俗学関係を何冊か読もうと思っています。

 ケルトで思い出しましたが、メーデーの本来の意味は、「大地が目覚める日」ということをご存知でしたか? 

 ケルトの神話で、昔、かの地を支配していたオドノフーという賢者が目覚める日だといいます。

 オドノフーは、極めて有能な統治者で、彼の時代には、大地は恵みに溢れ、人々は何の憂いもなく暮らしていたのだそうです。

 日本で言えば、啓蟄にあたるでしょうか。日々の太陽の再生、そして年毎の大地の盛衰、そういった感覚を都会で暮らしていると忘れてしまいがちです。自然の営みの不思議さに敬謙な気持ちを抱く感性は常に持ち続けていたいものです。

――― uchida

 


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