97/10/29
デジタル世界に浸ってます

 香港に端を発した恐慌がアメリカを襲い、日本にまで波及し……いよいよ来たかと思ったら、なんとか持ち直したみたいですね。

 ぼくは、古女房と狭いアパートに住んで、ちっぽけな生活にそこそこ満足しているだけで、失うものなんてほとんどないので、別世界のことですけど。

 ウェブの世界を知ってしまうと、そんな別世界からますます遊離していきますね。景気が低迷して、新たなパラダイムも見出せずにあえいでいる巷とは裏腹に、ウェブはますます盛り上がっているし……。

 ぼくも、こんなページを作ってからは、アンシャンレジウムの出版界よりも、心情的にも、実際の人付き合いもどんどんデジタル世界に浸ってます。

 ウェブの世界は、なんといっても、なんでもありのところが、最高にいいです。フレキシブルで、カオスで、アナーキーで、個人と個人が、グローバルにダイレクトに繋がって、つまらん権威に振り回されずに、勝手にできる。

 もちろん、だからこそ、I.バーリン言うところの『消極的自由』といった、モラルは必要なのですけど。

――― uchida

 

97/10/28
日本から二時間の地球最後の秘境

 どうも身辺バタバタしておりまして、この日記といいましょうか雑記といいましょうか、こいつで気をまぎらす時間もなかなか取れない状況です。

 基本的にスケジュールに追い立てられる生活というのは嫌いなので、そのうちガスが抜けると思いますが……。

 先月、MTBで多摩川河畔を流していて、すっかりセイタカアワダチソウがススキに駆逐されたなんて書きましたが、近所の空き地なぞを見ると、またぞろ進撃を開始したみたいです。再武装した外国勢力はまた手強いでしょうね。頑張れよ! ススキ!

 昨日、とんと音沙汰の途絶えていた友人に電話したら、「明日、日本から二時間の地球最後の秘境に旅立つのだ」とのこと。なんじゃそりゃと思ったら、とかくお騒がせな某国のことでした。

 「俺、このごろとことんツキに見放されてるから、きっと労働2号が暴発して被爆する」ですと。

 あの国もどうなってしまうのでしょう。それにしても、宗教学者のわが友は、いったい何をしに行くのでしょうか? お亡くなりになった国父様の墓に行くとかなんとか……。

 んー、某国はちょっと考えてしまうけど、どこか遠くへ行きたい!

 ところで、これは私信です。桑原さん、どうも御贔屓に。この前の廻り目平の記事、じつを言いますと、お宅様のツーリングウェーブのレイアウト拝借させていただきました。そうです通称『パクり』というやつですね。この場を借りて、ごめんなさい。O誌のH氏は、ポールリカールへ1週間も行って、「ぼくには、フランスは肌に合いませんでしたよ、ハハハ」と、自慢げにおっしゃってました。悔しいから、また四谷の高級焼き鳥屋でたかっちゃいましょうゼ。

 もういっちょ、私信。塚ちゃん、元気だそうゼ! 病は気から。気分をスチャラカにすれば、調子悪いのも一発で吹っ飛びますわな。ぼくもスポイル間近だし、気晴らしに脳天に鍼でも刺しに行きましょう!

――― uchida

 

97/10/22
靴フェチ

 step4に内容を追加しました。

 この章は、主に靴の話しですが、記事を書きながら、自分で持っている靴のことを考えて、ぼくは靴フェチなんじゃないかとふと考えてしまいました。

 今あるのは、トレッキングシューズが2足、ワークブーツが2足、アウトドア系のスニーカーが2足、ビブラムソールのチロリアンが2足、クレッターシューズ(岩登専用シューズ)が1足、登山靴1足、モトクロスブーツ2足、ついでに沢登り用の地下足袋が1足、ジョギングシューズが1足、あとほとんど履かない革靴が3足……。

 うーん、けっこうなもんです。ふつうの中年男って、いったい何足持っているのでしょうか? 

