00/08/28
西域倶楽部

 8月もあと三日で終わりだというのに、なんなんでしょう、この暑さは?

 明日からツーリングマップルの最終取材に出発する予定なのですが、最後に回した東海北陸は、なんとまだ数日は35℃オーバーとか。そろそろ秋風が爽やかな時分だと思っていたのに...。朝夕がだいぶしのぎやすくなったのが、せめてもの救いですけどね。

 この数ヶ月抱えつづけていたシルクロードサイト『西域倶楽部』をスタートさせました

 シルクロードに関してはパイオニアの写真家石嘉福さんが音頭をとり、新疆で様々な旅のコーディネートをしている『新疆金橋民俗国際旅行社』が全面バックアップ。新疆シルクロードのすみずみまで知り尽くした石さんと数々の手配旅行・冒険旅行などを手がける新疆金橋民俗国際旅行社がタッグを組んで、砂漠から草原、高山まで縦横無尽のレポートと、旅のコーディネートをお送りしていきます。

 ぼくも、1986年に新疆シルクロードを二ヶ月に渡って旅をして、その長い歴史とエキゾチックなオアシス、そして、途方もないスケールの自然に魅了されました。日本の4倍の面積のあるタクラマカン砂漠、モンゴルからシベリアまで続く遊牧民たちの故郷ステップ地帯、そして天山、崑崙、パミールといった高山、変化に富んだ自然を相手に思い切り遊んでみたいというのが、積年の夢でした。

 その夢を実現する第一歩として、このサイトを育てていきたいと思っています。みなさんも、ぜひ、ご覧になってみてください。来週、取材旅行から戻ったら、石さんの写真をどんどんアップしていきたいと思ってますので、ご期待ください!

――― uchida

 

 
 

00/08/24
リトル・トリー
とデルス・ウザーラ

 お盆が済んだというのに、東京はあいかわらず暑い日が続いています。

 聞くところによれば、この夏は6年ぶりの猛暑だったとか。6年前といえば、↓で紹介した友人と出会ったのが、6年前のグラミスだったんですよね。あそこは、日中50℃を軽く越える暑さで、数値から見れば灼熱地獄のような感じですが、湿度がほとんどないので、日陰にいればそこそこ耐えることができました。朝夕はしのぎやすかったですしね。湿度の高い蒸し暑い東京よりずっとましでした。

 このサイトに併設しているメーリングリストでも、八ヶ岳山麓で不耕起農業を営んでいる彼のことを紹介しましたが、じつは、メーリングリスト開設以来の常連さんであるRyuさんという方が同じように自然農法を志向している人で、直接mailで連絡を取られたそうです。

 Ryuさんはニュージーランドでシーカヤックのガイドをされているのですが、かの地に渡る前に、日本で自然農法にチャレンジしようと思っていたそうです。志を同じくする人同士の間を取り持つような格好になって、とてもうれしく感じています。こうしてサイトを立ち上げて、いろいろな方からmailをいただくようになって、WEBの力を痛感しました。

 さらに、メーリングリストを立ち上げることで、さらに深くインタラクティヴにネットワークが張り巡らされていくのを実感しています。夏バテからも少し回復しつつあるので、また気合を入れなおして、サイトの更新に励んでいきたいと思います。

 以前、メーリングリストのほうで話題になっていた『リトル・トリー』(フォレスト・カーター めるくまーる)を読みました。

 物語は、両親を亡くしたチェロキーの少年リトル・トリーと、その祖父母の話です。ネイティヴアメリカンにしろぼくが昔から興味を持っているアイヌやシベリアの北方少数民族にしろ、自然と共生することについて、とても深くて大きな知恵を持っています。そして、自分もまぎれもない自然の一部であることを自覚し、謙虚に生きて行きます。

 ぼくは、OBTサイトで『チキサニ −巨きなものの夢−』という小説を公開していますが、そこで言いたかったのは、自然と共生する知恵=アニミズムが忘れ去られてしまった現代の不幸でした。

 今、自然から収奪することで富を生み出してきた高度資本主義が行き詰まりにあって、新しい寄辺となるパラダイムを見つけ出せずに、みんなが苦悶しています。ぼくは、その答えの一つに、アニミズムに代表されるプリミティヴな価値観があると思います。

 新しいミレニアムに入り、そういったことにはっきり気づき始めた人がたくさん出てきたような気がしています。『チキサニ』では、コンピュータサイエンスを突き詰めていった先にシャーマニズムが立ち現れてくるという、ちょっとオルタナティヴ風の構成をとったため、90年代半ばの出版界では理解してくれる人に出会えませんでした。

 それが、今になって、WEB上のメジャーメディアに載る可能性が出てきました。OBTサイトが本になったように、『チキサニ』もWEBから出版へという道を辿りそうな気がしています。

 話が横道に逸れてしまいましたが、『リトル・トリー』は、現代人が取り戻さなければならない大切な価値観を、シンプルな言葉で力強く教えてくれています。ほんとうは、人間はみな、リトル・トリーのような純粋で無垢な心を持って生まれてくるのでしょう。それがいつのまにか、垢にまみれてしまっている。それが現代人の悲しみであるような気がします。

 「少年の心を持ちつづける」というのは、リトル・トリーのような純粋さを大人になってもずっと持ちつづけるということでしょう。これからの未来を明るくしていくためには、「少年の心を持ちつづける」大人がたくさんいて、プリミティヴな知恵が復権することにかかっていると思います。

 ぼくは、『リトル・トリー』を読んで、『デルス・ウザーラ』(アルセーニエフ 東洋文庫)を思い出しました。

 シベリアの森に生きる少数民族、デルスゥもやはり「少年の心を持ちつづける」人でした。そして、デルスゥも自然とともに生き、自然に還ってゆきます。なんだか、長くなってしまいましたが、『リトル・トリー』で、愛するリトル・トリーに看取られながら、祖父が去っていくときの言葉を紹介して終わりにします。

 「今生も悪くはなかったよ、リトル・トリー。次に生まれてくるときは、もっといいじゃろ。また会おうな」最後に、満足して、人生に感謝して死ねる生き方、そんな生き方をしたいですね。

――― uchida

 

 
 

00/08/15
手づくり屋

 いやはや、東京は暑いですねえ。先先週、中部の山岳地帯を巡って、すっかり涼しさに慣れていたぼくは、先週末は、ついに暑さに我慢ならず、清里の近くで自然農法をしている友人のところに非難してしまいました。

 彼とは、6年ほど前、カリフォルニアとアリゾナの境にあるグラミスというところで、オフロードバイクに乗ったり、砂漠をトレッキングしたりするツアーで出会いました。彼も、BAJA1000などのオフロードレースに出場したりしていたオフロードフリークで、とても気が合い、楽しい時間を過ごしました。

 その後、彼は、そのイベントで知り合った女性と結婚し、それまでのオフロードバイク一本槍の生き方から一転して、今まで遊ばせてもらっていたフィールドと共生し、人間らしさを考え直す生活に入っていきました。彼は、それまで人生の中心にあったオフロードバイクを捨てて、肌で土にまみれる生活に入っていったのです。

 彼が、思考錯誤しながら土にまみれ、新生活の中で、血を吐くほどのストレスをなんとか克服していっているとき、ぼくはデジタルの世界に飛び込み、その中で自分のスタンスを見つけだそうと悪戦苦闘していました。

 あれから6年、ふと、彼を訪ねてみたいと思い立ったのです。それまで、いろいろな場面で、彼のことを思い出し、「どうしているんだろう」と気にかかっていました。でも、今まで、何故か、実際に彼を訪問するところまでいきつけずにいました。それが、今回は、自然と足が向いていったのです。

 6年ぶりに会った彼は、とても精悍になっていました。一時は、慣れない田舎暮らしの中で体を壊し、10kg以上痩せてしまい、胃潰瘍で血を吐いたそうです。それが、なんとか立ち直り、自分のスタンスを確立して、仕事も軌道に乗ってきたとのこと。

 京都出身の奥さんは、砂漠で会ったときは、とても静かで控えめで、物事に対してちょっと引っ込み事案な感じの人でした。ところが、今はトラックを勇ましく運転し、農作業から家事、一人娘の世話までテキパキとこなす、たくましいお母さんに変身していました。三つになる娘さんも、伸びやかに育ち、とてもうらやましい家庭を築きあげていました。「大地が人間を育てるんだなあ」と、心底、感激しました。

 ちょうどイモの収穫のときに当たっていて、その手伝いをしました。八ヶ岳の麓、かつてぼくが足繁く通った稜線を間近に拝みながら、爽やかな風に吹かれつつ土にまみれていると、自分が大地に生かされていることを実感します。稜線を見上げて汗を拭きつつ、「あの稜線から麓を見下ろして、こういう生活をいつかはしようと思っていたんだよなあ...」と、昔を思い出しました。

 後で、自分が掘ったイモや彼の畑で生ったトマトやズッキーニをいただくと、野菜そのものの味が濃厚で、「野菜って、味をつけなくても、そのものの味だけで食べられるんだよなあ」とあらためて気づきました。彼は、「手づくり屋」(http://www.cieloni.com/t.htm)というブランドを立ち上げて、自分が作った不起耕栽培の野菜やハーブ、それを使った歯磨きや、奥さん手作りの布製の生理用ナプキンなどを販売しています。

 不起耕栽培とは、その名のとおり、土地の持つ力だけを頼りに、耕すこともせずに、自然のまま作物を育てることです。でも、彼が借りている農地は休耕田だったりして、地味が痩せてしまっていたり、市販の種は肥料や農薬をたくさん使う量産型農業に合うような品種になってしまっていたりして、当初は思うように収穫できなかったそうです。それでも、土地に元気をつけるところからはじめて、野生種に近い種を探したりして、どうにか、彼がイメージしていた農業が形になってきたようです。また、ことあるごとに押しかけ援農に行こうと思っています。

――― uchida

 

 
 

00/08/09
宇宙のバックグラウンドノイズ

 オートバイに乗っていると、空気の変化にとても敏感になります。

 一昨日は立秋でしたが、この日を境に、明らかに空気が変わったのを感じました。

 気温はあいかわらず30℃を軽く突破して真夏ですが、空気のほうは先に秋への準備を整えるかのように、締まってきました。オートバイで走っていて、それまで肌にうるさくまとわりついてきた空気が、さらリと表面を撫でて通り過ぎ、汗を気持ちよく拭っていきます。

 一日中、エアコンの効いた室内でモニタに向かっていては、季節の変わり目は実感できませんよね。

 それから、旅をしていて強く感じたことがあります。

 それは、言い表すのが難しいのですが、世の中に今まであったバックグラウンドノイズの一部が無くなってしまったという感じです。

 自然の中にいると、鳥の声や虫の声、そして風が渡る音などがはっきり聞こえますよね。そのバックグラウンドノイズのさらに裏側というか外側に、宇宙的なノイズとでもいうようなものを今までかなり強く感じていたのですが、それが最近聞こえなくなっているような気がするのです。

 それは、ぼくが変わってしまったからなのか、あるいは、地球的、宇宙的な変化をぼくの中にある何かが感知しているのかどちらかわかりませんが、自然の中に身を置いているときに、たしかに、今までとは違った印象があるのです。

 例えれば、嵐が近づきつつあるときの妙に静まった感じに近いかもしれません。大きな変化の前触れのような...スティーヴン・キングの『ランゴリアーズ』のような、あるいはミヒャエル・エンデの『果てしない物語(ネバーエンディングストーリー)』のような、虚無がすぐそこまで迫りつつある感じとでも言ったらいいでしょうか...。

 でも、もし未曾有の天変地異が迫っているのなら、それなりの胸騒ぎがすると思うのですが、それはないのです。ぼくと同じような感覚を持たれている方はいらっしゃいませんか?

