デンマーク語の参考書
 

『デンマーク語の入門』 秦宏一著、1978年、白水社発行。(現在入手できません)

 前半はいわゆる入門書という体裁で、全31課を順に学んでいくとデンマーク語の基礎が身に付くようになっています。後半はいろいろな読み物で構成されており、新聞のコラムから料理のレシピ、最後はアンデルセン童話(ただし現代綴りに直してある)まで20弱の実に様々な文章を原文で読む練習ができます。また、吹き込み者がプロのアナウンサーではないため一部不自然な部分もありますが、後半の読み物も含めてほとんど全てのデンマーク語文を吹き込んだテープがあります。というようにいいことずくめの本書ですが、文法事項の解説は結構高度なので、読破するにはかなりの根気が必要と思われます。
 

『自習デンマーク語文法』 山野辺五十鈴著、1986年、大学書林発行。

 段階を踏んで学んでいく前書とは異なり、文法事項ごとに網羅的に解説しているので、どちらかというと一通りデンマーク語を学んだ後に、適宜参照するための文法書といえます。各項目の解説は簡潔明瞭ですが、一部癖のある文法用語を駆使しているので、その点はある程度慣れないと使いにくいと思います。また例文はどちらかという書き言葉寄りなので、日常会話などで文章を組み立てる際には少し工夫が必要でしょう。残念ながらテープはありません。解答付きの練習問題も付いています。
 

『これでいいのかな 中級デンマーク語会話』 Anne-Mette Ipsen・間瀬英夫著、1985年、大学書林発行。

 日常ありがちな30いくつかの場面の会話をデンマーク語と日本語の対訳形式で載せたもので、どちらもわざとらしくない口語表現になっており、実際の場面を想像しながら様々な表現を身に付けることができると思います。また、言い換え候補やニュアンスの説明も詳しく、実際の場面で役立つ応用力が付きそうです。テープもゆっくり目とはいえ明瞭な発音で吹き込まれており使いやすいです。惜しむらくは、類書に見られない解説項目が多いながら索引が付いていないことでしょうか。
 

『デンマーク語基礎1500語』 間瀬英夫・菅原邦城著、1981年発行、大学書林発行。

 書名の通り、初心者を念頭に置いた語彙集で、厳選された基礎語彙に名詞なら文法性と複数形、不規則変化動詞なら過去形と過去分詞など、必要な情報が明確に示してあり、また各語の発音表記も、一部変更を加えた万国音標文字によるものですが信頼できます。重要な熟語もそれなりに挙げてあり、訳語の順序も吟味されているので、デンマーク語の学び始めには下手に高価な辞書を購入するより本書で基礎単語をみっちり身に付けた方がいいと思います。
 

『Dansk-Engelsk Ordbog』 Jens Axelsen編、1995年(第10版)、Gyldendahl(デンマーク)発行。

 本来はデンマーク人のための英語辞書、つまり日本人にとっての和英辞典みたいな辞書ですが、デンマーク語学習者にもある程度配慮されており、名詞の文法性や複数形、また不規則変化動詞なら過去形と過去分詞が明記されています。ただし発音表記はありません。僕の知る限り、デンマーク語学習者も念頭に置いて作った辞書の中では、本書は現在もっとも詳しいのではないでしょうか。版を重ねるごとに目に見えて大きくなる辞書で、最近のはもう気軽に持ち歩ける大きさではなくなってしまいました。
 

『Langenscheidts Taschenwörterbuch Dänisch』 J.Andresen・J.Mez・E.Bodenstein編、1995年(新版)、Langenscheidt(ドイツ)発行。

 デンマーク語・ドイツ語の部とドイツ語・デンマーク語の部(つまり英和と和英みたいなもの)が別々に販売されていますが、どうせなら両方一緒になった合本の方をお薦めします。本書はデンマーク語を学ぶドイツ人にもドイツ語を学ぶデンマーク人のどちらにもきちんと配慮した辞書で、デンマーク語とドイツ語のどちらについても、名詞の文法性・複数形や不規則変化動詞の変化形はもちろんのこと、文法のまとめや数字・略語の解説も付いています。デンマーク語に関しては全ての見出し語に万国音標文字(英和辞典でおなじみの発音記号)による発音表記が付いていますし、巻末には主な固有名詞の発音も載っています。情報量はすぐ前のデンマーク語・英語辞典よりは少ないものの、実用上は問題ないと思います。またその分こちらは携帯にも適しています。
 

注意

 現地(デンマーク)で出版されている辞書を買う場合、中をよく確認してから買いましょう。かなり高価で立派な辞書でも、外国人のデンマーク語学習者のことはさっぱり念頭に置かずに作っているものが多いので、日本に帰ってきてからいざ使おうとすると、不規則変化動詞の変化どころか名詞の文法性すら書かれていなくて頭を抱えることがあります。
 

2007年3月10日・更新

 
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