 もっとも、悲しいかな、ぼくの足は靴が負けるほど強靭なので、どれもこれもヨレヨレで、買い替えなければならないのばかりですけどね……半分がゴミだと思えば、多くはないか。

 じつは、昔、山靴屋さんでオーダーしたときに、「甲高、だん広で、おまけに偏平足。日本人足の見本みたいだな」と笑われました。輸入物やデザインの洒落たものが多い昨今、ぼくの足に合うシューズを探すのは至難の技、合うものがない反動から靴フェチになってしまったのだろうか?

 そういえば、ろくに被らないのに、帽子やヘルメットもたくさんあります。ヘルメットはメーカーから取材用にいただいたものだから、まあいいとして、帽子もフェチの少し手前かな? じつは、ぼくの頭は62cmという特大サイズの上、後頭部に角が生えてて(ほんとですよ)、やっぱり、ぼくの頭に合う帽子がないのです。だから、たまたま頭に合うサイズを見つけると、小躍りして買ってしまうのです!?

 そういうば、悲しいことを思い出しました。この夏、二輪の雑誌の取材で北海道へ行ったのですが、青森のフェリー埠頭そばの健康センターに立ち寄って、汗を流そうということになりました。

 ここは、ツーリングのライダーが訪れることも多いらしく、靴をいれるロッカーの横に、ヘルメット用のロッカーが併設されていました。

 同行したカメラマンと編集は、さっそくこのロッカーにヘルメットを入れたのですが、ぼくのだけ、同じロッカーなのに、幅が足りなくてはいらないのです。しかたなくフロントにあずけました。

 もひとつそういえば、ぼくは、アウトドアスポーツはなんでも好きなのですが、ひとつだけ、絶対に二度とやりたくないものがあります。

 それは、ケービング。

 ケービングでは、どんなに狭い隙間でも、頭が通れば、体は通ると言いますよね。みんなが岩の隙間に頭をねじ込んで、向こう側に抜けたあと、肝心の頭が一人だけ通らず、寂しい洞窟を一人帰る気持ち……二度と味わいたくありません。

――― uchida

 

97/10/22
さらば、内燃機関!

 もうすぐ東京モーターショーですね。

 ぼくは、一足先に、明日のプレスデイに行ってきます。今年は、カリフォルニアのZEV(zero emittion vehicle)法案施行をひかえたり、世界的な環境意識の高まりなどもあって、『環境にやさしい』車が、いろいろと出そろいそうです。

 クルマといえば、速さや操縦性という乗り物本来の楽しさをないがしろにできないところではありますが、もはや、環境を犠牲にした享楽は、まぎれもない『悪』という時代ですからね……。

 バブルの頃には、燃費やら排ガスやらをまるで無視した怪物のような車がもてはやされていたのに、あれから10年も経たないうちに、『エコロジカル』なクルマが良しとされるのですから、世の移り変わりにはめまぐるしいものがあります。

 クルマ自体の利ざやが大きく、オプションやランニングコストで周辺業界も潤う大きな高級車をうまいこと購買意欲を煽ってコンシューマーに買わせるというのが、このところの自動車業界の姿勢でした。

 だけど、もうコンシューマーは、そんな手には騙されません。超過密の大都市で、軍艦のようなクルマや300km/h近くの最高速パフォーマンスを誇るスポーツカーを乗り回したって、「こいつは、切迫した環境問題について何もわかってない奴なんだな」と嘲笑されるのが関の山ですからね。

 ぼくの友人が、今年の夏、ロータスセブンという純然たるスポーツカーを電気自動車に改造して、日本縦断をしました。日に80kmしか走らない車で、民家のコンセントから電気をもらいながらの行脚。

 ちょっと前なら、滑稽に見られてしまう、こういった試みが、全国で非常に好意的に受け止められていたそうです。正直言って、ようやくまともな時代になってきたのだと思います。