――― uchida

 

 
 

00/08/08
不思議な出会い

 先週はずっと昭文社『ツーリングマップル』の取材で、オートバイに乗っていました。

 奥三河から恵那、御岳の麓を辿り、新穂高から有峰湖を経て立山へ。さらに富山に出て、日本海側を糸魚川まで走って、姫川沿いに松本へ。そして国道20号を辿って東京に戻るという1500kmあまりの行程でした。ずっと昼間の平均気温が25℃程度の高原地帯を巡っていたので、それをゆうに10℃は上回る東京はまさに灼熱地獄です(>_<)

 今回の取材では、スズキの新しいオフロードマシンDR―Z400Sを足に使ったのですが、これははっきり言って長距離ツーリングには不向きでした。

 モトクロッサーというかエンデューロレーサーに保安部品をとりあえずつけましたといったようなこのマシンは、シートは固いし、振動はかなりくるしで、尻は擦りむけ、手は、二日経った今もしびれたまんまで、感覚がありません。1500kmのうちの20kmばかりのオフロード走りは、じつに快適だったんですけどね(~_~;)

 この夏は、取材で、中部地方を走り回っているのですが、旅をしていると、面白い発見や出会いがあります。

 例えば、奥三河のあたりは、かなり侵食の進んだ丸みのある山並が連なり、土地は水が豊富で全体にしっとりしていて桂林のような趣きなのですが、北上していくにつれ、だんだん山が大きくダイナミックになっていって、乾いて、大地そのものが新しいことを実感させます。御岳の麓から乗鞍を横切って、新穂高のほうに向かうと、桂林からヨーロッパアルプスまでを巡ったような気分です。

 出会いのほうでは、びっくりすることが一つありました。

 奥三河の売木という小さな村の食堂で名物の五平餅を写真に撮っていると、そこで働いているおばさんに声を掛けられました。

 「ツーリングマップルの取材で回っているんでしょ?」

 「へっ?」

 まさにその仕事をしている最中に媒体を名指しされて、目が点になりました。べつに最初に取材で来ていることを説明したわけでもないし、写真を撮るといっても、コンパクトカメラで記念写真を撮る風に写していただけなんです。

 どういうことやらわからず、「はあ」なんて間抜けな返事をして固まっていると、「私の娘は、東京に住んでいるだけど、ツーリングマップルのモニターをやっているんですよ。オートバイに乗っていて、食べ物を写真に撮っているから、絶対にそうだと思ってね」とのこと。ツーリングマップルは、実走取材をポリシーにしていて、各版にはぼくのような担当取材者がいるのですが、それだけではとても細かい部分までをフォローすることはできません。そこで、読者からモニターを募って、有給で取材と情報提供をお願いしているのです。おばさんの娘さんは、関東版でその実走取材モニターをしているとのことでした。モニターの数はたしか全体で20人くらいだったと思います。それが、よりによって、ぼくが適当に入った食堂で、そのお母さんに出くわすとは...。こういうことがあるから、旅はやめられません。

 村上龍『希望の国のエクソダス』、読み終わりました。ネットワークの可能性については、いろいろな人がいろいろなことを言ったり書いたりしていますが、この作品は、それをもっとも的確に表していると思います。

 ネットワークは、「権威」、「集団」、「連帯」、「肩書き」、「年功序列」といった既成の価値をことごとく無化していきます。ネットワークは、純粋にアナーキーで、カオス的で、だからこそダイナミックで有機的です。そのことをネットワーカーたちは、体感的に知っています。

 でも、それが今ある「古い社会」をどう変えていくのかを具体的に描いて見せたのは、ぼくが知る限り、この小説が初めてだと思います。そして、ネットワーク社会が行き着く先のユートピアの、どこか釈然としないキレイすぎる空気までを表現する村上龍という作家の才能に、おもわず頭が下がりました。

 ネットワークは、すでに人間生活のあらゆる部分に浸透して、その基盤となっています。そして、これから先のデジタルネットワークの高度化が人間にもたらす恵みは計り知れないものがあります。

 でも、一方で、デジタルデバイドというか、デジタルに対する認識の違いが、人間を新たなクラスに分けてしまうことも避けられないでしょう。デジタルネットワークをツールとして使いこなせる「持てる者」。デジタルネットワークの意味すらつかめず、今までそうであったように、ひたすら待ち続けていれば誰かが手を差し伸べてくれると盲信にしがみついているうちに何もかもなくしてしまう「持たざる者」。「持てる者」と「持たざる者」の格差は、途方もないものになるでしょう。

 でも、それは必要なことなのかもしれません。「盛者必衰」もこれまた真理で、「持てる者」の栄華も、その先の世界では続くはずもないのですから。ぼくは、単純に、今まで逼塞していた(村上流に言うなら「閉塞していた」)歴史が、動き始めたことを評価します。そして、どうせなら、動き始めた歴史の波に乗って、何か面白いことをしていきたいと思っています。

――― uchida

 

 
 

00/07/30
希望の国のエクソダス

 昨日、今日と表は最高の天気で爽やかな風が吹き抜けているというのに、こちらは、ちまちまとWEBをベースにしたゲームの企画なぞを練っておりました。

 その気分転換に、村上龍の「希望の国のエクソダス」を読んでいます。自分の頭でものを考えなくなってしまった日本という国に嫌気がさした中学生たちがネットワークをベースにアクションを起こす。そのきっかけとなるのが、アフガンゲリラに身を投じた彼らと同年代の日本人少年だった。

 という話ですが、ぼくは自分の中学生の頃を思い返して、このアフガンゲリラの少年と自分がオーバーラップしてくるような気がしました。当時、アンゴラの内戦が激化していて、連日、その様子が報道されていました。そして、義勇軍募集なんて話もその中で紹介されていて、当時のぼくは、その義勇兵にとてもひかれていたのです。

 「しらけ」なんて言葉が蔓延っている頃で、何もかもが閉塞していて、夢も希望もありませんでした(それは、今のほうがひどい気がしますが)。ならいっそのこと、どこか遠い国の戦争にでも参加してみれば、生きている手ごたえを得られるんじゃないかなんて思ったわけです。

 幸いというかなんというか、その後、オートバイやら山やらに楽しみを見出して、今に至っているわけですが...。当時の自分を振り返ると、今はもっと「何をしてもつまらない結果しか出ない世の中」なのが中学生にとっても明白わけで、あの時自分が想像していたようなことを実際に行ってしまう子がいてもおかしくないなと思ったわけです。

 まだほんの触り程度しか読んでいないのですが、ネットワークに活路を見出した中学生たちが、これから何を行っていくのか楽しみです。村上龍氏の作品では、「コインロッカーベイビーズ」がいちばん好きですが、「希望の国...」に登場する少年たちは、なんとなくあの作品の主人公にオーバーラップするような気がします。

 さて、しばらく最高のアウトドア日和の表を指を咥えて眺めていただけなので、そろそろガス抜きも兼ねてアウトドアに飛び出そうと思います。

 ツーリングマップル中部版の取材で、今度は、愛知の奥三河から飛騨、富山と抜けて、糸魚川から戻ってこようと思っています。今回は、スズキのDR―Zというかなりアグレッシヴなオフロードバイクを借りたので、御岳周辺や立山方面のオフロードに重点を置いて走ってこようと思っています。

――― uchida

 

 
 

00/07/24
エゴイズムの地獄

 あまりの暑さに、↓では、ついつい愚痴を言ってしまいました。ま、みんな、なんだか調子出ないのも仕方ないですよね。「あ〜あ、暑くてたまんないから、離婚でもしようっと!」なんて考えてしまう気持ちもわからなくもありません(・・;) 

 それはともかく、なんと古代マヤの暦で言うと、今日は大晦日らしいじゃないですか! 「暑い、暑い」なんてどうしようもないことをブツブツ言っている場合ではありません。はやく、大掃除して、門松立てて、オセチの仕込みをして、凧揚げの準備をしなければ……。

 だけど、当たり前になっている太陽暦ですが、違う暦に当てはめてみると、違う月、違う季節になってしまうのだから不思議ですよね。先日、「地球月光欲」という写真展を見に行ったときにも、同様のことを思いましたが、今のぼくたちは、太陽の巡航をすべての基準にしているために、あらゆることが白日の下に明らかでなければ気がすまなくなっているような気がします。同じ事象でも、月光の世界は太陽光の世界とは違った性格を帯びています。人の心理も、太陽の光の下と月光の下ではだいぶ違う気がします。

 太陽暦を基準とした文明が行き詰まりに来ているのだとすれば、この辺りで、マヤ暦を導入して、世界を違った時間軸の上で見直してみたりするのもいいんじゃないかなぁなんて思うわけです。なんたって、明日がお正月だと思ったら、「お正月にしては、ばかに暖かいなぁ……」と、ちょっとは、暑さを我慢できるんじゃないかなぁ……。

 古代マヤといえば、どうしてその文明が忽然と消えうせてしまったのか、大きな謎に包まれています。

 一説には、神への生贄になることが、最高の栄誉とされて、我も我もとこぞって生贄になったために、ついに人がいなくなったなんて話もあります。

 あるいは、「聖なる予言」がモチーフにしたように、彼らは、自分たちの精神性を高めることを至上命題としていて、それを突き詰めていった結果、ついに肉体を持たず、精神のみの存在へと昇華した、なんて「禁断の惑星」のイドの怪物めいた説もあります。

 生贄になって、みんな死んじゃったという話よりは、肉体から解脱しちゃったというほうが、いかばかりか夢がある気がしますけどね、個人的には。

 でも、生贄になることが最高の栄誉という考え方は、それはそれで悪くない気もします。西洋的ヒューマニズムからすれば噴飯ものの考え方でしょうが、「人の命は地球より重い」と説いて来たヒューマニズムが行き着いた先が、エゴイズムの地獄だと思えば、ある意味、究極の自己犠牲であるマヤの価値観のほうが、よりヒューマンなものであるように思えてきます。……要は、どちらにしろ、程度問題ということなのかなぁ?

――― uchida

 

 
 

00/07/21
他者依存

 いやはや、暑いですねえ、東京は...。連日、エアコンのタイマーが切れると、起きてスイッチを入れに行き、また切れるとまた入れに、ということを繰り返して、なんだかまともに眠っていない感じです。先週は、炎天下をツーリングしていたというのに、今はエアコン魔王と化しています...こんなことで、次のツーリング取材に出られるのでしょうか? 

