大河原社長宅にて(真説、愛の嵐)
出演者 ウォーリー軍曹(日系アメリカ人風)、昭二、
大河原(ソルボンヌ大学卒・長塚京三)
大河原の社長室にて、左手前に、大河原、机をはさんで、右に昭二、左に軍曹
(ウと大が握手する)
ウ:ナイスチューミーチュー(一応、英語と言う言語の存在は意識した様に、以下同様)
大:(少し躊躇してウォーリーの差し出した手に答える)はじめまして、どうぞおかけください。
ウ:ウェル、川端カンパニーからの物資を、来週すべて、横田ベ−スから、こちらに運ぶことにしました。
大:ふふん、(笑みを浮かべて)そうですか。ああそうだ、それじゃ早速県庁に電話しなきゃいけないな。
ウ:(驚いた表情で)ケンチョウ?
大:(それにフォローするように)副知事ですよ、副知事。
ウ:ウワット?(といいつつ、昭二にその疑問を投げかける)
昭二:(耳の穴をほじりながら、面倒くさそうに)何か、誤解してますね。物資は、川端カンパニーと大河原商会との取引です。
ウ:(すかさず)イエス、イッツビジネス。
昭二:私どもの社長が、こちら様の奥様の話をもう一度考え直したいということなんです。社長は、体の故障のために、こちらへ参れませんが、私と、このウォーリー軍曹が、代理で。
ウ:タケシ、ササレタ、ワタシ、オモッタ。タケシ、ストロングマンデナクナッタ。バット、タケシセイ、ノウ。(「西洋文化人」がいかにもとりそうな、ジェスチャーつきで)
昭二:とにかく、(書類の入った、茶封筒を内ポケットから出しながら)この書類にサインしていたたげれば、取引は成立です。
大:(戸惑いの表情で、その封筒を取って)
昭二:取り合えず今倉庫に入っている分だけで、後のことはもう一度話し合いたいということです。
大:(それを聞きながら、書類を見つめて、読みおえて、)(書類を指ではじきながら)どういう事だ、これは、どういう事なんだ。値段をつり上げたいって事か?
昭二:とにかく、社長が直接会いたい、ということです。
大:(焦りながら、ウに向かって)軍曹さん、どうですか?直接、ダイ、レクトに、取引できませんか?
ウ:オゥ(声を落として。)、マイアンサ−イズ、ノウ。マド・・(昭二に、その言葉が何であるかを問いただすように向いて)
昭二:窓口(と、小声で。)
ウ:(わかったという表情で、)オウ、イェ。マドグチハ、カワバタカンパニーオンリーデス。
大:(ほうぜんとした表情で)なぜなんだ、それは。
ウ:(腕をくみながら、不敵な笑みを浮かべ)タケシ、イズ、マイ、ベストフレンド。
以上、「男」は、適当な2枚目風の口髭男であるが。「京三」は、長塚京三に酷似したあるいはそれ以上のもの口髭男、そして、重要な配役の「ウォーリー軍曹」は髭が濃くて、毎日剃っても、ほお全体にそれがはっきりわかり、かつ、日系風の、だがまったく外国生まれ風ではない、嘘臭さをふんだんに漂わせた純日本人でなくてはならない。