 ぼくは現在、MGFというスポーツカーを日常の足にしています。スポーツカーとは言っても、1.8リッターの非力な大衆車のエンジンを載せているので、ろくな加速はしません。

 それでも、小ぶりで軽い車体なので、そこそこ機敏に走るので、けっこうスポーツカー気分だけは味わえます。うちは夫婦二人だけなので、ツーシーターで十分だし、こいつのトランク容量だけで、ちょっとした旅行もこなせてしまいます。

 こいつのいちばんいいところは、燃費です。都内平均で11km/l以上、高速では15km/l近く走ります。それでかなり満足していたのですけど、国内メーカーが最近相次いで発表した直噴ガソリンエンジンだと、軽くその二倍くらいの燃費を記録する上に、馬力がスポイルされるどころか、こっちも向上しているみたいです。

 「このクルマ、燃費が最高にいいんだ」と、自慢していたぼくとしては、悔しい思いがあります。だけど、ローンは3年あるしなあ……。

 モーターショーでは、電気とガソリンのハイブリッドや、代替燃料のクルマなども今度のショーでは出品されるみたいです。今まで、市販なんかまったく考えていない『コンセプトカー』としての電気自動車などはありましたが、今年は、市販を射程に入れた、現実的なコンセプトカーが発表されているみたいなので、これに注目したいと思います。MGFの次は、ハイブリッドカーかな?

 そうそう、モーターショーへ行く本来の目的は、二輪車のほうの取材でした。

 こちらは、今年から大型二輪免許が教習所で取れるようになった影響などから、大型マシンがいろいろ登場するようです。

 二輪車のほうは、仕事と趣味を兼ねて乗ってますが、今までは、「スペースユーティリティから言っても、環境問題から言っても、クルマに乗るよりは、オートバイのほうがローインパクトで正しいのダ!」なんて、胸を張っていたのですが、大型マシンの燃費たるや、直噴のガソリンエンジン車に軽く凌駕されるレベルですからね。考えなくちゃいけないでしょうね。

 ぼくの得意技であるオフロードのほうは、環境問題という点では、真っ先にやり玉に上げられるジャンルで、現にそういう世相を反映してか、市場は極端に落ち込んでいます。

 そのうち、電気モーターのオフロードバイクでエンデューロレースなんて時代になるのでしょう。さらば、内燃機関!

――― uchida

 

97/10/19
マウンテンバイク

 先週の廻り目平キャンプ&トレッキングの写真をまとめました。よろしかったらご覧ください。それから、装備のほうにも、ストーブとテントの写真を加えました。

 今MTBで多摩川のダートを走ってきました。最低でも週に3回は走らないと、体がなまってしまいますね。

 ぼくの愛車は、GTのRTS3というちょっと古いフルサスバイクです。一昨年に輸入元から中古を安く買ったのですが、そのときは、フルサスバイク(前後サスペンションのついたバイク)は少なくて、多摩川でも目立ったものですが、今は、ポピュラーになりました。

 フロントサスをRSTAICHIに交換したりして、チューンナップしてきましたが、そろそろフレームがきしみ始めたし、替え時かなと思ってます。

 四谷のファクトリーウォーターというお店が馴染みなのですが、店長の鎌田さんに相談すると、20万ちょっとで、フルオーダーが組めるとのこと。う〜ん、考えてしまう。

 MTB仲間の友人が、11月の連休に、八ヶ岳の夏沢峠越えをもくろんでいます。信州側から登り、標高2500mあまりの峠を越えて、日本一の高所にある本沢温泉に浸かって、甲州側へ下りるという計画です。

 ぼくは参加できるかどうか、今の時点ではわかりませんが、八ヶ岳の主稜線を越えるツーリングは魅力です。

――― uchida

 