 次の取材地候補に、どうしても涼しげな高原地帯の地図を開いてしまいます(~_~;)。暑さのせい、というわけでもないのでしょうが、昨日、とある知り合いがのっそりと事務所を訪ねてきました。

 この人、もうずいぶん前から、なんだか暗い雰囲気に包まれてしまっていたのですが、今回は何かと思いきや、「離婚するんですよ」とのこと。

 「なんだ、ほんと、すっきりしてよかったね!」なんて、思わず明るい声を出すと、どうも、そのことでぼくが同情することを期待していたらしく、目を白黒させた挙句に、うつむいて黙ってしまいました。

 「若いおねえちゃんに目移りしたんだろ」とからかっても、「いや、結婚生活に耐えられなくなったんですよ」と、余計に肩を落としていきます。後は、自分から何か話題を切り出すでもなく、ただ黙っていて、それで場が重くなると、どうでもいいような人の噂話をはじめます。

 けっこう切迫していた仕事の手を休めて、なんでそんな話に付き合わされなければいけないのかなぁ? 人に依存するというのでしょうか、極々パーソナルなことを誰かに聞いてもらいたい、そして、自分では考えることができないから誰かに無条件で助けてもらいたいという人が最近多くなっているような気がします。

 人もそれなりに苦労しながら、それでも頑張っているということがわからないのでしょう。大人になりきれないんですね。人に認めてもらうためには、それなりの努力が必要なことくらい、大人ならわかっているはずです。それが、なんの努力もせず、ただ人の尻馬に乗ってやってきて、何か都合が悪くなるとすぐ人のせいにする...そういう人が行き着く先は、カルトしかないんじゃないかなんて、つい思ってしまいます。

 カルトなら、ただ、お頭のいかれた教祖のホラを信じてさえいれば、「ほかのやつらは、何もわかっていない。ぼくらは、選ばれたものなんだ!」と、根拠のない優越感に浸っていられますからね。

 「誰もぼくのことをわかってくれない」と呟きながら、暗い雰囲気を世間に撒き散らして生きているくらいなら、カルトに入って、どこかにこもってセミナーでも開き、みんなで精神のマスターベーションして満足しててもらうほうが、社会のためにもいいかもしれません。...って、ぼくもいったい、何を言っているのやら? やっぱり、夏はどこかでカポーッっとバカになっているのが良さそうですね。

 難しい理屈は頭に入らないので、スティーヴン・ハンターの『狩のとき』なんてアクション小説を読んでいます。

 ある海兵隊のスナイパーの話ですが、なんというか、徹底的にプロフェッショナルな人間の思考とか行動というのは、読んでいて気持ちがいいですね。戦争を賛美するわけではないですけど、極限状況の中で知識と体力と、そして本能を振り絞って闘う行為は、神々しくすら思えます。

 命をかけるほどではないにしても、何かに夢中になることが必要ですよね。みんな、小ざかしくなって、何かをする前に、結果が見えているようなことばっかり言っているから、つまらないドグマにはまりこんでしまうんですよね。

――― uchida

 

 
 

00/07/18
ほんとに傷の治りが早いねえ

 ついに関東も梅雨明けしましたね……といっても、ずっと晴天続きで、「やっぱ、関東も梅雨明けしてましたわ、エヘへへ」といったトーンの気象庁発表では、なんだかすっきりしませんけど(~_~;)。

 それにしても、東京は暑いですね。昨日は、「暑気払いは、表で汗を流すに限る!」なんて息巻いて、久々に炎天下にジョギングしたら、一気に激烈夏バテモードに突入してしまい、その後は、ほとんど熱射病の朦朧状態で、大事なミーティングも上の空でした(>_<)。今日は、自重してトレーニングセンターで軽くウォーミングアップしたら、はるかに快調でした。

 「あんたは、すぐに無茶するからなぁ」と、いろんな人に言われますが、ほんとです。

 そういえば、膝の傷が、ついにほぼ完全に癒えました。とても10針も縫ったとは思えないほどで、どうみても、何かにしたたかに膝を打って、葡萄色になっているといった感じです。

 その他の傷も、もう、まったく跡がなくなりました。「あんた、ほんとに傷の治りが早いねえ」と、いろんな人に半ば呆れられますが、だからすぐに無茶してしまうのかなぁ?

――― uchida

 

 
 

00/07/16
奥能登

 九州四国あたりは梅雨明けしたようですが、東京も梅雨明けを思わせる晴れ空で、日差しが痛いほどです。7月に入ってから雨らしい雨が降ってない気がしますが、今年は予想に反して空梅雨で終わるのでしょうか。

 今日は100年に一度というくらいの長時間に及ぶ皆既月食が見られるようです。また、大規模な太陽フレアが発生したせいで、もしかしたら北海道ではオーロラも観測できるかもしれないとのこと。北海道は晴れているのかな?

 ちょっと前の話題になりますが、9日の台風一過から13日にかけて、久しぶりにロングツーリングをしてきました。以前、この欄で昭文社の「ツーリングマップル中部・北陸」版の取材担当となったことをお知らせしましたが、その第一回取材です。

 今回は、事故後1ヶ月ということもあって、とりあえず足慣らしの予定で、能登を一周することにしました。初日は中央高速を松本で降りて、乗鞍から高山へ。二日目は、高山から荘川、白川郷、五箇山と独特の山村風景をつないで、能登のたもとの氷見へ。

 氷見で、このOBTメーリングリストに参加してくださっているTさんと初めてお会いして、豪華な海の幸でオフミを開きました。さらに翌日は能登の突端にあたる禄剛崎を回り、輪島の北のほうでキャンプ。

 四日目は、いったん内陸に入り、柳田村黒川にある中谷家を訪問しました。

 ここは、長く続いた庄屋さんで、内側が総輪島塗という蔵を有しています。20年前、旅先の口コミでその存在を知り、朱と黒のツートーンだけの世界にしばし浸って、その独特の宇宙を満喫しました。今回の旅では、その再訪がいちばんの目的だったのです。

 そして、夕陽の美しさで有名な曽々木から、いかにも奥能登の落ち着いた山村風景の中を一時間あまり、中谷家に到着しました。

 でも、当時と比べると、かなり荒れた印象の趣となってしまっており、蔵のほうに案内してもらうと、照明を当てつづけているせいか、朱が色あせ、あの20年前の面影とだいぶギャップを感じてしまいました。でも、中に何も置かず、ただ輪島塗の朱と黒だけを楽しむその独特の空間の雰囲気は、他では味わえないものがあります。

 蔵の見学を終えてから、350年経つ囲炉裏の部屋でお茶をいただきながら、ご主人としばらく話しをしました。表は30度を越す暑さの中、居間は、ほのかに風が吹き抜けて、音もなく、静かに時が流れてゆきます。

 20年前に一度訪れたことがあるというと、中谷さんは、目を細めて、懐かしそうに言いました。「あの頃は、口コミで、ここの存在を聞きつけた旅の途中の学生さんが一人でひょっこり訪れて、蔵の中に1時間も2時間も佇んで、来たときとは違う、何か大きなものをつかんだ表情をして、帰っていかれたものです。でも、それからは、物見遊山でやってきて、なんだこんなもんかといった調子の人が多くなってしまいましたね。そんな人には来て欲しくないから、見学料を高くしたり、宣伝もいっさいしないことにしたんですよ」。

 この20年の間には、いろいろなことがありました。バブルが始まって終わり、大きな天災や政治的な変動もありました。なによりいちばん変わってしまったのは、人の心ではないかと、時の止まった囲炉裏端で、痛切に感じました。

 たぶん、ぼく自身も20年前のあのときと、今では、大きく変わってしまっているでしょう...それが、良いほうに変わっているのであればいいのですが。

 さて、その日、柳田村を後にしてから、輪島を通り、富来で泊まりました。そして、最終日は、富来から金沢に出て、白山の西麓を回りこみ、白鳥から郡上八幡へ。ほんとは、ここで泊まろうと思ったのですが、中途半端な時間だったので、そのまま先へ進みました。飛騨の金山で、貸切露天風呂に浸かりながら、夕焼けに染まる空を眺め、恵那に出て、国道19号を塩尻まで。この国道走りは、トラックが数珠繋ぎの排ガス攻め。エスケープルートもなく、地獄でした。そして、塩尻から中央道に入り、東京に戻りました。最後の600kmは辛かった〜! 今度は、もう少し余裕を持って出かけようと思っています。

――― uchida

 

 
 

00/07/07
慎重に

 関東に向かって、台風がじわりじわりと接近しています。

 梅雨の終盤には大雨が降るとよく言われますが、下手をすると年間降雨量の3分の1に相当する雨がこの一両日で降りそうだとか。

 先日の集中豪雨では、都心のあちこちが水没していましたが、今度はどうなってしまうのでしょう? 

 だんだん風雨が強まっているこの最中、ぼくはよりによってオートバイで移動しなければなりません(~_~;) しかも、例の事故以来、ちょうど一ヶ月ぶりなんだよなぁ……慎重に、安全運転でいこうっと。

――― uchida

 

 
 

00/07/04
梅雨前線が「行方不明」

 今朝の朝日新聞のお天気欄の表現を借りると、梅雨前線が「行方不明」だそうです。

 たしかに、衛星写真を見ると、この時期、日本列島の上に長々と横たわっているはずの梅雨前線が見当たりません。晴れが続いて、なんだか、もう梅雨明けしてしまったかのような気がしますが、じつは、まだまだなんですね。

 梅雨明けというのは、太平洋高気圧の勢力が強まって、梅雨前線を日本列島の上に押し上げてしまう状態になることなんです。今、日本が晴れているのは、西から移動してきた高気圧に覆われているからなんですね。

 太平洋高気圧の勢力下に入って天気が安定すると、しばらくは、雷雨などもあまりありません。それを「梅雨明け10日」といって、気候が安定するこの時期に山に登ると快適だったりするわけです。

 今、都心ではかなり強い雷雨が始まりましたが、これは、梅雨明けを告げる太平洋高気圧ではなくて、移動性高気圧のために、北からの冷たい空気とぶつかって、大気が不安定になっていることを現しています。一雨きて涼しくなるのはいいけれど、この雨、いつまで続くのかな?

――― uchida

 

 
 

00/07/03
朗読者

 「何故だろう? どうして、かつては素晴らしかった出来事が、そこに醜い真実が隠されていたというだけで、回想の中でもずたずたにされてしまうのだろう? 苦しい結末を迎えてしまうと、思い出もその幸福を忠実には伝えないのか? 幸せというのは、それが永久に続く場合にのみ本物だというのか? 辛い結末に終わった人間関係はすべて辛い体験に分類されてしまうのか」。ベルンハルト・シュリンク『朗読者』(新潮社・松永美穂訳)の一節です。

 思春期の思い出といえば、美しく切ないものと相場が決まっていますが、この物語は、思春期の思い出に人生を囚われてしまった人間の悲しい物語です。

 だけど、ここでは、それぞれの人間がとても深い心を持っています。生きるということは悲しいことです。でも、悲しみを知っているからこそ人生は豊かになりうるのだとも思います。

 この物語を読んで、ぼくはアーヴィングの一連の作品を思い出しました。

 アーヴィングの作品に登場する人物たちも、みんな深い悲しみを背負って生きています。でも、その生きざまは、明るく透明です。『朗読者』の主人公は生きざままでも徹底して悲しみに沈んでいます。でも、辛い思い出を反芻しながら悩み続けて生きることが、とても人間らしく、誠実に見えるのです。それは何故でしょう?

