97/10/22
さらば、内燃機関!
もうすぐ東京モーターショーですね。
ぼくは、一足先に、明日のプレスデイに行ってきます。今年は、カリフォルニアのZEV(zero emittion vehicle)法案施行をひかえたり、世界的な環境意識の高まりなどもあって、『環境にやさしい』車が、いろいろと出そろいそうです。
クルマといえば、速さや操縦性という乗り物本来の楽しさをないがしろにできないところではありますが、もはや、環境を犠牲にした享楽は、まぎれもない『悪』という時代ですからね……。
バブルの頃には、燃費やら排ガスやらをまるで無視した怪物のような車がもてはやされていたのに、あれから10年も経たないうちに、『エコロジカル』なクルマが良しとされるのですから、世の移り変わりにはめまぐるしいものがあります。
クルマ自体の利ざやが大きく、オプションやランニングコストで周辺業界も潤う大きな高級車をうまいこと購買意欲を煽ってコンシューマーに買わせるというのが、このところの自動車業界の姿勢でした。
だけど、もうコンシューマーは、そんな手には騙されません。超過密の大都市で、軍艦のようなクルマや300km/h近くの最高速パフォーマンスを誇るスポーツカーを乗り回したって、「こいつは、切迫した環境問題について何もわかってない奴なんだな」と嘲笑されるのが関の山ですからね。
ぼくの友人が、今年の夏、ロータスセブンという純然たるスポーツカーを電気自動車に改造して、日本縦断をしました。日に80kmしか走らない車で、民家のコンセントから電気をもらいながらの行脚。
ちょっと前なら、滑稽に見られてしまう、こういった試みが、全国で非常に好意的に受け止められていたそうです。正直言って、ようやくまともな時代になってきたのだと思います。
ぼくは現在、MGFというスポーツカーを日常の足にしています。スポーツカーとは言っても、1.8リッターの非力な大衆車のエンジンを載せているので、ろくな加速はしません。
それでも、小ぶりで軽い車体なので、そこそこ機敏に走るので、けっこうスポーツカー気分だけは味わえます。うちは夫婦二人だけなので、ツーシーターで十分だし、こいつのトランク容量だけで、ちょっとした旅行もこなせてしまいます。
こいつのいちばんいいところは、燃費です。都内平均で11km/l以上、高速では15km/l近く走ります。それでかなり満足していたのですけど、国内メーカーが最近相次いで発表した直噴ガソリンエンジンだと、軽くその二倍くらいの燃費を記録する上に、馬力がスポイルされるどころか、こっちも向上しているみたいです。
「このクルマ、燃費が最高にいいんだ」と、自慢していたぼくとしては、悔しい思いがあります。だけど、ローンは3年あるしなあ……。
モーターショーでは、電気とガソリンのハイブリッドや、代替燃料のクルマなども今度のショーでは出品されるみたいです。今まで、市販なんかまったく考えていない『コンセプトカー』としての電気自動車などはありましたが、今年は、市販を射程に入れた、現実的なコンセプトカーが発表されているみたいなので、これに注目したいと思います。MGFの次は、ハイブリッドカーかな?
そうそう、モーターショーへ行く本来の目的は、二輪車のほうの取材でした。
こちらは、今年から大型二輪免許が教習所で取れるようになった影響などから、大型マシンがいろいろ登場するようです。
二輪車のほうは、仕事と趣味を兼ねて乗ってますが、今までは、「スペースユーティリティから言っても、環境問題から言っても、クルマに乗るよりは、オートバイのほうがローインパクトで正しいのダ!」なんて、胸を張っていたのですが、大型マシンの燃費たるや、直噴のガソリンエンジン車に軽く凌駕されるレベルですからね。考えなくちゃいけないでしょうね。
ぼくの得意技であるオフロードのほうは、環境問題という点では、真っ先にやり玉に上げられるジャンルで、現にそういう世相を反映してか、市場は極端に落ち込んでいます。
そのうち、電気モーターのオフロードバイクでエンデューロレースなんて時代になるのでしょう。さらば、内燃機関!
――― uchida
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