97/10/18
フェアリーリング

 キノコの季節真っ盛りですね。ぼくもどこぞの山にゴソゴソ入ってみようかと思っています。

 でも、ほとんどの山は地元の人たちの入会権があって、よそ者がキノコ採りするのは違法なんですよね。だから、キノコ採りといえば、人知れぬ山奥に行くか、あるいはゲリラ戦となるわけです。ちなみに、今年は南アルプスの某峠をベースにマイタケを攻めてみようかと思っています。

 また聞きの話しですけど、長野の某営林署の職員の方は、毎年ね○ヶ岳の奥のほうでマツタケを山ほど採り、500万円以上の稼ぎを上げているとか。それだけ身入りがあるなら、命掛けてもいいかな……。

 キノコといえば、毒キノコは恐いですねえ。

 ぼくが恐れているのは、ドクササコ、シロタマゴタケ、ドクツルタケのイチコロ御三家。なんたって、この連中に当たると、症状が悲惨なのです。ドクササコは、手先とか足先の末梢神経に焼け串を刺されるような激痛が数ヶ月も続いて、その痛みに発狂してしまうのだとか。シロタマゴとドクツルは、激烈な嘔吐と下痢、腹痛が続き、脱水症状で、まるでミイラのようになって死んでしまいます。この二つに当たった人の肝臓と腎臓は、スポンジのようにスカスカになってしまうそうです。ああ、想像するだけで、ゾッとしますね……。

 そういえば、その昔、八ヶ岳の麓のカラマツ林の中で、見事なフェアリーリングをみつけました。直径3mくらいの輪を描いて、白い傘のキノコがきれいに並んでいます。ヨーロッパでは、このリングの中に踏み込んでしまうと、妖精の世界に連れて行かれてしまうと言われますが、ぼくは、あの中に立って以来、なんだか自分が自分でないような不思議な感覚につきまとわれています。魂だけ、あっちへ行ってしまったのかもしれない……。

 もひとつ、キノコといえば、禁断の魅惑を忘れるわけにはいきませんね。ソーマとかテオナナカトルとかペヨーテは有名ですけど、お手頃の王様は、そう、ベニテング様ですね。白樺林に生息するベニテング様が、いちばん御利益があるというのですが……。

 キノコについては、渡辺隆次著『キノコの絵本』(ちくま文庫)、森毅編『キノコの不思議』(光文社)がお勧めです。ちなみに、この二冊は、図鑑ではなくて、どちらかというと、キノコ賛歌といった内容です。

――― uchida

 

97/10/16
人生必勝のお守り

 世の中、投げやりにやったことが当たってしまったり、逆に緻密に計算してやったことがあえなく失敗したり、先が見えないもんです。

 とくに、人が絡んでくると、それぞれの思惑というのは計り知れないもので、思いがけない人と気が合ったり、逆に信頼を置いていた人と齟齬があったり、感情的な私はつまらんことで一喜一憂なんぞしたりするわけです。

 でも、先が見えないから面白いということもありますね。気持ちの浮き沈みそのものを楽しみましょう。変化があるのはいいことですよ。

 何を愚痴めいたことを言っているんだか……やめましょう、つまらないことを振りかえることは、『楽しむ』姿勢に反しますからね。

 おもしろい神社仏閣を探しています。

 かれこれ15年も前ですが、天橋立を見下ろす山の中腹にある成相寺で、『人生必勝のお守り』というアグレッシヴなお守りを購入しました。爾来、順風満帆?の人生を歩んでまいりまして、でも、そろそろこのお守り様もお疲れかと、昨年の12月、二代目をいただきにまいりました。

 昔の記憶では、山深い中にひっそりとあったお寺で、その薄暗い本堂の隅にキラリと輝くこのお守りを見つけたように記憶していたのですが、あらためて訪れてみると、えらく賑やかなお寺で、何千個という『人生必勝のお守り』が経木の上に山盛りになっているではありませんか。

 しかも、成相寺は、お守りのデパートよろしく、安産から交通安全、待人来るのお守りまで、あらゆるニーズに答えてくれるありがたいお守りが所狭しと並んでいます。人間の記憶というのもいいかげんなものです……私の記憶だけか。

 そんなわけで、こんどこそ、レアなお守りをgetしようともくろんでいるわけです。珍しいお守りを売ってる、あるいは、とっても特殊な御利益のある神社仏閣をご存知の方いらっしゃいませんか?