 済んでしまったことをいつまでもくよくよせず、割り切って生きることが、ぼくは本来好きなのですが、『朗読者』を読んで、「ちょっと待てよ」と思いました。

 悲しみや苦しみを棚上げして気分を変えることが、必ずしもいいことではないのではないか? そんなふうに感じたのです。不思議なことに、それとまったく同じことをほとんど時を同じくして、友人にも言われました。

 冒頭に上げた一節のような考えに囚われているのは、たしかに悲しいことです。でも、本質的には、そこから逃れることができないのもまた事実です。

 だとしたら、「幸せというのは、それが永久に続く場合にのみ本物だというのか? 辛い結末に終わった人間関係はすべて辛い体験に分類されてしまうのか」と真摯に問うことも必要なことでしょう。 打ちのめされる体験をしたということは、それだけ真剣だったということです。真剣でなければ、打ちのめされることはないし、その後で煩悶することもないでしょう。

 今の世の中では、人間関係が希薄で、関係が破れたときに、そんなふうに悩むところまで深入りせず、ドライに割り切ることがスマートなように思われているのではないでしょうか? だから殺伐とした世の中になってしまっているのではないでしょうか?

 きちんと悲しみも味わう生き方をして、それから目を背けたり逃げたりしないで、しっかり受け止めて、それも自分の人生とする。そんなことが必要なのかもしれません。もちろん、わざわざ自分から悲しみを求めに行く必要もないですけどね。

――― uchida

 

 
 

00/06/30
地球月光浴

 「これは何かが起こるんじゃないか!?」と、投票所で淡い期待を抱いた選挙も、蓋を開けてみれば、戦後で二番目に投票率の低いものに終わってしまいました。

 都市部ではぼくのような浮動票がかなり動いたものの、保守地盤の地方が、もうまったくダメだったみたいですね。東京や大阪といった大都市圏にいれば、刺激的なこともいろいろありますから、若い人も政治や社会になんとなく関心を持って行きます。でも、あらゆるしわ寄せがいって逼塞している田舎の生活に埋没していては、変化の兆しなど読み取りようもないような気がします。

 ぼくは、東京からさほど離れていない北関東の寒村の出身ですが、東京まで日帰りが可能なそんなところでも、すでに20年前には、どうしようもない「諦め」のような空気に包まれていました。

 そういう都市と地方といった格差をなくす最高の武器がWEBでありネットだと思うのですが、それも、今度はデジタルデバイドの問題が立ちはだかってきていますね。どこぞの自治体の長が、「ノーコンピュータデー」と称して、水曜日だかを、いっさいコンピュータを使わない日に決めたなんていうのは、もう悲劇としかいいようがありません。

 グローバルな視点で見れば、それは「田舎者の浅知恵」と笑っているわけにはいきません。自分がコンピュータを使わない官僚や政治家、企業幹部が大きな顔をしている限り、日本はどんどん後進国への坂道を下り落ちていってしまうでしょうね。

 つまらない話の後に、ちょっと口直しです。

 今日、仕事場へ来る前に、原宿のラフォーレミュージアム(http://www.laforet.ne.jp/harajuku/index_top.html)で開催されている石川賢治写真展『地球月光浴』を観てきました。

 太陽光の46万5千分の1という満月の光だけで撮影された景色。ぼくたちは、普段、太陽光の元でしか景色を見ることはありませんが、それが月光の元だと、まったく違ったものに見えます。ぼくがもっとも強く感じたのは、時間です。

 たとえば、川や滝の流れ、岸辺に打ち寄せる波、谷間を渡る雲といったものを太陽光の元で、スローシャッターで撮ると、糸を引くような、真綿を引き伸ばしたような「流れ」として映ります。普段、ぼくたちが見ている光景は、何十分の一秒かの切り刻まれた時間の光景ですが、それを繋げてみると、そんな「流れ」が見えてくるわけです。

 月光の元でも、同じような「流れ」が映し出されます。でも、それは、太陽光の元での「流れ」より、ずっとゆったりしていて繊細に見えるのです。もちろん、露光時間がずっと長いはずですから、より引き伸ばされた「流れ」になっていることはわかります。でも、例えば、太陽光の元で月光と同じ量の光にまでフィルターをかけて、同じ時間露光したとして、同じ時間の流れを感じさせる写真には仕上がらないような気がするのです。

 太陽が支配している「陽」の時間、月が支配している「陰」の時間。それは、世界そのものが異なっているのかもしれません。

 そういえば同じ賢治の宮沢賢治は、よく満月の晩に山に登ったといいますよね。彼は、月の時間の風景の中に身を置いて、あの独特の作品宇宙を作り上げていったのかもしれません。

*石川賢治写真展『地球月光浴』は原宿ラフォーレミュージアムで7月5日までです。お近くへお越しの際は、ぜひ足を伸ばしてみてください。

――― uchida

 

 
 

00/06/25
どれが保守でどれが野党?

 今日は衆議院選挙ですね。みなさん、もう投票されましたか? 

 ぼくは仕事場に来るときに寄ってきました。なんだか、いつもより、ずっと混んでいました。今朝は、投票率が最低だなどと言っていましたが、いままででいちばん高くなるんじゃないでしょうか。

 なにしろ、国民をバカにしきったとしか思えない軽口宰相が、あれだけみんなをコケにしていたのですからね。朝のうちは、東京はまだ雨が降っていたので、午後からぼちぼち繰り出してきたといった感じでしょうね。

 それにしても、いつのまに、雨後のたけのこのように政党がポコポコ出てきてしまったのでしょう? もはや、どれが保守でどれが野党やら、もとは何だったのかさえ定かでありません。

 野党面して保守なんてのもあるし、某宗教組織御用達は、いったいどれだったのか、そこにはじめ荷担していて、今はちゃっかり自主独立の旗を掲げているのはどれだったのか...いやあ、もう少し、研究してから行くんだった。

 唯一馴染みのあるのは共産党だけど、これは、長生きしているだけが取り得の動物園の象みたいなもんだし...。これからの日本はどこへ行くんでしょうね、まったく。

――― uchida

 

 
 

00/06/24
ジョギング再開

 今朝から軽くジョギングを始めました。もう膝のほうは走るのにもほとんど問題なくなりました。肋骨は、さすがに痛いけど、それも我慢できないほどではありません。

 「そろそろ本格的にリハビリしようと思うんだけど」と、友人の鍼灸接骨医に相談したら、「内田君もほんものの運動中毒だねえ」と呆れられました。

 だけど、月が変わったらすぐにツーリング&山登りの取材が控えているし、今年は、できればオフロードレースにも復帰したいなんて思っていたから、ここで、これ以上、体を鈍らせたくないんですよね。

 今日走ってみると、やっぱり左足をずっとかばっていたので、体の左右のバランスがずいぶんおかしくなっていました。これって、バイクライディングでも登山でもかなりのリスクを背負うことになりますから、しばらくは左右バランスを取り戻すようなリハビリをしようと思います。

 肋骨は、着地する度に痛むので、自然に小さいストライドであまり足を上げずにスタスタ走るような格好になります。左の肋骨を押さえて、苦痛に顔を歪めながらポール牧風のスタスタ走りをしていると、ランニングコースの向こうから走ってくるランナーが、大きく迂回していきます(~_~;) 

 でも、あらためて何度も思いますが、痛みを感じられるというのは幸せですね。痛みのおかげで、あんまり無茶できないし...(^_^;) もしかしたら、こういう体の痛みや心の痛みを感じることが今の世の中では少なくなりすぎて、人心が荒んでしまっているのかもしれませんね。

 明日は選挙ですけど、人の痛みを知っている政治家って、いったいどれだけいるのでしょうか?

――― uchida

 

 
 

00/06/21
慣らしいろいろ

 このニ三日で、膝の傷が急速に回復してきて、今日は、ついに杖を使わずに歩けるようになりました。

 ちょっとピリッと行きかけた縫い目も完全に塞がって、下のほうから皮が再生してきて、だいぶ足を曲げられるようになってきました。「こりゃ、本格的にリハビリを開始せねばいかんではないか!」と、今朝は、昨日届いたDANNERの慣らしと、先日手に入れたエンペックスのGPS“ポケナビ”の習熟も兼ねて、日ごろのジョギングコースをゆっくり散歩しました。

 DANNERは、袋ベロの折り返しが内踝に当たってちょっと痛いのが問題なくらいで、あとは、問題なくフィットしています。ぼくの足は、甲高だん広&偏平足という、悲しいほどの日本人足なのですが、EEサイズのおかげか、最初からフィットしているというのは驚きです。

 じつは、引退させた前のモデルは、アメリカ人用ノーマルの細身の作りの上にサイズが一つ小さくて、自分の足をシューストレッチャー代わりにして引き伸ばすという荒業を使って自分のものとしたのです(^_^;)。今回は、踝に厚いタコができればこっちのもんです。アウトドアギア、とくにフットウェアに関しては、最初は格闘技が入っているのですよ(^_^;)。

 ところで、ポケナビのほうは、驚くほど多機能で、なんと高度計までついていて(って、GPS測量しているんだから、高度までわかって当たり前なんですけどね)、自宅の標高が32.8mで、ジョギングコース最高地点の稲城大橋の中間地点が43.7mなんて表示されると、わけもなく嬉しくなってしまいますね。

 そんなわけで、ちょっと調子に乗って、左足を引きずりながら5km以上も散歩してしまいました。ちなみに、今、座標計り魔と化して、近所のコンビニから駅、事務所、病院に薬局、しまいには多摩川の汚水処理場の座標までプロットして、遊んでおります。...早くまともなフィールドで使いたいなぁ。

――― uchida

 

 
 

00/06/20
気の持ちよう一つで、
世界はどうにでもなる

 東京はこの三日続けて晴天が続いています。今の時期は、一年でももっとも日差しが強いんですよね。

 しばらく逼塞していたので、外を歩くと、皮膚を刺されるように太陽を感じます。MTBやオートバイ、ジョギング...早くアクティヴな日常生活を取り戻したいのですが、もう少し我慢というところかな? 

 ちょうど先週の火曜日にWEBでオーダーしたDANNERのトレッキングシューズ“DANNER LIGHT2”が今日手元に届きました。昔、はじめてアメリカに行ったときにショッピングモールのバーゲンで見つけて74ドルで買った初代のDANNER LIGHTは15年以上愛用しました。

 山登りから、シルクロード一周の旅、パミール高原、砂漠のアドヴェンチャーツアー、オートバイツーリングと、あらゆる過酷な環境でぼくを守り続けてくれました。ほとんどノーメンテナンスで、破損もなく、防水性も低下することなく、まったくタフな相棒でした。もっともさすがに全体のシルエットは崩れてきて、ソールも押縁まで磨り減ってきたので、そいつは昨年、引退させました(って、まだ手元にありますけどね)。そのとても心強い相棒の二代目の登場というわけです。

 今日は、さっそく履き初めしようかなと思ったのですが、杖をついて右足を引きずりながら、足元はごついブーツというのも、滑稽かなと思い、止めました。だけど、このモデル、東京のアウトドアショップで買うとすると、38000円也の定価がついていますが、今回、ぼくが注文したメールオーダーでは、送料も含めて240ドルでした。だいぶお買い得ですよね。こちらから注文できますよ、http://www.danner.comがURLです。なにしろメーカー直販ですから、信頼できます。

 今回は、DANNERロゴ入りキャップと本来はオプションのインソールがおまけでついてきました。なんだか、もうフットウェア関係は、全部DANNERになってしまいそうです。そうそう、今のラインナップはサイズが1/2サイズ刻みの上に、ノーマルのDに加え、DD、E、EEと靴幅にもバリエーションがあって、日本人にも合いやすくなっているのです。ぼくは、8-1/2EEでぴったりでした。

 早く、新しい相棒とフィールドに繰り出したいなぁ...。そうだ、DANNERでオンラインショッピングされるときは、メインページから入っていくと、セキュリティのかかっていないままオーダーフォームに行ってしまうので、オーダーフォームが出てきたらブラウザで「フレームを新しく開く」を選択して、SSLがアクティヴなのを確かめてから発注してくださいね。

 7日の事故の顛末について、ここでもお知らせしましたが、その後、気分が変わったせいなのか、ぼくをとりまく状況まで変化しています。

 ずっと落ち込んでいた気分が突然晴れて、生まれ変わったようだと書きましたが、その後、しばらく連絡を取らなくなっていた友人から急に連絡があって会うことになったり、イベントへの誘いが次々に舞い込んだりしています。

 かつて、ヘルメス・トリスメギストゥスやパラケルススといった「錬金術師」たちは、「コレスポンデンス」、「照応」が錬金術のカギであると説きました。コレスポンデンス=照応とは、「ミクロの世界で起こったことはマクロの世界でも起きる。人間界で起きたことは宇宙的な規模の出来事に影響を及ぼす。イメージしたことは実現する」といったことです。

 今回、ぼくは、自分の外側にあることに対して、何も積極的な働きかけはしていません。ただ単純に、自分の内面が大きく変化しただけなのです。それなのに、外側からぼくに対するアプローチがどんどん大きくなっています。それも、いずれも、とても前向きでいい感じのアプローチばかりです。東洋では、「気の持ちよう一つで、世界はどうにでもなる」と言いますが、まさに、それを実感しています。

――― uchida

 

 
 

00/06/17
気をつけよう

 じつに一ヶ月ぶりに本編を更新しました。step10「トレッキング」編です。

 前からぼくがサイトを置いているDTIのディスク容量に文句を言っていたら、なんといままでの5MBから、いっきに三倍の15MBとなって、画像がたくさん使えるようになりました)^o^(。おまけに料金も値下げとか。いったい、どういう風の吹き回しやら。

 そういえば、事務所用にドメインを取ってメールの転送を頼んでいたinterQは、クレジットカードが無効とかで、勝手にサービスを停止した上に、こちらに通知もせずに、なんと10日間も放っておかれてしまいました。その間、仕事関係でそっちのドメイン宛に送られたメールは1週間もディレイされて、user unknownで返送される始末。最低もいいとこです。

 電話での問い合わせは、セキュリティの関係で受け取れないというので、メールで問い合わせてたら、その返事が来るまでに2日間待たされました。そして、クレジットカード会社に問い合わせてカードが「有効」だったら、自分で情報更新の手続きをしろだって……それが200円の手数料を取られるのです。下の下ですね。久しぶりに鶏冠にきました。

 この上、きっとサービス停止していた10日間の分も請求されるんでしょうね。WEB上だけで簡単に手続きが済むし、internicの認定機関だからと思って安心していたらとんだことでした。どうしようかな、他へ移そうかな……。

 ま、怒りは静めて、この梅雨の間に、なんとか全ページのリニューアルを進めようと思っています。それから、懸案のシルクロードのページも、13年前に出版して絶版となった拙著『再見西域』のWEB上復刻からスタートしようと思ってます。まずは、ページのスキャニングをしなければ……。

 今日は、しばらくご無沙汰している友人に、事故のことを報告しなければと、電話をしてみると……なんと、「たった今、カミさんが車を車庫の壁にぶつけたところなんだよ」とのこと。「怪我もなく、巻き込まれた人もいないけど、車は大破だぜ」……気をつけなければいけませんね。

――― uchida

 

 
 

00/06/16
中年の危機も遺伝?

 事故から10日目の今日、膝の傷が抜糸できました。まだ、ベロリと皮が剥けた状態で、普通に歩くというところまではいきませんが、一日おきの通院も来週に一度経過を見るだけとなり、ひとまずホッとしています。

 といっても、今度は肋骨のほうの痛みが激しくなってきて、とくに横になると痛みが倍増するために、睡眠不足に陥っています。でも、痛みを感じられるだけいいですよね。今回の事故では、つくづく、「生きてて良かった!」と実感しています。

 10日もゴロゴロしていたので、体がすっかり鈍ってしまいました。こちらも、明日からは、散歩くらいから始めて、徐々に慣らしていこうと思っています。

 それにしても、人間の心と体というのは不思議ですね。ぼくは、心がまいっているときに、体を酷使してバランスをとろうとする質なのですが、今回は、危うく心のダメージに体が負けそうになりました。

 ちょうど40歳を目前にして、変わり目に差し掛かっているところに、いろいろなストレスが重なって、ほんとに大きな危機が訪れてしまいました。

 そういえば、ぼくの父親が、ちょうど同じ頃、ひどく落ち込んでしまって、生きる気力を喪失していたらしいです。メンタルな傾向も遺伝するんでしょうか? それとも、これくらいの年齢というのは、誰しも心と体のバランスに変調を来たすのでしょうか? いずれにしろ、けっこう重大な中年の危機でした。 

 ぼくの父親は、もうとうの昔に亡くなってしまいましたので、同じくらいの年齢のときにどんな心境で、それをどう克服したのか聞くことはできませんが、朧な記憶を辿ってみると、たしかにひどく寂しげだった父の背中が思い浮かびます。

 穏やかで、とても忍耐強かった父は、きっと熊が冬眠するように、背を丸め首をすくめて、それが通り過ぎるのを、じっと耐え抜いたのでしょう。いっぽう、ラジカルなぼくは、荒療治に走ってしまったというわけです。

 ここ数日、梅雨の晴れ間の爽やかな空を眺めているうち、「早く傷を治して、アウトドアに繰り出そう!」という意欲が沸き起こってきました。16歳から山に登り始め、山から様々なものを学び、それをなんとか伝えたいと思ってライターという職業を選び、それなのに、山から遠ざかりつつあった自分は、原点を見失いそうになっていたのかもしれません。山に……自然に還りましょう!

――― uchida

 

 
 

00/06/10
衝撃的な出来事をきっかけに、
人間が一瞬にして生まれ変わる

 6月7日の深夜、ぼくは、翌日の取材に使うために、その日に借りた1300ccの最新型オートバイにまたがり、帰宅途中でした。

 自宅のある調布市内に入って、いつもならそのまま市街地を抜けて自宅へと向かうのですが、そのときは、マシンの調子を少し見てみようと、いつもとは違うルートに向かいました。多摩川沿いの空いた道で、少し流してみようと思ったのです。

 そして、さらに自宅に近づき、右に曲がればもうすぐというところ、ぼくは、その先にあるコーナーで性能を試していこうと直進しました。けっこうきついコーナーに向かって、減速をはじめた矢先、左側の叢の中から、黒い影が飛び出しました。それは、犬でした。

 そのとき、ぼくは、ついに最後が来たと思いました。

 じつを言うと、この二、三ヶ月の間、ぼくは、何となく、この世でのぼくの役割は終わったような気がしていたのです。妙に透明な気持ちで、妻にも、「俺がいなくなったらどうする?」なんて、真顔で言っていたりしたのです。ものごとに対する執着のようなものが、ほとんど無くなっている自分を感じていました。

 予兆というのでしょうか、その前に試乗を予定していたマシンは、前日に別の媒体の人が試乗して、クラッシュし、大破してしまいました。また、新たに仕事をはじめたパートナーも、突然の事故で肩を怪我しました。そんなことどもを考え合わせて、そろそろ自分の番かななんて、醒めた気分で思ったりもしていたのです。

 そして、7日の晩です。

 とっさに回避行動をとったものの、スピードが出ていた上に減速態勢でフロント荷重にあり、ブレーキングしたと思ったら、そのままスリップダウンして、道を滑っていました。スリップダウンした瞬間は、「ついに来たか!」と思ったのですが、滑っていく間に、フッと、オコリのようなものがとれて、「生きなければ!」と思いました。

 それまで眠っていた何かが、突然目覚めたように、頭を上げて、オートバイの下敷きにならないように、体をひねり、停止すると同時に立ち上がって、車に轢かれないように、オートバイを起こして、それを押し、歩道に退避しました。

 かなり大きな音がしたのでしょう。近所の人たちが飛び出してきました。
 なんだかとても冷静で、ぼくは、自分の体を調べました。腕や手は動くのでそのあたりは、骨折はなさそうです。足も大丈夫。ただし、Gパンの左膝が大きく裂けて、肉が削げて、骨が見えていました。

 駆けつけてくれた人に救急車と警察への連絡を頼み、さらに、出血している膝の止血のために、タオルを借りました。意識ははっきりしているので、頭を打っていないことは、自分でわかりました。

 その後は、救急車で運ばれた病院で手当てを受け、自分の足で警察に事故の届け出に行きました。そして、タクシーで帰宅しました。

 変な話ですが、いま、とても気分がすっきりしています。

 どこかに、「もういいや」という気持ちがあって、犬に飛び出され、「これで終わりだ」と思ったあの瞬間に、そんな風に思っていた弱い自分が死んで、新しい自分に覚醒したような感じです。

 今までに、山やレースで、覚悟を決めた場面が幾度かありました。でも、その危機を乗り越えたときに、「自分はまだ生かされているんだ。自分のこの世における使命は、まだ終わっていないんだ」と悟らされてきました。今回は、その意味では、いちばん生命力が、というか生命に対する執着が減退していたと思います。ずいぶん前から、どうでもいいという気分に囚われていて、だけどまた生かされたということは、まだ、ほんとに大きな使命をやり残しているのでしょう。

 今、とても生きることに意欲を感じます。

 ある衝撃的な出来事をきっかけに、人間が一瞬にして生まれ変わる。そんなプラトー体験とでも呼べそうなことを、ぼくは天から与えられたような気がします。

 この場をもちまして、ご迷惑をおかけした皆様に、心よりお詫び申し上げます。また、ご心配くださった皆様、ほんとにありがとうございました。

――― uchida

 

 
 

00/06/05
ハンニバル

 仕事場へ向かう前に、このところ気になっていたオートバイのメカノイズを治そうと、修理屋さんへ持っていきました。

 とりあえず、タペット調整で済むだろうと思っていたのですが、それだけでも数時間かかるとのこと。仕方なし、そのままバイクをあずけて、自宅で少し仕事して、再び夕方に修理屋さんへ。

 そしたら、バルブのクリアランスは調整したけど、ノイズの原因は違うところにあるらしいとのこと。いったん引き上げましたが、その道筋で、いよいよひどいメカノイズが……。しばらくXR君は入院加療の必要がありそうです。もう7年も乗ってるからなあ……そろそろ買い換えようかなあ……だけど、車のほうのローンもあるしなぁ(-_-;)

 このところ、仕事がたてこんでいて、サイトの更新もままならないし、盛り上がっているメーリングリストのほうへ顔を出す時間もなかなか取れなくて、ちょっとストレス溜まり気味です。

 といいつつ、先日、トマス・ハリスの「ハンニバル」を読みました。「レッドドラゴン」「羊たちの沈黙」に続くシリーズ最終作は、予想もつかない展開(それはこれまでも同じか(~_~;))と、信じられないけど、とっても納得できてしまう結末でした。

 今回、ハンニバル・レクター博士の秘められた過去と、彼の心理が明らかになっていくのですが、トラウマとなっている惨い戦争体験が、今、現実に東欧やアフリカ、東南アジアでも日常的に起きていることを考え合わせると、背筋が凍りついてしまいます。

 思いついた言葉を考えもなしにすぐに口にしてしまう浅はかな人間が国政のトップにあって、土地バブルの次はITバブルに地道を上げている産業界が支配するこの国では、そんな大人たちを見ている子供たちの心が極限まで荒廃しているようです。

――― uchida

 

 
 

00/06/01
ADSL導入

 今日は、日差しの強い真夏のような日だと思っていたら、夕立がありました。傘を持たずに出かけられていて雨に降られた方はいませんか? ぼくは、早く帰宅してビールでもなんて思っていた矢先に降り出して、路面が乾くまで、しばらく仕事場に足止めです。

 先週から、仕事場のほうが、ADSLの常時接続環境になったのですが、このおかげで、意識が大きく変わりました。

 なんといっても、インターネットに繋がったままなのですから...つまり、世界中のネットで繋がったサーバにいつでもアクセスできるわけで、それは、ローカルで信じられないくらい巨大なデータベースを持っているのと同じわけです。

 今までは、面白いサイトを見つけると、ブックマークを取ると同時に、必要な部分だけをダウンロードしたりしていましたが、もういつでもそこに行けるわけですから、ダウンロードの必要などないわけです。

 立花隆氏がインターネットを「グローバルブレイン」と称していましたが、まさに、自分がグローバルブレインの神経細胞のひとつになった気がします。

 ダイヤルアップ接続では、まだ神経の外側にいて、時々スイッチを入れて電極を刺すようなものでした。自分が神経細胞になってしまえば、その組織の中で何かが起こると、たちどころにピピッと感じるような気がします...ほんとかな? 