――― uchida

 

97/10/14
科学以前の叡智

 先日、G.ハンコックの『神の刻印』をこきおろしてしまいましたが、下巻のほうに入ると面白くなってきました。

 テンプル騎士団やフリーメーソンといった秘密結社がオカルト(隠された叡智という本来の意味での)を求めて暗躍、といった内容は、心そそられますね。現代は、高度資本主義のアポリアをなんとか止揚しようと様々な価値観が模索されている時代ですが、オカルトに対する興味が盛り上がっているのは、そんな時代性のためでもあるのでしょう。

 ぼく自身は、無闇なオカルティズムには懐疑的ですが、今では忘れられてしまった科学以前の時代に培われた叡智やアルカイックな価値観の中には、人間を解放する鍵が必ずあると思っています。

 アニミズム、シャーマニズム、密教、古代宗教、錬金術、東洋思想とカオスや複雑系に代表されるような最新科学の有機的な結合が、新しいものを生み出すと思っています。

 そして、たぶん、その結合の触媒となるのはコンピュータサイエンスでしょう。

 岩山のてっぺんで気持ちのいい風に吹かれていると、論理や理屈ではなく、直感に訴えてくる『何か』が、この世には確実に存在すると実感できます。

――― uchida

 

97/10/09
廻り目平

 雑誌の取材と個人的リフレッシュを兼ねて、信州の廻り目平でキャンプしてきました。

 中央道で一気に行くつもりでしたが、集中工事の渋滞を避けて、青梅街道から塩山を経て、川上牧丘林道へ。この林道は、かつては林道ツーリングのメッカで、ぼくも度々出かけたところですが、舗装工事が進んで、今では、山梨県側のダートはわずかに7kmを残すのみとなっています。

 現在も舗装工事の真っ最中で、土日を除いて、今月31日まで通行規制されています(11:40〜12:40までの一時間と、17:00〜06:00までの間通行可)。いちおう、エコロジストの端くれとしては、林道を利用することは後ろめたくもあるのですが、ラフロードを4WDやオフロードバイクで走る爽快感にも、捨て難いものがあります……。

 自然に対するインパクトをあまり気にせず走れるのは、もはや、海外のデザートくらいしかなくなってしまいました。

 林道の通行規制にも引っ掛かって、17時を過ぎてから入ったので、大弛峠に差し掛かったときには、日が暮れてしまいました。

 ここは、標高2000mを越える奥秩父の主稜線上で、すでに気温は氷点下。大弛小屋横の手がちぎれるような湧き水を汲んで、真っ暗な林道を4L3速ホールドで、下っていくと、ほどなくして目的地の廻り目平。こちらも、標高1800mで、息が真っ白です。

 わさわさとテントを張り、たき火をして、じっくりと酒を飲みます。リオハのグランレゼルバを補給すると、体がぽかぽかと温まります。見上げれば降るような星空。これだけで、日ごろのストレスは吹っ飛びますね。

 翌朝、6時半に起きると、あたりは霜で真っ白。昨夜は暗闇で気がつかなかったのですが、あたりは、見事な紅葉です。

 さっそく、簡単な朝食を摂って、トレッキングに出発。もっともお勧めの屋根岩コースは、なぜか「ロッククライミングの技術のない人は立ち入り禁止」となっていました。たしかに、ちょっとスリリングな岩場はあるものの、クライミングとはいえないほどの可愛いもの。最近、廻り目平もポピュラーになって、人が多く入るので、転落事故でも多発したかな? ちなみに、転落したら、まず命はないくらいの高さはあります……。