 だけど、痛切に感じるのは、デジタル・デバイドの問題です。ISDNのPPPからADSLの常時接続になって、とてつもないメリットを感じているのに、ISDNはおろか、インターネットに接続したことのない人も大勢いるんですよね。

 ぼくは、ホームページをオープンしてから、どんどん人の和を広げてきました。今は、仕事もほとんど、ネット関連のことが多くなりました。ネットの世界では、どんどん人の輪がひろがり、仕事も幅と厚みが増えていっています。面白いことに、最近は紙メディアの仕事をほとんどしていないので、そちら方面でぼくを知っていた人は、ぼくがライター稼業を廃業してしまったと思っています。

 ところが、ネットを見てみると、紙メディアのときとは比較にならないくらい活動していますので、ネットでぼくを知ってくれた人は、「えらい勢いづいてるなぁ」と半ば呆れるほどです。個人的な認知についても、そんな調子ですから、いったい、今後、どんなことになってしまうのでしょうか? 

 この夏は、フィールドと密着したとても面白い企画を考えています。それが実現すると、かなり話題を呼ぶことになりそうです。ネットに馴染みのある人なら、それが始まれば、その面白さはたちどころに理解して、世界に飛び込んでこれるはずです。でも、ネットを知らない人にとっては、それがどんな意味を持つのかすらわからないかもしれません。いったい、どうなってしまうんでしょう?

 今日の分のコラムを書いたら路面が乾くと思っていたら、またすごい勢いで降り出しました...もうちょっと続けようかな。

 そうそう、常時接続で、すごく現実的に思えてきたのが、ストリーミングです。ミュージックサイトとかインターネットラジオなんて、PPPでは悠長に聞いていられなかったのですが、今はBGM代わりにマドンナの最新ビデオクリップなぞを流しています。たぶん、来年には常時接続環境があたりまえになるでしょうから、放送そのものの形態も変わりますよね。

 そういえば、先日、ゲーム業界最大のイベントE3がテレビで紹介されていましたが、メーカーやベンダーが既存のメディアよりもWEBマガジンなどのネットメディアを大切にしているのが印象的でした。たくさんのクルーを擁して取材する大手テレビ局よりも、数人で運営しているWEBマガジンのほうに、熱心にアピールしているのです。一方通行かつ一過性のメディアであるテレビなどより、インタラクティヴなWEBマガジンのほうが、メディアとして影響力が強くなったということでしょう。ぼくも、今年、後半戦はWEBを中心に思う存分やってみようと思っています。

――― uchida

 

 
 

00/05/29
アメリカン・ディスカバリー・トレール

 数日前のCNNニュースですが、アメリカ合衆国を横断するハイキングコース「アメリカン・ディスカバリー・トレール」が本格オープンしたそうです。

 東海岸のデラウェア州からカリフォルニア州のビーチまで、既存のハイキングコース200カ所をつなぎ、途中15の州と1万カ所の名所を通過するというコースで、メリーランド州に本部をもつ「アメリカン・ディスカバリー・トレール協会」が、標識などを整備したのだそうです。詳細はhttp://www.discoverytrail.org/にあります。

 それにしても、こりゃ日本一の長さを誇る東海自然歩道の比じゃありませんね。このコースの踏破に4人のハイカーが臨んでいて、4/4にデラウェアを出発、カリフォルニア到着は9/3だそうです。いつかは歩いてみたいですね(^_^;)。

 OBTメーリングリストに参加して下さっている方々も、みんな刺激的なアウトドアを楽しまれています。ニュージーランドのRyuさんは10日間にも及ぶシーカヤックツアーを、ミックスさんはエベレストを間近に望むカラパタールへ...それぞれ、覚めやらぬ旅の思い出をサイトでも紹介されています。Ryuさん=「パドルの向くまま、気の向くまま」、ミックスさん=「Mix's TeaRoom」。

 今日の東京は真夏の陽気で、空は快晴、お二人の報告をモニタで見ている自分が恨めしい一日でした(~_~;) 今週末は、久々にオフロードコースでSUZUKIのニューマシンDR-Zをインプレッションしてきます。北海道行きがちょっと伸びてしまったので、とりあえず、それがぼくの息抜きかな?

――― uchida

 

 
 

00/05/28
トランスパーソナルセラピー

 昨夜から今日にかけては大荒れかと思いきや、東京は、台風一過のような爽やかな天気になりました。すっかり夏空ですね。

 今、21時近くですが、都心はまだうだるように暑いです。エアコン入れようかどうしようかと迷っております(^_^;)。

 一昨日の疲れが今日になって出るかと思ったら、なんともなくて、今朝はまたジョギングしてきました。多摩川に沿って、川風に吹かれながら走るのは気持ちのいいもんです。いつもデスクワークでモニタと睨めっこしていると、いろんなことを考えてしまって、想念の渦のようなものに飲み込まれてしまいそうになります。その反動かな? 走ったりMTBに乗ったりしていると、余計な想念が脳裏から徐々に剥がれ落ちて、「考える」ことより「感じる」ことのほうに重点が移っていきます。

 5/9のこの項で、トランスパーソナルセラピーのことにちらっと触れましたが、トランスパーソナルセラピーでは、“think”ではなく“feel”するようにするのだそうです。そういえば、坐禅だって同じですよね。デジタルの世界は「考える」ことが多すぎて、自然にバランスを取ろうとしているのかもしれませんね。いずれにせよ、自然の息吹を体で感じるには、表に出てみることです。

――― uchida

 

 
 

00/05/27
ローズマリー

 西日本は、すでに大荒れの天気になっているようですね。東京も雲行きが怪しくなってきました。このニ三日暑い日が続いたので、いいお湿りになりそうですね...って、そんな悠長なことを言ってられないかな? 

 昨日は、真夏のような陽気の中、片道25kmほどの八王子滝山城までMTBツーリングしてきました。その前日、大酒飲んで気持ち悪いのに、それで完全に抜けて、再び旨〜いビールをたっぷり補給してしまいました。あ〜、尿酸値が怖い! でも、この快感には、なかなか勝てませんね(^_^;) 

 今日は、あちこちガタがきていることを覚悟していたのですが、気持ちのいい目覚めで、快調そのもの! 明日、疲れが出たりして...。明日は、一日雨のようですから、おとなしく本でも読んでいます。

 仕事場のデスクの片隅で元気にしていたローズマリーが枯れてしまいました。ときどき水をやるだけで、ツンツンと元気よく葉を伸ばして、爽やかな香りを発散させてくれていたのですが...。

 ローズマリーは、人を元気にさせる力を持つハーブだそうですが、もしかしたら、ぼくの陰気を吸い取ってくれたのかもしれません。この世の生きとし生けるものは、すべて固有の気を持っていて、その気が相互に影響しあっているような気がします。そんな意味でも、自分が身を置く環境は大切だし、付き合う人間を選ぶことも大切ですよね。

 今、細く開けた窓から、涼しい風が入ってきています。また、ローズマリー二世を買ってきて、窓辺に置いておきます。

――― uchida

 

 
 

00/05/21
無明ということ

 19、20の両日、あぶくまのキャンプ場に行ってきました。今回は、キャンプが目的ではなく、アウトドア関係の雑誌を編集しているプロダクションのお招きで、二日間飲み明かしの宴会でした。

 初日は、柔道の練習中に右肩を脱臼した昭文社の強面編集者K氏をピックアップして常磐道を愛車MGFで静々と進み、途中ルーフにまで荷物満載のプロダクション社長車を捕捉して煽りつつ、14時前には現場着。そのまま、静々と宴会に突入したのでした。

 20gの生ビールサーバはたちまちカラッポ、その晩には世界を股にかけたツーリングライダーの賀曽利隆さんが到着。なぜかずっと立ったまま酒を煽り、尻上がりにテンションが高くなっていく過疎離散...もとい賀曽利さんに、全員がすっかり当てられて、深更まで盛り上がり続けて行ったのでした。

 その後の惨状は、とてもここで披露するわけにはいきませんが、あぶくまの柔らかな自然は、とても気持ちを安らげてくれました。穏やかな起伏の連なりに、明るい低木の雑木林が続いて、ところどころで咲くツツジが山に彩りを添えています。ちょっと山に入ってみると、花いかだやタラノキの新芽がこれから旬といった感じで、思わず山菜採りモードに入りそうになりました。もう関東では山菜のシーズンは終わりかけていますが、東北は、これからが本番なんですよね。「八ヶ岳山菜&テンプラオフミ」ができなかった恨みを東北で晴らそうかな。

 昨日、なにげなくテレビをつけたら瀬戸内寂聴さんの法話が流れていました。そこで、師は無明について語っていました。

 人の心の中には無明がある。それを人は「闇」と思い、その闇と向き合うのを怖れて、外へと救いを求める。だけど、無明に自分で光を当てない限り、それは暗闇のままで、人が一人になったとき、その人の前に立ちはだかる。

 「無明」と向き合い、そこに自分から光を注ぐことで、無明は「明」となる。そのとき、人は明るく自然な勇気を自分の中に感じ、闇雲に、外へ求めず、自らがそこにあることだけで満足できる。そんなような内容でした。

 正しい宗教は、人を正しく癒してくれるものです。なのに、今の世の中は、殺伐として救いがない上に、救いを求める人たちをてぐすね引いて待ち受ける偽の宗教が蔓延っています。

 真理というものは、理屈じゃなく、言葉で説明などできないものです。それは、「ニュアンス」のようなもので、人が心を開いて周囲を見渡したときに、「喜び」として感じられるようなものです。明るい野山を渡る鳥の囀り、風の歌、降り注ぐ日の光...そんなものが宇宙そのものなんですよね。

 ともすると、人間は、自分を「無明」の中に落とし込んでいってしまう。一人息子を亡くし、悲嘆に暮れる父親に、寂聴さんは言いました。「家中のカーテンを閉めまわして、部屋の中で泣いているんでしょう。カーテンを開けて、光を入れなさい! そして、表に出て、空気を吸いなさい!」。「無明」に光を当てるというのは、そういうことなんですね。

――― uchida

 

 
 

00/05/18
BMWF650GS

 昨夜は、雨の中を新品のワックス付きタイヤで、しかもバリバリのオフロードパターンで、そんでもってXR600で、という無謀の三拍子で、とってもスリリングに自宅に帰還しました。

 白線のことごとく、マンホールの蓋、舗装のつなぎ目、踏み切り...どこでも滑りまくりのカウンター当てまくりでした...おかげで、近寄ってくる車が絶無でしたけど(~_~;) 今度からちゃんとプロテクターフル装備で乗ろうっと!

 ところで、先月試乗したBMWF650GSのインプレッションがようやくTPURING WAVEEのほうでアップしました。http://www.mapple.co.jp/touring/impression/f650gs/index.html ダートがないのがちょっと残念だけど、しっかり書き込んでありますので、興味のある方は読んでみてください。

TOURING WAVEは、来月のリニューアルに向けて、着々とコンテンツを用意しつつあります。夏の間は、暴れまくるつもりですので、ご期待ください!

――― uchida

 

 
 

00/05/17
タイヤ交換

 愛車XR600Rのタイヤを前後交換しました。リアは、ついこないだ換えたばかりで、まだサイドにはバリが残っているというのに...。

 今までブリジストンのD605というややオンロード向きのオフロードタイヤを装着していたのですが、今日ショップに電話すると、それがないというので、もっとオフロード向きのD603にしました。こちらのほうがコンパウンドが柔らかいし、ブロックパターンが、よりアグレッシヴなので、605より減りは早そうです。

 604というのがあって、これはオフロード車をオンロードマシンにした「スーパーバイカーズ」向けで、今のぼくの舗装路100%の使い方だとこっちのほうがベストマッチなんですが、あえて、オフロード向けにしました。

 というのは、もうすぐツーリングマップルの取材用に、ロードバイクもしくはデュアルパーパスのビックバイクを確保できそうだからです。取材車を日常的な足にも流用して、XRは、本来の用途「オフロード」に絞って、使い分けようという魂胆なのです。

 来月3日には、久々にオフロードコースを走ろうというお誘いもあって、ちょっと燃えちゃったりもしているわけです。だけど、こんなタイヤを履くと、ほんとオフロードに行きたくなりますね。因みに、今回は自分で交換しようなどという野望は抱かず、ショップにすべておまかせしました。交換工賃を含めて15300円也で、作業は30分あまり。もろもろ考えると、自分で苦労するより安上がりかもしれません。

――― uchida

 

 
 

00/05/16
日常の中のちょっとした変化を感じ取る

 今朝は、久々の晴れ間をついて、MTBで多摩川縁を走ってきました。だいぶ生い茂っていた草をちょうど刈っているところで、青々とした草の香りがあたりに立ち込めていました。

 気持ちのいい日差しに照らされ、川面を渡る風に吹かれ、草の香りを嗅ぎながらペダルを漕いでいると、とても開放された気分になります。

 「自由」というのは、理屈じゃなくて、案外、こういう日常の中のちょっとした変化を感じ取るところにあるんじゃないかと思います。

 いつもは、ただ左岸を折り返してくるだけですが、今日は右岸にまでまわり、多摩川の中洲に設けられたバードサンクチュアリにまで足を伸ばしました。手付かずの自然が保たれているところで、その名の通り、鳥の楽園です。

 鳥も、今日の日差しがうれしいんでしょうね、普段、耳にしない様々な鳴き声が木霊して、それをぼんやり聴いているだけで、軽やかな気分になります。そんな調子で、午前のひと時を堪能して帰ってくると、↓で紹介したサプリメントが届いてました。「セント・ジョーンズ・ウォート」などは、最近、うつ病の治療薬として注目されているんですね。すでにMTBでハイテンションになっているのに、こんなもの飲んだら、どうなってしまうんだろう?

 そうそう、そのマウンテンバイクのページをようやくアップロードしました。ご覧になってみてください。

――― uchida

 

 
 

00/05/15
コンピュータって、ほんとのところ、便利なのか不便なのか?

 なんだか、このところ天候不順ですねえ。昨日は、昼間は晴れてたかと思ったら、夜に突然雷雨があって、その後またカラッと晴れて……。今日も、このまま降らずに済むのかな? と思ったら、かなり本気で降り出しました。

 まだ、梅雨の走りというには、早いと思うんだけど。こう天候不順だと、アウトドアの計画が立てにくいですよね。ぼくはといえば、いつも、「今日はオートバイででかけようかどうしようか?」と空を見上げて思案ばかりしています。なにしろ、元来、雨の舗装路などを走るのが危険なバイクなのに、前後のタイヤがツルツルなんです(~_~;) 明日晴れたら、新しいタイヤ履かせようかな。

 昨日は、impressのmail news“Internet watch”のキャンプ特集で、小サイトを「中上級者向けお勧めサイト」として紹介していただきました。おかげさまで、アクセスの伸びも好調です! 

 このせっかくの盛り上がりを逃してはもったいないと、開店休業だった「マウンテンバイク」のページをアップしようと思ったのですが、ローカル環境でページは作ったものの、間借りする予定のサーバーにFTPしようと思ったら、見事に蹴られてしまいました(>_<) ファイアウォールの関係かな? まったく、コンピュータってやつは、不自由なやつでございます。

 そういえば、一昨日に、知り合いから「コンピュータがまともに動かない!」というSOSが来て、急いで復旧に向かいました。べつに動かないわけではなく、普通のアナログ回線からデジタル回線に切り替えたために、それまで使っていたメーラーの設定でつなごうとすると、「モデムの設定がみつかりません」というダイアログが出ていたのですね。そのまま無視してもつながるんだけど、こいつがどうにも鬱陶しいとのこと。そのダイアログが出ないようにして、もろもろのアプリケーションが古かったので、新しいものにアップグレードして、ファイルを整理して……深夜まで作業して、めでたしめでたしで戻ってきたのです。

 そしたら、なんと、今度は「メールが送れない!」とのこと。うーん、そういや、Outlookのインターフェースが昔のとでは、だいぶ変わったからなあ。コンピュータって、ほんとのところ、便利なのか不便なのか?

――― uchida

 

 
 

00/05/09
ドッカンとサプリメント

 今日の東京は夏日でした。秋葉原のほうへ買い物に行ったのですが、もうみんな半そで姿で、汗をかいて歩いていました。ぼくはというと目的のデジカメがどこにもなくて、歩き回って、もうへとへとです。早くも夏バテのはしりのようです(~_~;)。

 そういや、ようやく花粉症の症状が出なくなったと思ったばかりなのに……なんだか、一年中体が弱っているなあ(~_~;) トレーニングしなくっちゃ! って言って、今度はやりすぎて体壊すのが目に見えているんですけどね。

 バカな動物ですねえ、人間て。……何、愚かなのはおまえだけだって? たしかに……でも、愚かだっていいですよね、楽しければ。

 そんでもって、「薬の力を借りてでも楽しくなってやろう!」ってわけじゃないですが(危ない、危ない)、ビタミン剤その他を通販で注文しました。

 基本的に、オーガニックかつナチュラル指向なのですが、ここいちばんというときは、体に活を入れるお薬もしかたあんめえという、アバウトな考えなんです、ぼく。ま、それはともかく、ときどきビタミン剤などを購入する“Puritan's Pride”という通販メーカーなのですが、ここのシステムが痛快というかなんというか、「アメリカ人は、何を考えとんのじゃ?」といったケッタイな代物なんです。どういうことかというと、何かを1ケ買うとおまけにもう1ケついてくるんです。それだけなら、「まあ、太っ腹なお店だこと」ってなところですが、2ケ買うと3ケ、3ケ買うと4ケ……10ケ買うと、なんと15ケおまけがついてくるわけです。もともと日本で売っているものより成分が濃い上にたくさん入っていて、お得なのに、おまけの大盤振る舞い! 

 だけど、注文数よりおまけのほうが多いっていうのは、なんなんですかねえ? そんなわけで、いつも大きなダンボール一杯のお薬を注文するハメになりまして、その度に、税関が、怪しい奴ってなもんで、ご開封あそばすわけです。

 今回は、マルチビタミン2ケ(おまけが3ケ)、メラトニン1ケ(おまけ1ケ)、セント・ジョンズ・ウォードの錠剤2ケ(おまけ3ケ)、レシチンの錠剤2ケ(おまけ3ケ)てな具合になりました。これだけ頼んで、Airmailで4,5日で到着して、178ドルです。同じ量を日本で律儀に購入したら、この5倍の値段は楽にしますね。だけど、こんなに注文しても飲みきれるわけないんだよなあ……やっぱり、ぼく、愚か者みたいですネ……。

 どうも、最近、精神の健康などということが少し気にかかってまして、トランスパーソナルセラピーのテキストなんぞを開いてましたら、とても面白いことが書かれていました。

 曰く「トランスパーソナルセラピーは、格闘技である。生ぬるい精神分析などと違って、それは、居心地のいいセルフイメージを徹底的に粉砕するところから始まる。セルフイメージを粉砕された個人は、もはや個人ではなく、パーソナルを越えた意識を体験することになる。そこから、すべては始まる。しっかりと地に足の着いた者以外、トランスパーソナルセラピーを体験してはいけない。徹底的に叩きのめされて、それでもなお、自分の力で立ち上がることのできる者こそ、その先の道を追求できるのだ!」。

 いいじゃありませんか、なんか、ファイトが沸いてくるではありませんか。自分がきちんと地に足の着いた人間かどうか知るために、こいつを体験しようかなあなんて、思ってます。……って、でも、山岳修験でも同じことをやってるなあ……真面目に学会に出て、峰入り修行したほうがいいかな、やっぱり?

――― uchida

 

 
 

00/05/03
堅気の人と同じカレンダーで動くのは止めよう

 本格的なゴールデンウィークの帰省ラッシュはじまりましたね。東名では75kmとか。

 昔、東北道で120kmという渋滞につかまったことがありましたが、このときは、ほんとに辛かったです。

 堅気の人の予定に合わせて取材の予定を立てたのですが、東京から目的地の秋田につくまでに20時間もかかり、現地に着いたらもうへとへとで、取材でころではなく、一日倒れていました。

 そのとき、心に誓ったのです。「金輪際、堅気の人と同じカレンダーで動くのは止めよう」と。今日は、静かな都心で、大渋滞のニュースを聞きながら快適に仕事をしております。連休中は、しっかり仕事して、堅気のみなさんが働きはじめたら、遊ぼうっと!

――― uchida

 

 
 

00/04/30
放射能饅頭

 今日で四月も終わり。明日はメーデーですね。まったく、月日の経つのは早いもの。新しいミレニアムが明けたと思ったら、もう年も三分の一が過ぎてしまったのですからね。

 昨日は、GWの帰省ラッシュを警戒しつつ、常磐道から新しくできた北関東自動車道を走ってみたのですが、いつもより交通量は多いものの、渋滞はなく、スムーズに走れました。

 北関東自動車道は、ほとんど通る車がありません。夏の海水浴シーズンには、いいアクセス路だとは思いますが、ほかの季節にはほとんど交通量はないんじゃないでしょうか? 大洗ICで降りて、国道51号線の夏見バイパスに入ったら、高速道路の速度感が抜けず、ちょっとオーバースピード。そしたら、背後に、黒いグロリアが...狙い撃ちに引っかかるほど間抜けじゃありませんもんね。多摩ナンバーのこちらをしつこく追ってきましたが、こっちは地元出身だもんね!? 後から、やはり高速道路を降りたばかりらしいジムニーが、代わりに生贄となりました。

 それにしても、高速道路より広い快適な道で、高速道路から降りたばかりの他県ナンバーを狙い撃ちにするとは、茨城県警もお人が悪い(-_-) 

 例の臨界事故でまた一人犠牲者が出てしまいました。篠原さんも、まだ三十代の若さでご家族を残されたまま他界されました。ご冥福を心よりお祈りします。

 それにしても、住友金属がメインスポンサーのJリーグチームのジャージを着て、満面の笑顔を浮かべておられる遺影が痛ましすぎます。その住友金属がフィリピンから輸入して貨物和歌山港に荷揚げした荷物から放射線が検出されたというニュースが同時に流れていました。いったい、馬鹿馬鹿しいリスクを冒して、原子力にしがみつく意味はなんなのでしょうか? 