 屋根岩の頂上で、絶景を楽しんでから、カモシカ遊歩道へ。

 こちらは、遊歩道といっても、ロッククライミングのメッカとして知られる小川山の中腹を巻くアップダウンのきつい径です。

 ゆっくり歩いて3時間くらいの行程。足に自信のない人には、ちょっときついかも。キャンプサイトを起点に、反時計回りのコース。前半は、樹林の中の鬱蒼とした径ですが、後半は、スパーンと展望が開けて最高です。

 途中の唐沢の滝で水を汲み、開けた岩の上で紅茶を入れて昼食。平日とあって、登山者もほとんどおらず、絶景を一人占めの贅沢なトレッキングでした。キャンプサイトまで戻ると、冷えたビールを一杯。これが、最高なのですよ!

 帰途、増富温泉に浸かって、戻ってきました。廻り目平は、これから2週間くらい、紅葉が楽しめそうです。写真も撮ってきましたので、2,3日中にアップします。

――― uchida

 

97/10/07
お勧め物件
ありませんか?

 step3に内容を少し追加しました。

 つい先日、計画的にトレーニングしようと決意しながら、その後、まともに運動できていません。

 トレーニングセンターでゲージの中のリスみたいに汗を流すのもなんだし……。住環境そのものから見直して、田舎暮らししようかとも思ってます。

 信州や八ヶ岳周辺は、学生時代通いつめたところで、すごく馴染みがありますが、手軽な拠点がみつかりそうもないし、東北方面か、北海道か、あるいはアラスカ? 実家は海の近くなんですが、何故か山のある風景が好きなんですよね。どなたか、お勧めの物件、ご存知ないでしょうか?

 それから、最近、まともな思考をともなった仕事をしていないような気がします。そのせいで、ここんところ、愚にもつかない屁理屈をこねてしまうのでしょうか? 

 いくつか、ペンディングしているテーマがありまして、そろそろ本腰を入れて取り組もうかとも思っています。ウェブでなにができるかというのも、そのテーマの一つなんですけどね……。

――― uchida

 

97/10/06
"Ars totum reguirit hominen"

(錬金術は、全人格を要求する)

 昨日、今日と、気持ちのいい天気ですね。

 ぼくは、また金曜から土曜にかけての徹夜ミーティングで生活リズムが狂って、昨日はせっかくの秋晴れを堪能できませんでした。仕事は、システマチックに進めないといかんですよねぇ。

 先日読んだC.ウィルソンの『アトランティスの遺産』(角川春樹事務所)の中で、G.ハンコックのことを評価していたので、図書館で『神の刻印』を借りてきて読み始めましたが、なかなか進みません。どうも、この人の文体というか、思考回路と相性が合わないようです。

 失われた文明の記憶を辿るというテーマはいい。それを一般論からはじめずに、個人的体験から書き起こす手法も、まあいいと思います。

 ところが、科学的史観といいましょうか、自分の観点も含めて客観的に検証するという「姿勢」が希薄で、手近な結論にすぐに飛びついていく論の進め方は、ドグマ丸出しで、普遍性がまったく感じられません。

 同じテーマを扱うのでも、C.ウィルソンのほうが、すべてを懐疑的に見て、安易な結論に飛びつかないのと対照的です。せっかく実地にフィールドワークして本を作っているのに、もったいない。

 最近、社会が逼塞しているせいか、近代文明以前にあったアルカイックな価値観やパラダイムにスポットライトが浴びせられています。

 そのことは、とてもいいことだと思います。プリミティブな感覚意識であるアニミズムや、疑似科学として排斥された魔術、錬金術の中には、人間性の疎外といった現代科学が突き当たっているアポリアを解決するためのヒントが隠されているだろうし、もしかしたら、次のパラダイムの基礎になるのは、そういったものの中に秘められた精神主義かもしれないと思います。