 かつて、原子力の危険性について、国民が何も知らされず、東海村が新しい科学技術を象徴する街として脚光を浴びた頃、近くにある水戸の老舗の和菓子屋さんでは、「放射能饅頭」を発売したそうです。さすがに、すぐに発売中止したそうですが...。国民の無知につけこみ、利権を漁ってきた人や企業を絶対に許さない姿勢をとると同時に、いつまでも無知であり続けることをただちに止めて、ネットというツールをフルに活用して情報を集め、自分の頭で考えなければいけません。 

 そういえば、先に書いた夏見バイパス沿いには、ミイラ事件を起こしたカルト宗教の教祖がずっと滞在していたそうです。そこから程近い旭村には、オウムの施設があって、オウム関係の騒ぎの中心になっています。臨界事故があったのは、そこから10kmあまり...この周辺には、時代が産み落とした澱のようなものがたまってきてしまっているのでしょうか? カルトは、思考停止した人間がはまり込むもっとも大きなワナの一つですしね。 

 なんだか、ネガティヴな話になってしまって失礼しました。でも、ぼくがこんなことを書き連ねる気分になってしまうこと自体、このあたりの土地の気が、今、あまりよくない状態にあることの証左かもしれません。 

――― uchida

 

 
 

00/04/28
世界宗教史

 いよいよ明日からゴールデンウィークですね。今年は9連休となる人も多いようで、海外へ出かける人も昨年よりだいぶ多いとか。

 根っからの天邪鬼なぼくは、「人が遊んでいるとき仕事して、人が仕事しているとき遊ぶ」というのをライフスタイルにしています(~_~;) でも、なぜか、このところ仕事ばっかりしています...「その仕事が、遊びのような仕事じゃないか!」という突っ込みは、この際なしね(~_~;) 

 ゴールデンウィークはほんのちょっと実家に顔を出すくらいで、あとはしばらくデスクワークが続きそうです。でも、いいんだ、GWが開けたら、初夏のすがすがしい空気を全身に感じながら、北海道を突っ走っちゃうもんネ! そう、遊びだか仕事だかわかんない仕事です。さて、今度は、どんなマシンを借り出して行こうかな?

 結局、サイトの全面リニューアルは、GWには間に合いませんでしたm(__)m。IEへの対応が遅れてしまったのが敗因であります。それにしても、MSのFrontPageというHTMLエディタ使ってページをいじっているのに、IEではうまく画像が表示できないところがあって、ネットスケープだとまるで問題ないというのは、なんなんでしょうね? まったく不可解です。コンピュータ業界は。

 ミルチア・エリアーデの『世界宗教史』シリーズが、ついに文庫で筑摩書房から刊行され始めました。その昔、三巻本で出たときに、一巻5800円也の定価に怖気づいて、そのとき必要だった第三巻だけを清水の舞台から飛び降りて(つもりじゃなくて、ほんとに当時極貧だったぼくはそのせいで何日も飯にありつけなかったのでした)購入し、あとの巻は、ときどき図書館で借りてきて、大事にページを繰っていたのでした。

 それが、一巻1300円也の文庫で全八巻が順次刊行されるというのですから、ほんと、感激です! この夏は、旅をしながら、じっくりエリアーデの世界に浸ろうと思ってます。

 そういえば、トールキンの『指輪物語』が映画になるんですよね。CGを駆使したハリウッドの超大作だとか。こっちも原作を読もう読もうと思っていて、なかなか時間がとれずにいたもの。キャンプの夜は、この二作を文庫で読みます!

――― uchida

 

 
 

00/04/21
お勧めホームページ56

 先週から昨日にかけて、なんだかてんてこ舞いといった按配で、サイトの更新ができないばかりか、mailのチェックもままならず、その上、取材したもののまとめまで重なって、フウフウ言ってます。

 こりゃ、片っ端から片付けないと、連休前に息が止まりそうです(~_~;) でも、18、19の両日は、久しぶりにオートバイツーリングしてきて、リフレッシュできました。詳しいレポートは“TOURING WAVE”(http://www.mapple.co.jp/touring/index.htm)のほうに掲載されていますので、ご覧ください。

 IEへの対応をなんとかstep1から4まで済ませました。IEをお使いの方で、これまで画像が見られなかった方はチェックしてみてください。

 山と渓谷社の『OUTDOOR』最新号、別冊付録の「お勧めホームページ56」の中で、当OBTが紹介されています。書店へ足を運ばれたら、ご覧になってみてください。いよいよアウトドアシーズン到来ということもあって、いろいろなメディアから掲載の依頼が舞い込んでおります……早く更新しなくちゃなぁ。

――― uchida

 

 
 

00/04/13
今週は頑張るゾ!!

 このところ、仕事がたてこんで、ちょっとバテ気味です。そんでもって、またまたIEで表示されないファイルが見つかるやらで、サイトのの更新というよりは、対応に追われて、果たしてGW前に、サイトの完全リニューアルがはかれるのか、微妙な状況になってまいりました。

 でも、来週は、TOURING MAPPLEの取材で、F650GSをはじめ、四台のマシンに一気乗りのインプレッションなどというストレス解消に最高のお仕事が待っております。

 20日は、待ちに待ったREI日本ショップの開店です。クライミングギアが試用できるフリークライミングウォールやらMTBの試乗ができるオフロードコースやらがあって、ほとんど遊園地気分が味わえそうです。汗をかいてもいいように、着替えを用意して行こうかな(~_~;) よーし、来週思う存分楽しむために、今週は頑張るゾ!!

――― uchida

 

 
 

00/04/07
東京モーターサイクルショー

 昭文社のオンラインマガジン『TOURING WAVE』の取材で、ビッグサイトで行われている「東京モーターサイクルショー」の取材に行ってきました。

 今朝のニュースで、キムタクがドラマの中で乗っていたヤマハのTW200が一ヶ月で3000台以上も売れ、2ヶ月待ちというバックオーダーを抱えているとか。

 そんな影響もあってか、午後からの一般展示では、たくさんの人たちがつめかけました。ぼくはといえば、↓でご紹介したBMWのF650GSパリダカ仕様を中心に、マルチパーパスのビッグマシンと、都内でも軽快に走れるスポーツツアラーを物色してきました。その様子は、『TOURING WAVE』で、現場からFTPして、リアルタイムで記事を掲載しました。

 月刊誌の面々も取材に来ていたけど、どこより早く報道できたんじゃないでしょうか。それにしても、現物を見て、ますますほれ込んでしまいましたよ「F650GSパリダカ仕様」。とりあえず、ノーマルモデルを「ツーリングマップル中部・北陸版」の取材の足として、ぼくの次の愛車はこいつに決めました。さて、どんどん仕事しなくちゃ!

――― uchida

 

 
 

00/04/03
ちょっと愚痴

 エイプリルフールには気のきいたギャグメールでも撒き散らそう! なんて思っていたら、いつの間にやら4月も3日となってしまいました。

 ↓で紹介した桜は、すでに7分咲きほどになり、風にハラハラと散り落ちています。ぼんやりしているうちに、有珠山まで噴火してしまいました。被災者のみなさんは、「春だ」、「桜だ」なんて浮かれてはいられないでしょうね。ぼくも、気を引き締めていかなければ……。

 このところオートバイは完全に日常の足と化していて、オフロードに走りに行ったりツーリングもしていなかったので、すっかりニューモデルなんぞに興味を失っていました。そんなわけで、今年のパリダカでBMWがNewマシン“F650GS”を投入して1,2,3,4フィニッシュを果たしたことも知りませんでした。

 ツーリングウェブの取材をすることになって、俄然興味が湧いてきて、いろいろサイトを漁ったりしているうちに、このマシンが日本でも発売されることを知ってしまったのです。シート下にタンクを持ち、オフロードマシンとは思えない低重心のとても安定したマシンに仕上がっているとか……。

 BMWといえば、今を去ること15年前にBAJA1000に出場したときに、ボクサーツインのワークスマシンを操る伝説のライダー、ガストン・ライエにぶっ千切られて、その去り行く背中に熱い視線を注いだものでした。BMWワークスといえば、あれ以来の憧れ。そして、なんと、プレスリリースを漁っていると、今年のパリダカを征したマシンとほとんど同仕様のプレミアモデルが、この7月に発売されるというではないですか! その雄姿を見て、またぞろバイクの虫が強烈に疼きはじめてしまいました。とりあえず、ノーマルモデルを取材の足に借り出してみようと思ってます。

 ぼくの日ごろのポリシーは、「常に前向き」、「常に具体的」なのですが、たまには愚痴の一つや二つもこぼしたくなります……とくに、人間関係というのは、疲れることもありますからね。

 しんどいときでも、空元気を出して、なんとか明るく乗り切ろうと思っている矢先に、勝手な思い込みで、「内田さんはいいよなあ、デジタルの世界に乗り換えて、順風満帆で」なんて、羨望めいたことを言われて、呆れるというか、なんというか……。

 このサイトだって、3年近くシコシコと運営してきて、ようやく形になってきたわけで、「これからは、デジタルが景気良さそうだから、乗り換えようっと!」と、昨日今日、思いつきで始めたんじゃないんですよねぇ……。

 しかも、このサイトから利益を上げているわけでもないんですよねぇ。先日、ツーリングウェブを運営している昭文社の担当者と、「何かをまともにやろうとすると、それが世間に認められるには3年はかかるね」なんて、しみじみと話しました。彼がツーリングウェブを始めたのは、ぼくがこのOBTを始める数ヶ月前だったんです。もうその頃から、「オンラインマガジンを作りたいね」って話していて、ようやく、そのスタートに辿り着いたわけです。互いに、3年間、へこたれずにサイト運営の試行錯誤を繰り返してきたから、ここまできたんですよね……。

 ……いやいや、失礼しましたm(__)m。やっぱり、愚痴なんか言ってないで、元気に行きますね! 

 ぼくは、このサイトをはじめてから、たくさんの素晴らしい人たちと出会うことができたし、前向きな人たちとのコラボレーションの中から、新しい夢が生まれて、ますます人生が楽しくなってきているのですからね! てなわけで、来週か再来週には、F650GSで、桜前線追っかけツーリングなんぞブチかまそうと思ってます。その模様は、ツーリングウェブでライブ中継、このOBTで、マシンインプレッションまで含めて、詳報しちゃいますから、お楽しみに! 

 そうだ、7日には、ビッグサイトで開催されるモーターサイクルショーへ、いちはやくF650GSの現物に触りに行ってきます。

――― uchida

 

 

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