 でも、だからといって、科学が築き上げてきたものを一掃して、そういうものに置き換えてしまったり、客観主義を軽視するのはよくないでしょう。

 例えば、最近の日本では、カルトが流行ったり、精神主義関係の本が売れたりしていますが、それらのほとんどは、少し修行すれば他人より抜きんでた超人になれるとか、楽観的に考えればすべては解決するといった安直な主知主義でしかありません。

 努力するのが嫌で、嫌なものには目を背けて生きる卑怯者が、こういうものに引っかかりやすい。

 それならまだ、現世での苦労が、自分の霊的ステージを高めるのだという多くの宗教が主張する世界観のほうが、よほど納得がいきます。主知主義にしても、物理学者が不確定性原理を目の当たりにして、「この世には、目に見えない力が働いているのだ」とつぶやくほうが、俄か教祖が宙に浮いてみせるより、100万倍も同感できます。

 リュック・ベッソンの『フィフスエレメント』という映画が受けているようですが、ぴあで、この主演女優が、「私、もともと哲学に興味があって、カスタネダなんかを愛読してたから、この映画に入りやすかったわ」なんてコメントしているのを読んで、もう観る前から興味がなくなりました。

 カスタネダが哲学とはね……。『フィフスエレメント』という題名も、ありふれた錬金術用語で、落ちが丸出しだし……。ベッソンは、見せ場のうまい監督だから、もしかしたら面白いかもといった期待もほんの少しありますけど。

 今日は、なんだかつまらないことを書き連ねてしまいました。

 "Ars totum reguirit hominen" (錬金術は、全人格を要求する)

――― uchida

 

97/10/02
地平線クラブ

 step2に内容を追加しました。またテキストのみの追加です。画像のほうは、あちこちに散逸しているものを回収中でして、それが手元に来たら、徐々にアップロードしていこうと思ってます。

 10月に入ったら、さっそく山へ行こうと思っていたのですが、なんだか忙しくて前半は時間がとれそうにありません。

 中旬か下旬には絶対と思ってますが、その頃になると、廻り目平はせっかくの紅葉も終わりでしょうね。前沢牛を雑誌の企画で食べに行くという目論見も、いろいろあって来年の初夏まで延期になってしまったし、ちょっと、気分のほうまで秋風が吹いているような状況です。

 夏に二輪の雑誌の取材でお世話になった、地平線クラブというところから、タラバガニを一匹まるごといただきました。なんせ、3kgもあるみごとなタラバガニを手にするなんてはじめてですから、いやあ、うれしいやらびっくりするらや。

 カミさんの実家に持っていってみんなで食べようなんて思って、フリーザーに詰め込んだら、これだけでいっぱいになってしまった。

 地平線クラブは、北海道の北、幌延のサロベツ原野の一角にあるちょっと変わったスポットです。

 この地で食堂を営む宮本さんご一家と、幌延町出身のクリエイターが一緒になって、北海道らしい素朴な雰囲気を旅人に味わってもらおうとはじめたアミューズメントスポットのようなもので、宮本さんの食堂のほか、でっかいカマボコ型倉庫の中にバーベキューサイトがあったり、手作りの遊園地があったり、不思議な空間になっています。

 最近の北海道は、どこもかしこも観光地化されてしまって、昔の素朴さが薄くなってしまいましたが、ここは、なんだか、開拓時代を思い起こさせるような雰囲気で、北海道らしさを感じさせてくれます。

 冬のサロベツも、また雰囲気があっていいでしょうね。

 宮本さん、いろいろお世話になった上、こんなごちそうまで戴いて、ほんと恐縮です。また遊びにうかがいますからね。

 明日は、また徹夜になりそうです。また、メラトニンでリフレッシュかな?

――― uchida

 


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